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映画:オブリビオン

※ネタバレあり

インターステラーに続いて、宇宙SF的な作品を見たくなってAmazon Primeで視聴しました。
地球の荒廃感と、それに対比された緑のある湖畔など、映像が綺麗で良かったです。
トム・クルーズって光の速度ぐらいで動いているんでしょうか、いつまでも若い気がする。

敵のはずのスカヴについては全然姿を映さないし、指示を出す上官は通話の画面映像だけの登場。
その丁寧な前振りのお陰で敵味方が逆なんだろうなと早々に予想できたので、映画中でこの事が発覚する場面での驚きはありませんでした。

さてここからの展開は、記憶を消されて今までいいように操られていたジャックの復讐劇(「Oblivion」のタイトル回収)かと思いきや、ジャックペアがクローンとして多量に作り出されていた事実も発覚。
この2重の仕掛けは流石に予想できませんでしたね。

でもこの設定、記憶を消して使い捨て消耗品として再利用したなら別として、わざわざ新規作成した意味って何なんでしょう?
人間的な自律機械を必要とした訳でもなさそうでしたし、それならドローンで良くないか?と思ってしまいました。
人間なんて信頼性のある部品ではないですし、ウイルス兵器のように微小で培養が容易でもない。
映画「マトリックス」のように発電として利用や、小説「ハイペリオン」のように神経ネットワークを利用したとか、何かしらの説明があるなら納得するんですが、その辺りの動機は無かったように思います。
ドローンだと穴に入ると電波が途切れるから?
未来の異星技術なのに、ひと昔前の携帯電話みたいな…。

ドローンはあれだけ制御できるのに、ジャックの乗っていた飛行ビークルをオーバーライドして動きを止めなかった事にも疑問。
人間の動作や心理を完全にコントロールできないのに、リスクを伴ってまでクローンを使役するならば、機器にそれぐらいのバックドアを用意するのは当然では。
フェイルセーフはおろか非常停止ボタンすら考慮しないなんて、ジャック同様にテット自身も使い捨てだったのでしょうか?
テットは母星系から播種の前準備のために送り出された、家庭の洗濯機レベルのシーケンス制御マシンだったとしたら納得できるかも。
この辺りの説得力が映画中にもう少しあれば、素直に展開を楽しめたのになと思います。

高知能で上位種だけど嘘をつくという概念がなく、人間の本音と建て前や嘘の言葉をあっさり信じてしまうというパターンは他のSF作品でもある(ぱっと思い出せたのは小説「三体」)ので、テットはジャックの言葉の裏を読めずに爆散しましたね。
箱から出てくるときに「surprise motherfucker」(有名なmeme)と脳内で再生されました。

機械に作られたクローンとはいえ人間ですし、役割や動機とかも色々違うんですけど、物語全体を通してなんとなく映画「マトリックス」っぽいなと感じました。
ネオとエージェント・スミスを、トム様が1人でこなしたよという感じ。

ラストは以前戦った52ジャックが隠れ家を見つけて、俺たちの新生活はこれからだ!エンドとなりました。
でもジュリアが愛した49ジャックとは別個体ですし、49とは会ったけど記憶の共有もなく同じなのは見た目だけなのですが、それで良かったのでしょうか。
「49のアイツに託されたんだ」的なノリで受け入れられるのかな。
そして49と52以外のクローン達もいるはずなのですが、49ジャックがそうだったように多少の規則破りを厭わないあの性格なら、いつか隠れ家に大集合してしまうかも。

種としての人類からすればハッピーエンドのようでしたが、メインの登場人物からすれば何とも言えない結末になったような気がしています。
実は異星人の太陽系への播種の準備はすでに完了していて、テットの役割が終わったので後は人間に自主管理をさせただけ、数年後に…なんて続編プランもありそう。
色々もやもやした部分もありますが、良く言えば観る側に考える余地が多いという事かな。


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