奇詩想集 "触れるべきではない思想" 異端的希望謌〜毒牙の蜜


異端的希望謌



【謌】


異端児描く
激情の証
払拭と営み

今日も生きることを選んだ人々
その先に待っているのは

希望か、絶望か?

解るはずのない答えを探し
吐き出すように殴り書いた
オートマティックなメランコリー

世界に対する不信感と苛立ちが
瞬く間に心を巣喰い占拠する

人間を演じる孤独感と憎しみに侵された若輩者が描く

この世界は

限りなく真っ黒で不鮮明だ


【醜人】


劣等感
挫折
自分をも騙し
着飾り
笑う
電波だらけの孤独
空虚に拍車を掛ける絆
人間の振りして残飯処理に勤しむ組織人間
可愛らしいですね
端正な顔立ちですね
似たもの同士のナルシシストが積み重なってできた世界
指の一つでもくれてやるからさっさとその薄汚ねぇ面隠しやがれ


【高等蟲】


ちっちゃい頃から何も変わってないんだね

新しいオモチャを買って貰ったら持ってない友達に見せつけて自慢する
図体デカくなってからも学歴比べたり年収比べたり
足し算だけじゃなくて掛け算もできますよって言ってるようなもんだ


“高等な馬鹿さ、所詮は”


うようよぞろぞろそぞろ蟲
うようよぞろぞろそぞろ蟲


【時音】


天井の一点を見つめて蠢きを感じる
それは徐々に波打って拡散していく

時の流れを感じる

絶対に揺るがないこの時の流れを
この眼球から軀の髄にまで染み込ませる

心音が寄り添うように奏でる

唯一無二のこの時の中で

今、僕の存在と時空とが一体化する

誰もいないこの夜に

寂しさなんて、本当は無いのに……


【不安】


あなたの人生です
あなたの言動全てが正解となる

それが人にどう影響を及ぼそうが
その人にとっても自分にとっても

それは正解となる

そんな詩を自分自身に言い聞かせなければ

今にも潰れてしまいそうだ

今日は眼球の裏の奥行きと重量が激しい


【暗雲】


急に切れるんじゃない
我慢してるんだ

自分の知識さえも疑え

何も考えないで生きてきたお前はあの時の軍人と同じだ
何も考えないで生きているお前はあの時の軍人と同じだ

考えろ考えろ
考えて感じろ

数が多くて分かりにくいヒントより
少なくてもいいから芯の通った分かりやすいヒントをください


【機械音】


お前らの歌は機械で十分

何も聞こえてこない
何も響かない


【Chain】


人の死体に群がる蛆と蠅の群れ

食物連鎖

シマウマはライオンに喰われるが
そのライオンの腐った死骸が混じる土に生えた草をシマウマは食べる

弱肉強食ではあるが神でもない限り完璧な上下関係は成立しない

しかしながら

そもそも神とは上か?下か?


【単純明快】


短折の男が夢見た勧善懲悪な終末論は至極退屈であった

転がり続ける石に苔は生えないが
語り継がれる神話には様々な憶測や思惑が纏わりつく

皆、生きているだけなのに

上も下もないのに

光は目に見えやすく
闇は目に付きやすい

ただ、それだけのこと

それだけのことなんだ


【仮想悪】


想像すればいい
悪いことをたくさん想像すればいい
そういった類のモノは大体が具現化されない

夢が叶わないのと同じように
目標が達成されないのと同じように

常に最悪の状況を想定し
常に死というモノを身に纏い

現実を生きるということが
最高のモノになるように

現実という柵が
柵として終わらぬように


“今日も頭を悪で染める”


【一隻の舟】


最悪の呉越同舟
嫌われ者同士が奇を衒(テラ)い合う

そんな、三途の川渡る舟の中で尚
僕は己の存在価値を見出そうと
必死に思い出にしがみつき
人間であろうとする

神という名の男婦(カゲマ)に
僕と悪魔と人間とが群がる


“精霊よ守りたまえ”


聖母受胎
腹の中には大量の死神たちが湧き

今にも皮膚を突き破りそうな轟音が
その異空間を埋め尽くした


【自我像】


鱗粉を残し君はどこへ行く
張り付いた君は何を想う

ある周波数に合わせると
それらはとんでもない紛い物になった

崇高なタワーは動物的なSEXに成り下がり
鮮やかな絵画はマグマのように流れ始めた

犯人探しのつもりが
ただ自らを罰するだけの夢遊となった


“本当に僕は存在しているのだろうか?”


