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師匠ラストラム村田さんのから教わったこと① - 「時代とタイアップ」

僕の師匠は、間違いなくラストラムの村田さんだ。
矢沢永吉だったり、ブルーハーツだったり、X JAPANだったり、今はOfficial髭男dismがラストラム所属だったり、トップクラスの才能モンスターと関わってきた村田さん。

僕は音楽エンタメに関わる上で最初の会社としてラストラムに入社して、たくさんのことを学んだ。
村田名言はありすぎて全てはここに書ききれないので、大切ないくつかをピックアップしてお伝えしたい。

一つ目は、

「時代とタイアップ」

という言葉だ。

セカオワがデビューして、レコード会社トイズファクトリーと契約したくらいの頃だったと思う。
メジャーデビューをして、さらにもっといろんな人に聴いてもらいたく、初タイアップを求めて奔走していた時期。

まだ世の中的には無名の新人が、音楽レーベルとしては知名度の高いトイズからのプレゼンのおかげで、何度か選考の候補として良いところまで進んでいた。
しかしながら、バンド名がネガティブだという理由などで、最終決定をなかなかもらえず、幾たびも悔しい思いをしていた。
そんな時、村田さんが「タイアップっていろいろあるけれど、大きく言えばタイアップすべき相手は3つだけだよ。」と教えてくれた。

タイアップすべき相手は3つだけ。
そして、それを順番で言うと、

一番下が、企業。
真ん中が、季節。
一番上は、時代。

企業とのタイアップ、それはCMだったり、ドラマだったり、映画だったり、所謂一般に「タイアップ」とされているものだ。
このタイアップは、普段自分たちがいる場所ではないところで音楽が鳴ったり、作品とリンクして楽曲の世界観がより深まったり、タイアップ側の宣伝で音が広がったり、そういうプラスがある。
より接点が増えて、新しいファンと出会うためにこのタイアップはとても効果的だ。

ここからさらに村田式タイアップの考え方では、2つあった。
タイアップは企業とのタイアップだけじゃないから、CMとかドラマとか映画とかの話が決まらなくてもクヨクヨするな、それよりもっと大きいスケールで考えなさい、と教えてくれた。

企業とのタイアップよりタイアップすべき相手、その一つは「季節」。
日本には四季があり、それぞれで人の気分も変わる。
春は出会いと別れの季節だったり、夏は爽やかで気持ち良い瞬間を求めたり、秋は夏と冬の間、学校で言えば1年の真ん中のタイミングで後半戦の始まり、気持ちも新たになりやすい時期、冬はクリスマスやお正月、ウィンターソングと言われる冬を連想させるサウンドやスキーみたいな疾走感など、季節が人に及ぼす印象と影響がある。

過去に村田さんがワーナーの副社長だった頃、あるアーティストから冬にライブ盤を出したいと言う相談があったそうだ。
でも、村田さんは冬にライブ盤も良いけれど、人の気分は年末のソワソワウキウキしている感覚だから、それだったらクリスマスソングを書いて欲しいと打診し、そのアーティストもなるほどと理解し、方針を転換。
そして、制作した冬の歌は空前の大ヒットとなった。
この時の話を「季節」とタイアップしただけと、村田さんは言う。

そして、「季節」とのタイアップより、より重要な最後の一つは「時代」。
今の時代、世間に何を求められていて、世間が何を欲しているのか?
時代の気分を読み解いて、時代とタイアップすること。
常にどんな時代かをアンテナを張って、時代とリンクしなさい。
それが出来た時に、何よりも強いよ、と村田さんは教えてくれた。

時代は捕まえようとしても、それはなかなかに難しく、追いかけた時点で、既に時代は次に向かっている。
だから、時代の気分を常に意識して、その瞬間を捉えるしかない。
そして、何より、そもそも時代が求める音楽、クリエイター、そういうものを持った子、感じられる子を手掛けなさいというのが、村田さんのメッセージだった。

だから、何をするにも、「時代とタイアップ」という視点は常に忘れちゃいけないよ、と村田さんから教わった。

以来、「時代とタイアップ」という言葉はとても大切にしていて、必ず毎年手帳の一番最初のページに書き込んでいる。

ちなみにこの3つのどれかで良いというよりは、理想は全てが合わさった時が無敵な状態だ。
なかなかこの全てとタイアップ出来ることは、一生のキャリアの中で一度あるか、ないかだとは思うが、常に時代の空気を感じながら、いつもアンテナを感度高く張り、絶対にチャンスを逃さないようにしたいと思っている。

https://twitter.com/Ryota_Shishido ラストラム→TOKYO FANTASY→RED 主に音楽関係のマネージャー 新しい才能との出会いを求めています。 音源やプロフィールはツイッターのDMかinfo@red.jp.netまでお気軽にお送りください!