「ハーケン」を突き刺そう。
こんにちは、リョウです。
僕の大好きな漫画の1つに、『ハイキュー!!』がある。
言わずと知れたバレー漫画の金字塔だが、作中で語られるメンタル面の理論や人生観なども、とても興味深い作品だ。
自分が高校生だった頃の経験を思い出したり、それに重ね合わせたりして、読む度に胸が熱くなるような、つくづく良い漫画だと思う。
そんな『ハイキュー!!』のなかで出てきたシーンのひとつで、僕が辛いときや上手くいかないとき、必ず思い出すようにしているものがある。
それは、第281話「ハーケン」にて描かれるシーン。
―――――春高バレー、「烏野高校」vs「稲荷崎高校」の第3セット。
大会のダークホース「烏野高校」と、優勝候補の強豪「稲荷崎高校」の激戦は、フルセットにもつれ込んでいた。
白熱する攻防の中で、稲荷崎高校のエース・尾白が強烈なスパイクを放つ。
烏野高校のブロックは、1枚。
ブロックを軽々と抜け、コートに向かって鋭く打ち込まれたスパイク。
誰もが「決まった」と確信したボールの先にいたのは――――――
主人公、烏野高校のミドルブロッカー・日向翔陽だった。
ボールの落下点にピタリと入り込み、完璧なレシーブを見せる。
日向がレシーブを苦手としていたことを知っているチームメイト、テレビで熱戦を見守る地元のライバルたちは、一様に驚きを隠せなかった。
もうひとりの主人公、烏野高校のセッター・影山飛雄もそのとき初めて、日向に「ナイスレシーブ」と声を掛ける。
その様子を見ていた全日本ユースの雲雀田監督は心の中で呟く。
―――稀に・・・練習・試合
長く、そして多分苦しい事のほうが多い時間の中で
ごく稀にこういう1本がある
思い出すだけで
心が奮い立つような
自信が蘇るような
大きく険しい山を登る途中に
足がかりとなってくれるような1本
それは奇跡などではなく
100本に1本
1000本に1本であれ
掴みに行って掴む1本
稀に掴む
そういう1本を紡いで
上へ上へと登って行く
「ハーケン」とはクライミングのとき、岩壁に打ち込んで足場として使う、くさびのことである。
日向のこのレシーブは、これから高く高く登っていく日向のバレー人生において、欠くことの出来ない「ハーケン」の1つとなったのだ――――。
このエピソードでいうところの「ハーケン」は、言うまでも無く、僕らの人生においても存在しているだろう。
一般的には、「成功体験」と表現されるものだ。
テストで100点を取った、徒競走で1着になった、部活の大会で優勝した、第一志望の高校・大学に合格した、恋人が出来た、就活が上手くいった。
誰もが、無意識のうちにでも、様々な「ハーケン」を打ち込んできているだろう。
僕にも打ち込んできた「ハーケン」はある。たかが20年と少しの人生だが、今までも十分に断崖絶壁だったと感じている(多分、これからはいよいよ反り返っていく)。
「過去の栄光に縋(すが)る」なんていう表現があるほど、自分が過去に成し遂げた結果を頼りにすることは、良く思われないことが多い。
けれど僕は思う。過去の栄光には縋って、しがみついて、甘えていいと。
どうしても辛いとき、駄目になりそうなとき、心が折れたとき。
頼りになるのは、過去の栄光、打ち込んだ「ハーケン」だ。
それを思い出すのが情けなくて、泣きたくなっても、きっと救われる。
それに足をかけて、何とか次の「ハーケン」を打ち込んでみせるのだ。
それがまた、いつか来る辛いとき――――明日かも知れないし、十年後かも知れない――――の足掛かりになる。
人生は辛いこと、嫌なことばかりだけど。
さあ、「ハーケン」を突き刺そう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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