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ジャニー喜多川氏の性加害問題の本質とは何か?
ジャニー喜多川氏の性加害とは?
Twitterでジャニー喜多川氏の性加害に関して呟いた時、ある人から以下のような批判を受けた。
その際、コメント欄に私が考えている点を触れておいたが、ここに改めて書かせていただく。
私のツイートはこちら。
美少年好きのエロジジイに少年をあてがい続けたジャニーズが一番、問題があるだろう。
— 倉沢良弦 (@ryougenkurasawa) June 1, 2023
裁くべきはジャニーズで、いくら死人に口無しとは言え、責任の所在はジャニーズにある。 https://t.co/M6xEboDmFj
この私のツイートに対して、以下のような反応があった。
めっちゃ失礼なツイートですね
— みやびmama (@miyabi39mama) June 1, 2023
あなたのツイートでは
ジャニーズ事務所で性被害を受けたと主張する保護者に対しても
エロジジイに、子供を差し出した人になり
非難の対象になる
現役ジャニーズタレントやファンも侮辱しているツイート
アゴラって、こんな感じなんだ
がっかりです
ご本人がツイートを削除する可能性もあるので、念の為、スクショも貼り付けておく。
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私は刺激的な言葉を使っているので、このような反応があるのは、想定の範囲内。いやむしろジャニーズファンの多くで同様の反応を示す人は多いだろう。
曰く、子供達はどこまでも被害者であると言う視点だ。確かにその通りで、そもそもジャニー喜多川氏は小中学生を対象に性加害を繰り返してきた。
ジャニー喜多川氏にしてみれば、自分がシゴいたり舐めてあげることで、子供達を大人にしてあげてるくらいに考えているらしいが、カウアン岡本氏の証言や他の顔出し名前出しで証言している人の言葉にもある通り、それ以上の行為に及んだ事例も多いようだ。
断っておくが、男色趣味は日本でも昔からあるし、『薔薇族』や『さぶ』なんていうゲイ雑誌もたくさんあった。日本では密やかな性的趣味嗜好として、同性愛は厳然として存在してきたことも事実で、私はそれを否定するつもりは一切、ない。
男を見て興奮すると言うのはただの趣味で、それ以上のものではなく、そんなものは好きにすればいいし、放っておけばいい話だ。
ただジャニー喜多川氏が好んでいたのは、小・中学生や未成年の少年だったことが問題なのだ。
そもそもジャニー喜多川氏の性加害問題を取り上げたメディア記事は、1965年の『週刊サンケイ』に端を発する。
ジャニーズ性加害報道、最初は「1965年」 雑誌や書籍の追及はなぜ見過ごされたか
これは弁護士ドットコムニュースの記事だが、過去のジャニー喜多川氏に関する報道や裁判の中身について詳報していて、現在までの経緯を知りたいならこちらの記事をご一読されることをオススメする。
私のツイートを批判してこられた方は、今回の問題の本質をご理解されていないようなので、改めて私見を述べさせていただく。
今回、BBCの番組内容が発端となって、改めてジャニー喜多川氏の性加害問題が表沙汰になり、しかもそれが全世界に情報発信されることとなった。
Why is J-Pop's Johnny Kitagawa still revered in Japan despite being exposed for abuse? - BBC News
世界的にはジャニーズが日本の男性アイドル界を牽引してきたことはよく知られているし、ジャニーズタレントがアジアを中心に一定のファンを有していることも知られている。また、ジャニーズが男性アイドルと言うジャンルにおいて、韓国を筆頭に影響を与えたことも知られている。
そのジャニーズを牽引してきたジャニー喜多川氏の裏の顔を暴露したBBC報道が、逆輸入された形で、日本でも地上波や大手メディアがこの問題を取り上げる格好になっている。
これまで1965年の『週刊サンケイ』記事以降、ことごとくメディアで無視されてきた内容に大手メディアが踏み込んだのは、当事者のジャニー喜多川氏が鬼籍に入られたことに起因しているのは間違いないだろう。しかも、ジャニーズのグループがことごとく解散したりジャニーズを脱退することが続き、ジャニーズ帝国の終わりの始まりを感じ取ったからに他ならない。
ましてや被害を受けた当事者が名前を出し、顔を出して暴露したことで、メディアとしてもそれを認めざるを得ない。
実はこの問題を最初に取り上げたのは、メディアではなくて、先日、議員辞職したガーシーこと東谷氏だった。既にYouTubeチャンネルはアカウント停止され、他のチャンネルもことごとくアカウント停止になっているので、その中身を知ることはできないが、ガーシー氏の発言を追いかけてきた人にはよく知られた話だ。
責任の本質は、どこ?
