結局、コロナ禍の主犯は誰?の背後に横たわる根深い問題とは何か?

一昨年12月、年の瀬の頃に何やら中国で訳の分からない新種のウイルスが発生し人から人への感染が拡大しているようだ、との不穏な空気が漂うニュースが流れて以後、日本をはじめ世界中がパニックになり、スペイン風邪と同じか或いはそれ以上の被害をもたらす結果となった。

SARS-CoV-2自体は、昨年の前半にはその正体は解明され、ワクチン開発、特効薬の選定が世界中で猛スピードで行われることになったのだが、如何せん新種のウイルスであるため、感染拡大に歯止めがかからなくなってしまった。

現在、先進国をはじめ多くの国々でワクチン接種が急速に進み、この足掛け2年にわたる世界を席巻した混乱にも、一定程度、先の見える展開となった今、改めて今回の騒動が長期化した本質について考えてみる必要があるだろう。

既に、今回のコロナ禍の発祥地である中国をはじめ、多くの先進国は急速にコロナ後に向けて舵を切り、各国企業もそれに追従している。目下の急務は経済の立て直しであり、今回のコロナ禍における世界各国の支出総額は500兆円を優に超えると言われている。

これらは全て、各国政府の支出によって賄われているが、その刷りまくったお金の行き先の問題があり、各国政府と各中央銀行は頭を痛めている。

歴史に学ぶならば、膨大に膨れ上がった国債の償還を、数十年かけて緩やかなインフレを起こしながら、国債の価値を下げていくことで、賄うと言うことになり、それは各国ともその思惑で進んでいる。というか唯一の手段はそれしかないので、結果的に割りを食うのは、デフレ状態の国であって、長い目で見るとデフレによりその国の国富が失われることになる。

私が以前から指摘しているように、周辺国のサプライサイドに依存する日本は、円高状態は一見、良いように見えるが、国内のデフレ状態が改善されない大きな要因の一つ、景気低迷の要因の一つがデフレ状態にあることは明白であって、その改善の大きなチャンスがコロナ禍への対策として現金を配りまくると言う手法によるデフレの解消だ。

既に幾つかのところから指摘されているように、コロナ禍が収束すれば、消費動向は大きく上向くと予想され、最初にサービス業、飲食業が改善されていくだろう。これらの産業は直接的に消費動向に左右されるからだ。現在はそれらの産業で雇用喪失が著しいと見られているが、雇用が改善すれば当然だが、求人倍率が上がる。それでなくても完全失業率は低いままなので、雇用が改善すれば売り手市場に拍車がかかり、賃金の上昇、物価上昇の動きに変わっていくだろう。

事実、実は今年に入り、製造業における設備投資がジワジワと増えてきた。

これは、サプライサイドの再構築を目指す企業が増えてきたことも、一つの要因だと考えられるが、企業内で不足する人材を補う意味で更なる機械化を推進している兆候でもあるだろう。

これらの動きの中で、やはり、コロナ禍収束の切り札となるのが、ワクチン接種による集団免疫の確保だ。

確かに、mRNAワクチンという人類未開の分野に踏み出したことの懸念が無いわけではない。しかしながら、既に数多くの研究機関が副反応に関しての治験を公表し、その安全性は担保されていると言っていい。何より変異株も含め、今回のウイルスへの抗体に格段の効果を発揮しているのも事実で、これまでの季節性インフルエンザに使用されてきたワクチンと比較しても、倍近い効果があげられている。

今回の中国湖北省武漢市を起源とする新型コロナウイルスに人類が打ち勝つ手段は、結局のところワクチン接種以外には今の所ないのだから、これを徹底する以外に方法がない。

事実、今、日本政府は徹底してその確保と接種に全力を注いでいる。

既に多くの国民への接種が普及した各国と比較しても、その接種のスピードは、ほとんど世界一と言ってもいい。1回目の接種が終わった医療従事者は96%以上で、高齢者も60%以上の接種を終えた。