ドロドロと溶け始めた異空間では
佇んだ僕が佇んだ僕をいつまでもいつまでも
見つめ続けていた


【前進】


何故後ろに向かっているのですか?

そっちは間違いです
こっちが前です
未来です
明日です

文明は進歩しているように見えて退化している
人間は邁進しているように見えて躊躇している

滑稽なまでに体裁を取り繕いながら
必死に汚い心を隠しながら
嗤(ワラ)いながら
真面(マトモ)を穿き違えながら
狂いながら
騙しながら

前へ

ただ前へ、前へ


【全ては愛故に】


生きるのは誰かを愛するが故
それは恋人であり家族であり自分

争うのも誰かを愛するが故
守るべき人の為、守るべき立場の為
自分の存在を誇示する為

身勝手な行動も考えられないような奇行も
自分の欲望を愛するが故

死にたくなるのも愛があるが故
重苦しい愛が故


【巣窟】


心の中巣喰う闇を隠すのが上手だったはずなのに
その闇の成長速度(スピード)に僕の偽善者度数が追い付かない

それは顔、身体に出始めた

今か今かと伺っている

大好きだった歌
聞きたくなかった悲鳴
シグナルは同じだった

シグナルは同じだったはずなのに

嗚呼、何故だろう

“絶望の讃美歌が聞こえる”


【陶酔】


さようなら
そう言って包丁を腹に突き刺す
ごめんね
そう言って首にロープを巻き付ける

自分に酔っているとしか思えない
 自分に酔っているとしか思えない

蹲(ウズクマ)った怯える君のその美しく透き通る白い肌
首筋にそっと歯を立てる
深く濁りゆく血液の管に
崇高なる僕の欠片を埋め込み蠢(ウゴメ)かせ囁く

さぁ、孤独に心を売ろう
欲望で穢れ切った細胞を
さぁ、手を取り踊ろう
冷たく冷え切った手と手を合わせて

涙の粒が滴り落ちる亡骸
移ろう季節に塗れ
素晴らしき闇が待つ

明日へ


明日へ


霧掛かる悪意



【反抗期】


母なる地球と子なる人間たち

その絶対的な主従関係を壊す人間たちの愚行

冒涜

母の優しさに付け込んだその愚かな行為は
壮大でスペクタクルな反抗期

悔い改めるなら今しかない

頭を下げぬならもう明日はない


【不一致】


虫を殺すとそこから大量の綿が溢れ出した
そして、この世のモノとは思えないような光景がそこには広がった

実はこの身体の痒みも錯覚で
眼の充血も取るに足りない戯言だったという訳だ

キチガイが真面で
適合者が鬱病患者
住所不定無職が裕福で
金持ちが貧しい大悪魔

錯綜(サクソウ)する大空と地上の狭間で
ふらふらと棒切れのように退屈そうな人間もどき

不一致な心と心を引きずりながら
今日もまた口裏を合わせたように罪を隠す


【亡者】


資本主義回す人たちクズばかり
心汚い者だらけ
資本主義回す人たち心狭きナルシシストばかり
汚物塗れ
資本主義それは盆暗三流ドブネズミたちが
体裁を取り繕う為の言い訳馴れ合い荒唐無稽

お前のその腐りきった性根は
顔や雰囲気、喋り方にまで表れている

お前のその腐りきった性根は
人望や信頼感の無さに如実に表れている

要は人間性

問題点を金の有無にすり替えているだけ

要は人間性

要はお前のその腐った人間性


【美しき欠陥品】


人間である以上
皆が皆
性格に欠陥がある

生きるということが既に偽善であるから

人間である以上
皆が皆

“偽善者だ”

それはある意味で

美しい


【存在】


何故人は管理されている?
何故人が人を統率できる?