前述の私のツイートに反応した方にもお伝えしたが、今回の性加害問題の責任はどこにあるのか?ということを、私は以前から問題視してきた。
ジャニー喜多川氏の男色趣味の相手が、ハゲデブのオッサンなら、キモい趣味だな、くらいの社会の反応だっただろう。ところが、BBCがわざわざ特別報道番組を組んだ背景には、日本人が窺い知ることが出来ない西欧社会にとってもっと大きな問題が内在している。
最初に、ジェフリー・エプスティーン事件だ。
米富豪の性的人身取引、12歳少女も 米ヴァージン諸島で起訴
欧米でこの事件が大問題になったのは、子供を人身売買していたことと、性的虐待を加えていたこと、そしてイギリス王室が絡んでいたからだ。
実はジェフリー・エプスティーン事件も、アメリカの一部の人たちには実しやかに囁かれ続けてきた事件だったのだが、アメリカやイギリスのエスタブリッシュが数多く関与していることで、なかなか表沙汰になることはなかったと言われている。しかし、噂レベルの話から英王室が関わっていることを名前出し顔出しで報じられたことで、一気にジェフリー・エプスティーン被告逮捕まで行ったと言われている。
キリスト教社会である欧米の中でも、プロテスタントは家族意識が強く、アジアに古くからある家父長制とは違った意味で、家族の絆、親と子の関係を大事にする。またアメリカ社会では富豪になり社会貢献を行うことが、社会的責任を果たすことであり、お金持ちの役割だと考えられている。そのお金持ちであるエロジジイが、金の力に物を言わせて自分の性欲を満足させるためだけに子供を攫い、外界との接触を絶って性的暴行を加え続けていたことは、断じて許されない事件なのだ。
日本のパパ活で若い女を囲い込むとか未成年に小遣いを渡して性欲を満たすキチガイとは、根本的に意味が異なる。
またもう一点、BBCのジャニーズ報道が問題視された背景には、クリスチャニズムと言う問題がある。
クリスチャンの祭司の多くは、異性との性行為や婚姻が禁じられているため、同性愛を好む人が多かった。ただ、それが信徒の子供達に及んでいたことが表に出たことで、アメリカのみならず欧米各国の実態が明らかになることになった。
その実態はcourierの記事に網羅されている。
聖職者による性的虐待はなぜこんなに多いのか
また、これらの事件については、アカデミー作品賞を受賞した『Spotlight(2015年)』で、日本人の多くに知られることとなった。キリスト教社会ではない日本では映画の完成度だけが話題になっていたが、欧米では実際に起きた事件に基づいて、しかも聖職者に関わる事件だっただけに、世界を揺るがす大問題になった。
信徒から尊敬されるべき存在である聖職者が、自分の性欲を満足させるために子供達を食い物にしてきたことは、キリスト教社会そのものを否定しかねない問題なのだ。
これらの背景があるが故に、BBCがジャニー喜多川氏の性加害問題を報道番組にしたことは、欧米では日本とは違った別の捉え方をされていると言っていいかもしれない。
つまり西欧社会で否定されている価値観が、日本では罷り通っていると言う違和感で捉えられているのが、BBCの報道内容なのだ。
それは価値観の相違でもあるので、一概に同列に扱う物ではないが、しかし、日本の芸能界を牽引している存在であるジャニーズのしかも創始者の性加害問題は、欧米ではジェフリー・エプスティーン事件と本質は同じではないか?と思われているのだ。
そして、ジャニー喜多川氏の性加害問題における責任の所在は、追及されて然るべきだ。
私は、前述の方へのアンサーとして、その点にも触れている。
私は、ジャニー喜多川氏の性加害問題の責任は、ジャニー喜多川氏本人、ジャニーズ事務所、メディア、タレントの父兄、ファンの全てに及ぶと考えている。
「それは過大な表現だ」
と言われるだろうか?私はそうは思わない。以下、その意味を書く。
問題の責任は黙ってきた人、全員にある?
