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時代に合った教育ってなんだろう

「GIGAスクール」というフレーズが話題になってしばらく経ちました。学校では、子供一人ひとりに端末が配られたことと思います。風の便りでは、「紙と鉛筆を使うのがいいんだからICTだなんて」という声があるとかないとか聞きます。実際どうなんでしょうね。

一方、変化の激しい時代と言われていますが、教科書の内容がどこまで変わっているのか、私はよく知りません。例えば社会の一部ではメタバースが話題になっています。しかし、学校でメタベースの仕組みや使い方を教えることは必須になっていないはず。では、どうすれば時代に合った教育と言えるのでしょうか。

そんな学校教育の変化を改めて考えたいなーと思っていたところ、同僚がオンラインイベントを企画していました。

2022年8月19日に開かれるこのイベントは、これからの教育を考える機会になりそう。せっかくなのでイベントに先駆けて、学校教育について考えてみます。

"よりよい社会"を創る

そもそも、公立学校の先生は学習指導要領の下に指導をしています。ということで、まずは学習指導要領を作成している文部科学省のサイトへ。直近の学習指導要領の改訂について記載があったので見てみました。
参考にしたのはこちら

一文一義にして欲しい

雑にまとめると、学校教育の目的は概ねこのような話だと読み取れます。

・学校教育を通じてよりよい社会を創る
・子供が人生を切り開くのに求められる資質・能力を明確にする・育む
※教育課程において、社会や世界の状況を考慮する

これだけ見ても、「よりよい社会ってなんだ?」、「人生を切り開くのに求められる資質・能力ってなに?」などと疑問だらけです。

よくわからないので、いったん冒頭のイベントに登壇する山口さんの『教育は変えられる』を読んでみました。

自立と共生のための『学び』

山口さんは教育の目的を問い直し、以下のように示しています。

「そもそも、教育は何のためにあるのか」
「教育に、国、地方自治体をはじめとした公的な機関が携わるのはなぜなのか」

その答えは、とてもシンプルなものです。

「自らの道を拓く『自立』と、誰もが共に生きる『共生』のため」
「自立と共生のための『学び』を、『すべての人』に届けるため」
山口裕也、『教育は変えられる』p4、講談社現代新書

先ほどの"よりよい社会"を考えたときの一つの方向がここにあります。それが、「誰もが自立・共生できる社会」。これから目指していく社会をこのように定義すると、今の大人たちが受けてきた教育から変化が必要であるかを考えるヒントになりそうです。

教育の向かうところが変わったのなら、子供はどのように学べばよいのでしょうか。この点について、学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」(詳細の説明はここでは割愛します)の観点から、教員へ学習過程の改善を求めています。この実現に役立つのがICTです。

ICTは将来パソコン仕事をするための導入なのか

そもそもICTとはなんでしょうか。検索してみたら以下の説明がありました。

通信技術を使って人とインターネット、人と人がつながる技術のこと
2022年8月14日『チエネッタ 「Q. IT、ICT、IoTとは何ですか?」』
https://flets-w.com/chienetta/technology/cb_otherl32.html

学校でよくありそうなイメージは、パソコンやタブレット端末を使って先生が授業を行うことでしょうか。しかしこの例だと、国が子供1人ひとりに端末を配る理由がよくわかりません。「パソコンの時間は取ってるから、共有の端末があればいいよね」と思われそうです。しかしICTは特定の科目に関わらず、授業全般を通して活用できます。そして、「主体的・対話的で深い学び」をよりよい形で実現することが可能です。

例えば、意見を交換する場面。紙と鉛筆だけを使う場合、近くに座っている子供同士で机を向かい合わせて4・5人のグループになって話し合います。しかしICTを活用すると机の移動は必要ありません。座ったままクラスのみんなの考えを見たり、意見を交換したりできます。もちろん、画面上でやりとりした後に直接話し合うことも可能です。物理的な制限にとらわれないことはICTの一つの強みであり、それは子供に求められる資質や能力を育むための方法として役に立ちます。

「発達的に考えて手書きが大事では?」や、「PCの使い方は大人になってから学べばよいのでは?」という意見があると風の便りで聞いたことがありました。これに対する回答が、意見共有の例です。PCの使い方を教えるだけが時代に合った教育ではありません。子供にとって必要な能力を育むことを考えた時、紙よりも効果的な方法があるという話です。カレーを食べるのにわざわざお箸を使う必要はありません。対話的な学びを目的とした時、紙よりもICTの方が効果的な場面もあるという話です。

学校は"よりよい社会"をどう定義しているのだろう

ここまで考えてみて、時代に合った教育を考えるときには以下の要素が挙げられると思います。

  • 将来はどんな社会になりそうか、どんな社会にしたいか

  • "よりよい社会"を創るために必要な能力とは何か

  • 子供に求められる能力を育むための方法や活用できる道具は何か

ICTが学校で使われ始めたのは、技術的な革新だけでなく"よりよい社会"の定義や子供に必要だとされる能力が変わってきたからだと考えられます。しかし裏を返せば、ICTのようなツールの出番は"よりよい社会"の定義次第とも言えます。

「頭いい人がいい感じにしてくれればいい」「AIが適性を考えて決めてくれればいい」のように、自分で決めなくても満足できることが"よりよい社会"と考える人もいるかもしれません。その場合は、山口さんと目指す方向が異なります。それこそ、今の大人が受けてきた学校教育に近いかもしれません。子供の学習と指導に詳しい先生が"いい感じ"に内容を選定して、"いい感じ"に教えてくれるのですから。

では各学校では"よりよい社会"をどう定義しているのでしょうか。今の学習指導要領に合わせて定義されているのでしょうか。また、実際に指導するのは先生一人ひとりであって、何を学ぶか、どのように学ぶかは先生次第です。学校任せ・先生任せにしていて、自分の理想の教育は実現されているのでしょうか。

自分の選択が正しかったのかわかるのは10年後か20年後か。私も親なので、自分が関われる間に自分の考えを持って子供の成長を見守りたいと思いました。結果がわかったときにはもう、引き返すことはできないのですから。


おまけ

ここまで書いてみての印象。スクールタクト サマーキャンプ <Day1:対談編は山口さんと後藤さんが対談するイベント。それは、異なるアプローチで理想の教育を実現させようとしている二人の対談だからこそ、「よりよい社会をどのように定義するか」、「子供が人生を切り開くのに求められる資質・能力とは何か?」「子供に必要な資質や能力をどのように育んだらよいか」などを考えられそうです。そのため、スクールタクトというサービスは関係なく、これからの教育を考える機会にできそうだと思いました。

ただし、Day1だと指導法はメインではなさそうなので、即効性を求める人には向かないのかも。そういう人はDay2への参加を考えてみるのが良さそうだと思いました。

おしまい

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