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2020年NHK大河ドラマ『麒麟がくる』あらすじ&感想(第8回「同盟のゆくえ」)

■あらすじ

尾張の海辺で、漁師たちから慕われている奇妙な出で立ちの織田信長(染谷将太)を目の当たりにした光秀(長谷川博己)。この男に帰蝶(川口春奈)を嫁がせていいものかと葛藤する光秀だが、母・牧(石川さゆり)は美濃国の行く末のことを一番に考えることが大事だと告げる。光秀が自分の気持ちにこたえることがないと分かった帰蝶は、光秀の口から「尾張に行って美濃にない海を見るべきだと、背中を押してほしい」と条件をつける。

■トリセツ

斎藤・織田・今川の勢力は?
竹千代の父で三河の岡崎城城主・松平広忠が今川義元の傘下に入り、尾張は美濃と三河の両方から国境を脅かされることとなる。

帰蝶はなぜ信長に嫁いだのか?
織田信秀は、今川義元の侵攻に備えるため美濃の道三に和睦を申し出ました。その和睦の証しとして信秀の嫡男・信長と道三の娘・帰蝶が結婚。このような両家が身内となるための政略結婚は、武家の間ではしばしば行われていました。

信長が釣った魚1切れ、1文(もん)はいくら?
織田信長は海で釣った魚をさばき「市に持っていけば高く売れる」と、1切れ1文で漁村の人々に売っていました。
現代のお金で換算すると、銭の1文=約150円です。

■大河紀行 愛知県名古屋市

名古屋を象徴する名古屋城。徳川家康が西の押さえとして、江戸時代に築いた城です。戦国時代、この場所には現在の城とは異なる今川氏の城、那古野(なごや)城があったといいます。信長の父・信秀は、この城を今川氏から奪い取ると、幼い嫡男・信長を城主としました。

信長の学び舎(や)があったというかつての天王社(てんのうしゃ)、那古野神社。今川との合戦で焼失した社殿を信秀が建て直したと伝えられています。
神主だったとされる織田家の祖先。神社の紋と同じ木瓜(もっこう)紋を家紋としています。

「尾張のおおうつけ」といわれた信長の天下取りは、名古屋の地から始まったのです。


 タイトルは「同盟のゆくえ」(斉藤利政と織田信秀の同盟は成立するか?)ですが、内容的には、「恋のゆくえ」(明智光秀は、帰蝶と駒のどちらを選ぶか?)ともとれる話でした。

 帰蝶役の突然の変更で、スタッフは、帰蝶の登場シーンを減らし、駒の登場シーンを増やすことで対応したようですね。たとえば、村一番の走者・岡村さんが、帰蝶が乗る馬を追いかけるシーンはカットされました。ちなみに、川口帰蝶の最初の撮影は、那古野城での織田信長との結婚式で、新郎の帰りを待つ親父のシーンだったそうです。帰蝶の登場シーンが減って、詰まり、次回の冒頭の今川義元の登場シーンが、今回のラストシーンになったとか。

 さて、さて、前回、斎藤利政の商人であった父が「海があれば食うに困らん。魚はとれるし、港を作れば市がたち、国が豊かになる」と言っていましたが、明智光秀が実際に行ってみると、織田信長のような素人漁師でも魚がとれて、売って小遣い稼ぎができるし、市は賑やかで、明智光秀は「今までこんなに豊かな国と戦ってきたのか。勝てないはずだ」と衝撃を受けたことでしょう。(実際の織田信長は、夜釣りなどせず、早寝早起きで、毎朝馬に乗っていたそうです。練習していないマラソン選手に突然「今日の大会に出ろ」と言っても無理です。馬も同様で、毎日乗って鍛えておかないと、敵の急襲での突然の出陣に耐えられないようです。)