既に東京、大阪では大規模な集団接種が可能な場所が設置され、緊急事態宣言解除と同時に、1000名以上規模の企業の職域接種も始まる予定だ。

また、政府は、今回の国難に際し、特例措置としてワクチンを打つ資格を拡大し、医療従事者不足を補う手段を議論している。

これら官民一体となった動きに際し、今一度、昨年からの混乱の中で問題となってきたのが、今回のような東日本大震災にも匹敵するか、或いはそれ以上の経済的な損失を被る有事の際の法制度の不備だ。

昨年春頃より問題視されたのが、各国からの入国制限問題で、これについて立憲民主党をはじめとした野党は、この時とばかり政府の入国制限の不備を指摘した。

出入国管理法には多少のザル法と呼ばれても仕方ない側面もある。ビザ等の取得が行われている一定程度の条件を満たし、日本に入国する前に滞在した国の感染症に関わる非罹患の証明があり、かつ空港での発熱、PCR検査をすり抜ければ、比較的簡単に入国できる。

入国後の隔離に関しては自主隔離をお願いするのが大前提で、命令にはならないので強制性が担保されない。

つまり、自主管理と称してホテルなり、民家に滞在していたとしても、それを管理することは、一日一回の報告程度に限られる。つまりいくらでも抜け道があるのだ。国会内でもその水際対策の甘さについては、与野党双方から批判されている。

また、国内の非常事態宣言については、自治体の許認可により営業活動を行なっている店舗には、ある程度の罰則を適用可能であるが、個人の行動に対しては、私権を制限することは出来ない。あくまでもお願いベースでしかない。

勿論、感染拡大の要素はそれだけではないにしても、個人の行動制限を行えない以上、感染抑止を完全に行うことは出来ない。

ところが、野党、特に立憲民主党は、「ゼロコロナ」政策を行うべきだと政府に迫ったりもしている。一見、最もらしいことを書いているように思うが、そもそも、日本では有事の際に個人の私権を100%抑え込むことは出来ない。

日本には有事法制が完備されていないので、仮に国家権力が個人の行動制限など行なってしまうと、そもそもが憲法違反となる。

言い換えれば、立憲民主党の文言の中には、巧妙にこれら私権を制限する点が書かれていない。つまり、彼らはそもそも個人の行動制限をすることが出来ないことを分かって、このような政策を打ち出しているのだ。

ここでは詳細は省くが、例えば外国人による土地購入に関して、日本ではその規制に法整備が遅れていると憤る人がいる。これは、簡単な問題ではない。大きな話で言うと人権に関わるからだ。つまり、最終的に最高裁での判断を仰ぐ場合、憲法がネックになる。

憲法で個人の権利が制限されないと表記されているから、内閣法制局は憲法に抵触しない範囲で新しい法整備を行ったり、法律の改正を行う。ところが、日本は憲法制定後、一度も改正が行われていない。

先程の話に戻ると、本当に人流を100%制限し都市間のロックダウンを行えば、確かにゼロコロナは実現できるかも知れない。事実、一度目の緊急事態宣言の時、日本国民は総じて自らの行動を制限してきた。ところが、それをやったにもかかわらず2波、3波はやってきた。実は日本の感染者数は、マスコミで話題になったように「さざ波」程度でしかないので、クラスター等が身近で発生しない限り、感染拡大の実感が湧かないのだ。

だから、いくら行動制限をお願いしても、やはり個人は行動を止めない。

つまり、長年、改憲を阻んできた今の野党は、根本的な法改正を望んでいない。

ただ、自分たちの政権批判、保守派批判、自民党批判の材料としての改憲阻止が念頭にあるだけで、日本国民を苦しめているのである。

これは入国制限についても同じことが言える。

ニュージーランドや台湾の鎖国政策を見習えと立憲民主党議員は言うが、それは憲法と法整備が出来ているから、思い切った政策が行えるのである。

つまり、今の日本における感染拡大の原因の大元の元を辿ると、今回のような有事に対する法整備が遅れているからであり、それを邪魔し続けてきた野党に根本的な問題がある。

今の日本の改憲を阻む全ての政党は、日本国民の生命の安全を保証する国家運営には全く興味が無いのである。

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