本来人は自由であり
本来人は誰のモノでもない

“ただこの時空に存在しているだけ”

地球や宇宙や鳥や獣と共に
存在しているだけ

太陽も愛も月も孤独も
ただこの時の流れに揺れ動くだけ

全て、全てがこの流れの中の一つ

それだけ


【我此処に在り】


百代の過客
永遠にそうありたい
浮かぶあの雲のように
自由でありたい

評価などいらない
生きている間も
死んでからの評価も
特別欲しい訳ではない
人にどう見られようが
どんなに惨めに思われようが
自分で自分を信じることが出来れば
人生はとても豊かで美しいものとなるのだから

何をやろうとお前の道
運命と後付けするのもお前の自由
その場凌ぎでいい
綺麗事で塗り固め
我が道を行け

行くんだ


霧深き森の中



【絶】


愛する人と一緒になって
愛し合った結果を産み育てて
そんな普通を望めば
夢など容易くどんどん薄れる

愛という概念を否定して
愛があった日々たちを消し去って
孤独に身を纏えば
夢は笑顔で迎え入れてくれる

何かを捨てて、何かを手にする

ただ、その繰り返し


【In Mirror】


鏡を覗き込み
自分と目を合わせ
その存在を確かめる

迷子になるほど鏡に酔い痴れ
余りの愛しさに涎を垂らす

時が経つのも忘れ嗜む

お前は誰?
お前はいつ俺を呑み込む?

相互関係の振りをした非対称
似ても似つかない全く別の生き物

互いが互いを意識し合い
いつでも静かに狙っている


【瓶】


どこまでも底が見えない

漆黒の闇には何もない

そんな、拭い去れない恐怖心から

心も身体も押し潰される


“本当の自分は何処(イズコ)?”


恐る恐る騙し騙し生きてきた

私は私故救われずに堕ちる

心は朽ち果て
身体は腐って
人の原型を留めずに

初めから何も無かったかのように

ただ、冷たい風が吹くだけ


どうしたらいい?


ボクは


どうしたらいいんだ……


【自神】


この世には何もない
今見える風景
すれ違う人々
全てが夢幻
しかし、それは全てが現実で
確かな事実
誰もあなたを見てはいないし
あなたが誰かに影響を及ぼすこともない
逆に言えば皆があなたに注目をしていて
あなたという存在が全てのモノに影響を与えている
そう、あなたは神
あなた自身が神
この世はあなたが作り出した空間
その素晴らしきイマジネーションの広がり
何も怖がることはないし
何も隠す必要もない
全ての現象があなたの思った通りになる
しかし、少しでもあなたが揺らいでしまうと
瞬く間にこの空間も歪み出し
道はあらぬ方向へと湾曲して行く
しかし、その道もあらかじめ用意されていた道で
死という幸福の最終ラインに行き着く為の
いくつかの凡庸な道の一つに過ぎない
私たちは必ず最後にはこの幸福の死という唯一無二のゴールへと辿り着く
即ち、私たちはどう生きようがどんなに大胆な行動をしようが必ず幸せになれる
だから、好きなように生きればいい
思うがままに生きればいい
この世界はあなたのモノなのだから
この世界には、あなたしかいないのだから

そう、あなた自身が、神なのだから


【電飾】


全体を通してみれば
この世界は美しく何の問題も無いように見える

人が犯す罪などほんの些細なことで
神は気にも留めないし救おうともしない

そう、この青い地球は全て神の創造品で
今は人間を使いイルミネーションを楽しんでいる状況


【欠】


もし、今僕が人を殺めたところで何も感じないだろう

しかし、それが僕にとって大切な人物だったら
後悔して止まないだろう

それでは、無関係ならいいのか?

しかし、どんな人間だって誰かに愛されているはずの特別な人間で

“だとしたら僕は一体誰なんだ?”

という疑問が生じて

人を殺める度
人を越えるのだとしたら

僕は神であり
酷く蔑んだ心を殺す殺戮者

今日もまた一人
一人また一人と

頭と精神(ココロ)で食べ尽くす

酷く乱れた心音を数えながら

深い、深い、眠りに就く


【襲撃】


憎しみを継続させるのは難しい
しかし、人間を突き動かす一番の原動力は
やはり憎しみや怒りといった負の感情で
うまく隠すことができたと思っていても
それは完全に消せたわけではなく
ゲリラ豪雨のように突然不意に襲ってくる
そしてそれは後味の悪い悪夢のように
いつまでもその場所に留まり続ける


【Hallucination】


人は皆、それぞれ自分の世界を持っていて
その中の常識という名の幻覚で生きている

時にその世界と世界
幻覚と幻覚とはぶつかり合って
人は愛を持ってしても
互いに互いを傷付けてしまう

人はそう簡単には変われない
習慣は最大の武器
人はそう簡単には分かり合えない
ジリジリと生じる摩擦

生まれるすれ違い

発展する別れへ


さようなら


毒牙の蜜



【Alone】


24時間の内

ほんの一時間だけでいいから

世界でたった”ひとり”になりたい


【浮世の果て】


全てを止めよう
全ての関係を断ち切ろう

“そんな浮世離れなこと言われても?”