1965年に行われた告発記事以外にも、過去、ジャニーズに所属してきたタレントがジャニー喜多川氏の性加害を告発してきたが、それらはメディアに取り上げられることはなく、また仮に取り上げられたとしても、中身を歪曲されたものであった。
その原因の多くは、ジャニーズタレントの商品価値にある。
ジャニーズが芸能界で幅を利かせてきた理由は、一も二もなく、この点に尽きるだろう。そしてテレビも雑誌もタレントを持ち上げてきたメディアは全て、ジャニーズタレントを利用し、食い物にしてきた。彼らはお金を産んでくれる。
そして、ジャニーズタレントを応援するファンは、怪しい噂、黒い噂については耳を塞ぐ。ファンとしてそう考えるのは当然で、誰だって自分の推しが、いかがわしい事務所にいるとは考えたくない。
また、テレンと自身も、子供ながら今、この一瞬さえ我慢すれば自分はデビューが出来る、スポットライトを浴びることが出来ると考えれば、エロジジイに下半身を弄られたところで我慢する子供もいるだろう。
仮に子供から親に、ジャニー喜多川氏にそんなことをされたと訴えても、相手は芸能界で巨大な権力を行使できる立場のジャニーズ事務所だ。自分たちが騒いだところでジャニーズに勝てるだろうか?裁判を起こす、刑事告発することは、自分たちの情報も世の中に開示されることになり、今後の生活はどうなっていくのだろうか?と言う不安もあるだろう。そう考えて泣き寝入りする事例もあったのではないだろうか?或いは、ジャニーズ事務所に苦情を言ったところで、もしかしたら金銭で解決した事例もあるかもしれない。
ジャニー喜多川氏批判を行うと、ジャニーズタレントの熱心なファンが、噂レベルの話でジャニーズ事務所を批判するなとお叱りをいただくこともあるが、彼らは被害者が自ら顔出し、名前出しして事実を告発、暴露している中身を信じるなと言うのだろうか?
ジャニー喜多川氏本人が亡くなられているので、あとは被害者の証言以外、確たる証明方法はない。仮に被害者と称する彼らが嘘を言ってるとか、売名行為で行ってるとするなら、被害男性に何のメリットがあると言うのだろう?
恋は盲目で、ファンであることを正当化したい気持ちは分かる。分かるが、これだけ世間を騒がせている内容について、責任追及される動きがあるのは当然ではないだろうか?
少なくともジャニーズタレントやジャニーズ事務所にはその責任がある。
ジャニーズ事務所が設立された当初から噂され続けていた、問題について、世界的な問題に発展して初めて報じ始めたメディアも、これまでジャニーズタレントを利用してきたからこそ、問題にしてこなかったのであり、またジャニー喜多川氏が亡くなり一気に求心力が低下し、もはやジャニーズ事務所の存続にまで事態が進んでくると手のひらを返す。いかにもメディアがやりそうなことだ。
つまり、今回の件の責任を問うとするならば、ジャニー喜多川氏の性加害に目を瞑ってきた全ての人にその原因があるのではないだろうか?
古くは『週刊サンケイ』の記事を受けて『女性自身』がジャニー氏本人に取材したところ、性加害について触れた時、色をなして席を立ったと言われている。つまり、彼がやっていることは、もうバレてますよと警告を発しているのだから、それでジャニー氏も少年に対して手を出すことをやめればよかったのだろうが、彼の性欲はそれを許さなかったから、80歳を過ぎてなお、少年への性加害を止めることは出来なかったし、ジャニーズ事務所の誰も、エロジジイの悪戯を止められなかった。
これは憶測だが、ジャニー喜多川氏の周辺は、どうせ金で解決すればいいだろ?くらいに考えていたかもしれない。
ここからは邪推だが、結局、ジャニーズ事務所がジャニー喜多川氏の行いを知っていて放置していたのなら、ジャニーズ事務所自身が美少年をリクルートし、エロジジイであるジャニー喜多川氏に提供し続け、問題が生じたらもみ消すことを繰り返してきたのではないだろうか?
つまりジャニーズ事務所自身が性加害を放置する温床となっていたと言えないだろうか?BBCが問題にしているのはジャニー喜多川氏の趣味ではなく、そんな日本の芸能界に巨大な影響力を持つジャニーズがの晒しにされてきた体質ではないだろうか?
これを放置してきたメディアもファンも当事者も同罪だと思えてならない。
これからのジャニーズ
ジャニーズはここ10年くらい、著名なグループの解散やメンバーの脱退が相次いでいる。ただ、裾野が広いので、次々にタレントを輩出し続けてはいるが、しかし、もはやジャニーズ帝国は凋落に向かうしかないだろう。
現在のメリー喜多川氏の釈明動画にしても、釈然としない中身であったし、調査委員会のようなものを設けると言ってはいるが、恐らくジャニーズ内部の人間で組織されたものになるだろうし、とてもではないが客観性を担保したものにはならないだろう。
芸能界でのジャニーズのネームバリューは大きいだろうが、しかし、絶対的な求心力を持っていたジャニー喜多川氏がいなくなった今、ジャニーズ事務所は最悪の場合、解散して各タレントをどこかの事務所に託すか、新たな事務所を設立した滝沢秀明氏の事務所に託すか、関西中心に一大勢力に拡大した吉本興業に託すかして、タレントを守っていく必要があるだろう。
ファンはジャニー喜多川氏の性的趣味には1ミリも興味がなくて、タレント自身のファンなのだから、ファンのためにも、ジャニーズ事務所はしかるべく責任ある対応をすべきだ。