世界一のマネージャー - クリエイターとマネージャー(パートナー)の関係
ビートルズには、ブライアン・エプスタイン。
宮崎駿には、鈴木敏夫。
圧倒的な才能を持つクリエイターのその傍には、才能を最大限爆発させるパートナーがいる。
クリエイターにとっても、誰をマネージャー(パートナー)に選ぶかで、そのキャリアは大きく変わる。
そのパートナーとしての「マネージャー」って、なんだろう?といつも考える。
「manage」という言葉の中には、「管理する」「監督する」「経営する」あと「うまくやりとげる」というニュアンスが含まれている。
あと、一般的には、「代理人」という意味も言葉に含まれていると思う。
人によってやり方は違うし、100%正しい正解なんてないと思っているけれど、約10年マネージャーを行なってきた自分なりの考えの一つは、マネージャーとは「才能の可能性に一切のブレーキを踏まず、その才能を信じてサポートする存在」であるべきだということだ。
クリエイターは感受性が鋭敏で、良い意味で一般人とは違う感性を持っている。
彼ら彼女らの発想や見えている世界は、僕みたいな一般人とは絶対的に違う。
一方スタッフは、語弊を恐れず言えば、「一般の人」だと、僕は思っている。
※さらに細かく言うと、一般の感覚を持てる人、という方がニュアンスが正しいのかもしれない。それが物事をスタッフ目線で判断する時の客観性にも繋がってくる。
クリエイターの中にある、まだ誰も感じたことがない、まだ誰も知らない世界。
それがエンターテインメントとなって表出してくるからこそ、たくさんの人を刺激して、圧巻の感動や興奮を生み出すと思っている。
それ故に、クリエイターのアイデアや構想は常識の枠に囚われないことが多い。
一見、実現不可能に思えるようなことや、どこから手を付けたら良いのかわからないような着想も多々ある。
でも、それは、逆に言うと、今まで誰も思考してこなかった新しいエンターテインメントの可能性だ。
それを実現する時に、所謂一般人の自分みたいなスタッフの常識で、未知の可能性にフタをすることは、スタッフとして(特にマネージャーとして)最低最悪の行為だと僕は思っている。
逆に、その発想を諦めず、どうやったら実現出来るかをチームの皆さんの力を借りて、巻き込んで、実現へとサポートしていく。
不純な要素を極力排除して、クリエイターの叶えたい世界を、一緒になって実現していく。
頭の中にある世界を引っ張り出して、現実世界に叶える。
お互いが思い描いている未来に向かって、チームとなって共に歩んでいく。
自分の常識の枠にその才能と可能性を閉じ込めず、クリエイターを信じて最大限サポートすること。
それがマネージャー(パートナー)としてとても大切なことだと、僕は思う。
あと、これも人や会社によって考え方の違いはあるかもしれないけれど、大前提、対等であるべきだと、僕は思っている。
たまにスタッフがクリエイターをアンダーコントロールしようとしたり、その逆でクリエイターがスタッフ任せで好き勝手やったりするチームを見かけることがある。
多分、そのチームバランスでは、なかなかうまくいかないことが多いはずだ。
どっちが偉くて、どっちが偉くないかなんてない。
対等に努力をすることが、大前提だ。
努力を怠ったところに、チャンスは決して巡ってこない。
どんなに圧倒的な才能があっても、その才能を生かすマネージャー(パートナー)がそこにいなければ、その才能は爆発しない。
逆に、どんなに優秀なマネージャー(パートナー)がいたとしても、それだけでは絶対にヒットは生まれない。
クリエイターが貪欲でなければ、叶えたい欲がわからなければ、出来ることは少ない。
クリエイターとスタッフのバランスが悪いチームからヒットが生まれることは、基本的には難しいと僕は思う。
そして、なんでもそうだと思うけれど自分1人で出来ることなんて本当に少ししかなくて、クリエイターとマネージャー(パートナー)の関係は、チームの最小の形だと思っている。
意見が分かれてぶつかる時もあるかもしれないけれど、それは健全な証だ。
お互いが対等に、その未来やプロジェクトがよりよくなるために、全力で尽力する。
その切磋琢磨したチームの結果が、世に現れるだけだと、僕は思っている。
そして、マネージャーとして、何より大切なこと。
その才能を「好き」だと言う気持ち。
少なくとも一番そばにいるマネージャーは関わる子たちの世界一の熱烈なファンであるべきだと、僕は思っている。
理想論かもしれない。
でも、その才能を熱狂的に愛する1番のファンが、彼ら彼女らにとって世界一のマネージャーにふさわしいはずだと信じている。
逆に言うと、クリエイターの子たちも、自分の才能や作品を愛して、信じてくれるパートナーと出会って欲しいと願っている。
人生は一度しかない。
選んだ選択で、その道は進む。
誰を選ぶかで、その才能の人生も変わる。
世界中が敵になったとしてもその才能を愛してくれる1人の熱烈なファンが、その才能のキャリアをきっと大きく動かすはずだ。
嫌いな勉強は1分でもやるのが辛いけれど、好きなことは時間を忘れて熱中出来るし、無限にその熱を伝えられる。
その逆、無理は続かない。それは、当たり前で自然の摂理だ。
だからこそ、「好き」と思う気持ちや情熱は、関わる才能にとって何より最強の武器となる。
そして、その想いや熱意は確実に伝播する。
「好き」というパワーは、何よりも強い。
もし仮に、マネージャーがその才能にあんまりピンときていない人だとして、「この子、こんなに才能があるんですよ!」と、他人に伝えても、きっと相手の心に届いていかない。
嘘は見透かされる。
そして、自分が好きじゃないものを他人に好きだと勧める矛盾は、必ずいつか破綻する。
だったら、違う人がマネージャーを担当した方がいいし、違うチームを作り直した方がいい。
それは、才能に対して失礼だし、明らかにミスマッチングだ。
今までの経験やキャリアや会社での立場よりも、「好き」というエネルギー。
僕だってマネージャーの経験ゼロから、惚れ込んだ才能を好きだという気持ちだけで10年突っ走ってきた。
「好き」がなければ、きっと続かなかったし、たくさんの人たちにその存在を届けるために尽力し切れなかったことは間違いない。
マネージメントは、人の人生を預かる役割だ。
関わった子たちの人生の時間を絶対に無駄にしたくはないし、してはいけないと、その責任の重みに日々吐きそうになるけれど、マネージメントとはそういう存在だと思っている。
今、独立して、いくつか準備を進めている中、関わる彼ら彼女らにとってのベストな存在でいなければならないと背筋は伸びる。
そして、いつか人生が重なって、将来一緒にチームになれる子たちにとっても世界一のマネージャー(パートナー)となるように、日々変化しながら精進を重ねていきたい。
https://twitter.com/Ryota_Shishido ラストラム→TOKYO FANTASY→RED 主に音楽関係のマネージャー 新しい才能との出会いを求めています。 音源やプロフィールはツイッターのDMかinfo@red.jp.netまでお気軽にお送りください!