でもきっと、みんなでやれば怖くないと思うんだ

全ての社会的生活を止めて
地位や名声を捨てて
気を遣うことを止めて
従うのを止めて

今一瞬思った
“無理だ”という発想を消して

本当の平和と差別の無い世界を夢見て

そんな志を抱く自分自身を最後まで信じて

信じ抜いて

そうやって歩いていった先に見えるのは

一体何色?

何原色?

聞こえる音はどの音階?
そもそも定義に当て嵌まる?

空気の味は?
温度は?重さは?

そこにいるのは誰ですか?
そこにあるのは愛ですか?

あなたの心は健やかですか?

あなたはちゃんと、笑えていますか?


【先駆者、エロス】


“僕らは敷かれたレールの上を歩いているに過ぎない”

決められたルール
決められた言語

もう既に大体決まっている

どんなに異端児ぶっても
この世の流れには逆らえはしない

本当に凄いことをしたいんなら
根本からこの世の主軸を変える他に方法は無い

初めて何かをする人物がこの世で一番偉大で崇高な存在

そして、そういう人物に限って大体エロティシズムが旺盛

そしてアブノーマル

絶倫

あの偉人とされる人物だって
頭の中は九割が色欲

そして、残りの一割が神懸かり的なアイデアとプロセス


さぁ、いざ革命だ


解放された育みと性の中で


さぁ、いざ革命だ


【Freak】


人と繋がることが怖いです

でも、嘘吐きで演技派だからみんなを喜ばせるピエロはできます

でも、それには心を殺さなくてはなりません

何度も、何度も、心を刺さなければなりません

生まれつきそうすることを生業としなければ生きて来られなかった僕は
この人生を生きる間に心を殺すこととその痛みには十分に慣れましたが
そうやって生きていった先に待っているのは絶望だけだと知ったので

もう絶対にやりません

もう絶対に心は殺しません

何よりももう殺しには飽きました

その行為にもう何の刺激もありません

この性格はどうしたらよろしいのでしょうか?

今、僕はみなさんに問うてるのでしょうか?

もしかして本当は僕も

人と

人と……


【優劣平等】


人を変えるのには時間がかかります

だから、自分を変えましょう

人の気持ちが分かる優しい人間になりましょう

外見が良い人間にも人並みに苦労はあります

全ての人間に起こる良いことと悪いことの数は均等なのです

どんなに恵まれていそうな人だって
明るく振る舞っている人だって

実は病気をかかえていたり
流産経験があったり
本当の親を知らなかったり
虐待されていたり

人は誰しも妬み僻(ヒガミ)みを繰り返しますが
その感情自体が無意味なのです

何故なら全て、平等だから

辛いことも悲しいことも
嬉しいことも楽しいことも

愛す量も
愛される量も

全てが同じように

与えられる

全てが同じように

この身とこの心に

蓄積される


【受容】


僕みたいに傷付き易い人間がいることが何で分からないんだ

と嘆く前に

アイツ等みたいに人を傷付ける人間がいることを認識した方がいい

そして、相手のことを理解しようとしなければ
こっちのことも理解してもらえないという事実を受け入れるべきだ

自分のことを一方的に理解してもらおうなんて

そんなの蟲がよすぎる


【心気症Hypocrite】


自己中心的

お前らみんな

自己中心的

お前も俺もアイツも貴様も
神も王も天使も悪魔も

結局は、自分が一番

自分自分自分自分

人の為にすることも
自分をよく見せたいから
誰かに自分を好いて欲しいから

そういった見返りを求めているだけ

結局みんな、排泄物と性行為

ほざくな豚

誰もが仮面を被った野獣

人間などそう、高が動物


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