 場面変わって帰蝶と駒。

帰蝶「私も幼い頃はよう泣いた」
駒「帰蝶様が?」
帰蝶「泣かぬと思うであろう? 6つか、7つの頃、母上に、美味しい蜜漬けの栗を2つもろうたのじゃ。母上は、『1つはお前がお食べ。もう1つはお前のお気に入りの者におやり』と仰せられた故、その頃、仲良しあった十兵衛にやろうと思うて、大事に手文庫に入れておいたのじゃ。
駒「まぁ」
帰蝶「それを兄上が見つけて、ぺろりと食べてしもうたのじゃ」
駒「高政様が」
帰蝶「口惜しうて、口惜しうて、声を上げて泣いた。次の日、十兵衛が城に来た故、その事を言おうとして、また涙が出て、『十兵衛、来るのが遅い』と泣きながら叱りつけた。その時の十兵衛の困った顔を、今でも覚えておる。昔の話じゃ」
駒「帰蝶様は、今でも十兵衛様をお好きでございましょ?」
帰蝶「そなたはどうじゃ」
駒「(うなずいて)困りました」
帰蝶「困ることはない。十兵衛は今、尾張じゃ。尾張に行き、この帰蝶が嫁に行くかの知れぬ相手の良し悪しを調べておる。相手の良し悪しなど分かる訳がない。そう思わぬか? 嫁に行かせたくないのなら調べには行かぬ。そう思わぬか? それ故、そなたが困ることは何もない」

さて、織田信長を見て帰ってきた明智光秀は、「尾張は豊かな国だ。あの国を血を流さずに手に入れられれば素晴らしい。しかし、帰蝶様の相手は奇妙な人で『あの男に嫁に行け』とはとても言えない」と悩んでいました。
 この息子の悩みを解決したのが母・牧でした。
「そなたの父上が亡くなられた時、『人はいくらよい人で、いくらお慕いしても、一緒に消えてしまう事はできぬことじゃ』とつくづく思った。『生き残り、子を育て、家を守っていかねばならぬ』と。『人は消えても、あの山や畑は変わらずそこにある。そのことが大事なことじゃ』と。『変わらずあるものを守っていくのが、残された者の務めかもしれぬ』と。十兵衛、大事なのはこの国ぞ」
 普通の母親は「女の役目は健康なお世継ぎを生み育てるのが役目。男の役目は知らん」と言うでしょうけど、父を早くに亡くし、牧は父親代わりでもあったので、「(必要であれば戦って)国を守るのが(男の)務め」と、父親のようなことを言いました。これにより、「好きな人を他国の奇妙な人に嫁がせるマイナスと、国を豊かにするプラスと、どちらが大きいか」と、まぁ、損得勘定で動く斎藤利政的な発想をしました。当然、斎藤利政の娘なら、そんな勘定は出来るわけです。

報告に来た明智光秀に帰蝶は言います。
帰蝶「尾張は良い所か?」
明智光秀「海が美しい所でございました」
普通の女性なら、最初に「織田信長はうつけか? 良い男か?」と聞くでしょうけど、「相手の良し悪しなど分かる訳がない」と思っている帰蝶は、尾張について聞きました。
帰蝶「十兵衛の口から聞きたい。『行ってみるべし』と」
明智光秀「行かれるがよりしいかと」
帰蝶「申したな。この帰蝶に」
明智光秀「尾張へお行きなさりませ」
帰蝶「十兵衛が申すのじゃ。是非もなかろう」
「嫁に行かせたくないのなら調べには行かぬ」と思っていた帰蝶ですから、答えは分かっていましたが、実際に聞いて確認したかったのでした。

 この結婚に大賛成の斎藤利政は、帰蝶の話だけに蝶のように舞いながら明智光秀に近づくと、怪鳥のような笑い声をあげて喜んでいました。もうすぐ死ぬであろう織田信秀は手強いが、織田信長のような若造は取るに足らぬと。

 この結婚に大反対なのは、帰蝶の兄・斎藤高政です。斎藤高政は国衆を集め、明智光秀を土岐頼芸のもとへ連れていきます。
土岐頼芸「儂の顔を覚えておるか?」
明智光秀「恐れながら」
土岐頼芸「土岐頼芸の顔を覚えておらぬのか。そなたが幼き頃、そなたの父・光綱がそなたを連れて鷹を見に来た事があるのじゃぞ。2、3歳の頃であったか」
明智光秀「2、3歳の頃では、どなたの顔も覚えてはおりませぬ。お許しくださいませ」
土岐頼芸「それもそうか。ホホホホホ」

