ハエとりリボンから死の哲学
以前はハエや蚊をハエ叩きで叩いて仕留めるのが得意だった。タイミング、強さ、位置、気配の消し方など、私はまさにプロだった。
しかしここ数年、どうも空振りすることが多くなり、今年はやむなくハエとりリボンを購入した。
昔、台所にはよくぶら下がっていたアレ。
もう売ってないかなと思ってたけどちゃんと売ってた。
ハエとりリボンには殺虫成分は含まれていないらしく、ただ粘着力でくっつけるだけらしい。
早速ハエが室内に入ってきたのでぶら下げてみた。1本目はリビングの真ん中にぶら下げてみたが、付ける位置が悪かったのか全然何もくっつかない。
そこで2本目は思いきってキッチンにぶら下げてみた。
すると、その日の夕方、とうとうハエがくっついた!!!
のだが、見るたびに位置と向きが変わっている。(ハエの)
よく見ると足をうごうごと動かしてどうにかこの粘着テープから逃げ出そうと必死になっているようだった。
軽くホラーである。呪われそうだ。
丸一日、様子を見守っていたが、とうとうリボンの一番下のところまでたどり着いていて、このまま飛んできそうな気がしたので、殺虫剤をスプレーした…
のだが、次に見たときまだ生きていたので、再度、念入りにスプレーを吹きかけて、小さな命は終わりを迎えた。
こんな死に方したくないな…と思った。
粘着テープに貼り付けられ、おそらく多くは餓死を待つのみ。逃げようともがけばもがくほど粘着テープにからめとられ、おいしそうな匂いだけ嗅がさせる。で、結局毒ガスを吹きかけられて終わる。
苦しかったろう。。
やっぱり可能な限り、ハエ叩きの棒で一発、苦しむことなくあの世に送ってあげたい、と思った。
ハエの気持ちを考えていたら、何故だか急に私も死にたくなってしまって、昨夜は「苦しくない死に方」など検索してしまったのだが、医師が書いた『痛くない死に方』という本が出てくるだけだった。
一度死にたくなると、「死ぬこと」がとても素敵ないいことのように思えてくる。
この上ない、問題の解決策に思えてくる。
私に行動力があったら昨夜のうちに死んでいたかもしれない。
しかし私は山のように動かない女。
まさかこのお尻の重さが、こんな時に役立つとは…。
以前ネットのコラムで、自殺の研究をした大学教授の話を読んだことがある。
自殺した人の家族、友人、恋人、クラスメイトなどから可能な限り話を聞き、生前のその人がどんな人だったのか、何を考え、何に喜び、何に怒る人だったのか、聞き取りをしたそうだ。
その結果、みんな口を揃えて「あの子は自殺するような人ではない。将来の夢もあったし努力もしてたし、ポジティブでアクティブで人の悪口を絶対に言わない優しい子だった。絶対に何かの間違いだ」と言ったそうな。
教授が色々調べて検討して出した答えは、「行動力のある人ほど、死のうと思い立ったら瞬発的に死んでしまう」というものだった。
その記事を読んだ時は、自分には行動力も瞬発力もないからまだ生きているのだな…と思った記憶がある。
昨夜は猫が私の体を枕にして眠ってくれたおかげで私もよく眠ることができた。
そうだ、猫たちを見送るまでは死ねない。
よく眠ったら今日はもうあまり死にたくなくなっていた。
行動力と瞬発力。とても良いもののように思われているけど、なんでも諸刃の剣なのだな、と考えた一夜だった。
夕飯は幸福感を高める物質が含まれているというチーズを大量に食べてみた。幸福感、高めよう。
ハエとりリボンにかかったハエ⬇️⬇️
※注意!!!下にハエの画像あります。
時系列早い順から
こんなに動くんですね~…