【映画】BABYLON/バビロン
【あらすじ】
夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニーと、彼と意気投合した新進女優ネリー。サイレント映画で業界を牽引してきた大物ジャックとの出会いにより、彼らの運命は大きく動き出す。恐れ知らずで美しいネリーは多くの人々を魅了し、スターの階段を駆け上がっていく。やがて、トーキー映画の革命の波が業界に押し寄せ……。
『セッション』『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督作。
ゴールデングローブ賞の作曲賞を受賞してる。
これは多いに納得。
冒頭の乱痴気パーティで流れる曲なんて、こっちまで血が騒ぎそうになったもん。
3時間強という長尺のストーリーの中で一貫してテーマとなっているのは”栄枯盛衰”
無声映画の時代からトーキー映画への移行期。
今まで、動きと表情で演技をしていた役者たちは、否応なしに”声”での演技を求められるようになる。
言ってみれば、雰囲気、オーラさえあればスターになれた時代から、実力が伴わなければ芽が出なくなってしまったということ。
なるほど確かにな。と思った。
生まれてからこれまで、当たり前のようにカラーで音声付きの映画を享受してきた僕は、台詞を読んで演技する人のことを”役者”と括っていたけど、そうでない時代もあったんだと。
よく考えれば当然のことなんだけど、今まで気付けないでいた。
そんな時代の移り変わりについて行けなくなった俳優を演じるのがブラッド・ピッド。
やっぱり存在感が半端ない。
歳食って哀愁のある役がかなりハマるようになった。
ちなみにブラピの主演作で1番好きなのは『マリアンヌ』
そしてもう1人、時代の変化に苦しんだ役者を演じるのがマーゴット・ロビー。
彼女も画面に写るだけで華やかになるほどの存在感。
劇中で言った「私は生まれながらにしてスターよ」というセリフも納得しちゃう。
退廃的だけど色気がある。
そんな役柄にピッタリの配役だったと思う。
そんな強烈な2人だからこそ、3時間強という長さに何とか耐えれた部分はある。
Filmarksを見てみたら、「長いけどストーリーに抑揚があって全く退屈しなかった」的な感想が多かったんだけど、ストーリーに起伏はそこまでなかったぞ。
正直、削除しても何ら問題のないエピソードが多すぎるとも思う。
前半、乱痴気パーティで映画業界のイかれたバブルっぷりを見せ、その後、トーキー映画の登場により対応を迫られた役者達の困惑っぷりを見せる。
そして、対応できずに過去の人として忘れ去られゆく役者の辿る道は、、、
ってのが大まかな流れだからね。
それでも監督の映画に対する異常な程の熱量はビシビシ伝わってきたけどね。
特にラストの、時代を変えた映画達をフラッシュバック形式で引用していく演出はかなり好き。
今年初の劇場鑑賞作だったけど、観て損はなかったな。
ちなみにFilmarksで『真の映画好きにしか理解できない映画!にわかは観ない方がいい!』とか言ってる痛いヤツがチラホラいるけど、そんなん気にすることない。
映画に詳しくなくたって観たければ観ればいいんだよ。
もしかしたら、この映画を観て、趣味が映画鑑賞になる人がいるかもしれないじゃん。
排他的な考えは、見識の狭さを露呈させてるだけだからね。