帰蝶は6、7歳の時、明智光秀の困った顔を覚えていましたが、その帰蝶であっても、2、3歳だったら覚えていないでしょう。明智光秀にしても、「守護の屋敷で鷹を見た」事すら覚えてないかと。私も親に「2、3歳の時、動物園に連れて行ってあげたでしょ?」と言われても覚えてないです。写真という証拠がありますから、確かに行ったでしょうけど。
 この話、何が凄いって、土岐頼芸が約20年前の明智光秀の事を覚えていたことです。顔立ちが聡明そうであったとか、印象深い子供だったのでしょう。

 さて、土岐頼芸は、明智光秀の「一滴の血も流さず、今川が欲しがっている尾張を手に入れるチャンス。このチャンスを逃すのは愚か」と、前回「愚かな和議」と言った斎藤高政に聞こえるようにいうと、斎藤高政は「守護同士ならいざ知らず」と熱く反論すると、土岐頼芸は、「それをそなたの父親がやろうとしておる。困ったものよ」と言ってあくびをして退席したので、斎藤高政は、「せっかく国衆を集めたのに恥かいた」「結論を出せなかった。あんな人に美濃を任せてよいのか」と憤りました。結局、斎藤高政は「和議反対」であり、土岐頼芸は「自分に話がないのは気に食わない」なんですね。
 さて、斎藤高政を母・深芳野がどう慰めるのか見ていたら、「母として」と言うより、「女として」慰めたようですが、喧嘩になりました。
深芳野「頼芸様は、そなたの気持ちをよう分かっておられると思う。ただ、我が殿が怖いのじゃ。表立って歯向かえば、殺される」
斎藤高政「あの下劣な男が、それほどに怖いのですか?」
深芳野「下劣?」
斎藤高政「金、金、金。全て金で動く男ではありませぬか。己の娘を損得勘定で尾張などに嫁を出す、何の誇りもない恥知らずではありませんか」
深芳野「自分の父親ではないか!」
斎藤高政「あれが父親なものか! お願いです。まことのことをおっしゃってください! 私の父は頼芸様では? 頼芸様も『我が子と思ってる』と仰せになりました。それがまことでございましょう?」
深芳野「そう思いたいのなら、それで満足なら、そう思うがよい。ただそれを盾として、殿に立ち向かうのはよしなさい! いずれは、そなたに家督は譲られるのじゃ。全てはそれからぞ。母もその時を心待ちにしておる。今はじっと我慢じゃ」

 ラストは、松平広忠を前にして今川義元のターン。
今川義元「既に雪斎から聞いておろうが、尾張の織田信秀が、美濃の斎藤利政と手を握った。利政の娘が織田家へ入ると聞く」
松平広忠「承知致しております。三河を守る我等にとって、由々しき事態。これより直ちに岡崎へ帰り、尾張はもとより、美濃への備えを致す所存にございます」
太原雪斎「備えも大事なれど、今思案すべきは、尾張への攻め時じゃ」
松平広忠「はっ?」
今川義元「とすると・・・」
太原雪斎「攻め時は今かと」
今川義元「そなたの三河は、長年卑劣な織田の切り崩しにあい、田畑は荒れ、いくつかの城も奪われた。嫡子の竹千代まで人質として尾張に留め置かれ、口惜しきことこの上あるまい」
松平広忠「仰せの通りにございます」
今川義元「わしが手を貸す。松平家の汚辱を晴らすのは今ぞ! 」
松平広忠「ははっ」
今川義元「織田と戦じゃー!」
と松平広忠を焚きつけると、松平広忠は2つ返事で了解していましたが、松平広忠が織田信秀と戦うってことは、言い換えれば、人質の竹千代が殺されるってことであり、歴史が変わっちゃいますけど・・・いいの? まさか、例の影武者が竹千代になるって話ですか?

それにしても結婚式に来ない織田信長って・・・
父親の葬式の時もそうだったけど・・・
冠婚葬祭は最優先事項だぞ!

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城田涼子
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