Brilliant Blue
昨夜、『Brilliant Blue』という文章の公開フィードバック番組がはじまりました。
池松潤さんと仲高宏さんと僕が、希望者から依頼を受けて文章のフィードバックをするという内容です。「作品を批評をする」というよりも、依頼主の想い(例えば「たくさんの人に読まれたい」、「リリカルな表現にしたい」、「わかりやすい文章にしたい」)などを受けて、「その課題を解決するためにはどうすればいいか一緒に考えよう」というスタンスです。その対話の中で、「良い文章とは何か?」の輪郭を象っていくことができればいい。
そもそも「良い文章」というのは抽象的で、一言で表現することはできません。人の数だけ存在します。依頼主が思い描く理想図の解像度を上げていけば、「依頼主にとっての良い文章」に紐づくヒントは自ずと現れます。それをすくい上げながら、考察していく。
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光り輝く青
「Brilliant Blue」という名前は僕がつけました。「知性」を想起させる青が、フィードバックの中で生まれるディスカッションによって光り輝いていくイメージです。60分という時間を通して、「はじまり」と「終わり」で文章の輝きが少しでも増えればいい。そのような想いを込めました。その言葉に合わせて、池松さんが美しいバナーを作成してくれました。地平線の向こうのオレンジはトワイライト、まさに希望と重なります。
実は、ネーミングの候補はいくつかありました。個人的には「読み手たちの鼎談」という名前を気に入っていたので、それで進めていたのですが、収録3日前に池松さんが「この番組って依頼者も来るから四人だよね!」ということに気付いてしまった。そう、それは「読み手たちの鼎談」と名付ける前から知っていたんですよ。心の中で「気付かれちまった…!」と思いつつ、食い下がりました。「あくまで三人の話し合いの中で〝良い文章とは何か?〟を浮き彫りにさせていく試みです。もはや三人の存在が重要なのではなく、三つの視点が重要で…」と苦し紛れに〝それらしい〟言葉で納得してもらうための文章を書きました。それだけだと建設的でないので、急遽3つの代案を送りました。
狙いは二人に「うーん、この3つを選ぶくらいだったら『読み手たちの鼎談』でいいか」と思ってもらうためです。
一つ目は先ほどの「ブリリアントブルー」。
知性をイメージさせるブルーがこの60分で光り輝いていくイメージです。「バ行」と「ラ行」の響きが心地良い。
短所:意味がわからない
二つ目は「文章コンサルティング」。
この言葉が一番イメージと近いです。書き手のお悩み、課題を僕たちが解決していく。
短所:ビジネス臭が強い 偉そうに見える
三つ目は「カルテット~文体のメロディは遠くまで~」。
四人、四重奏。「四人で何か一つのものをつくりあげている」イメージが最も含まれている言葉です。音楽的なイメージも文章と親和性が高い。
短所:抒情的なので内容がわからない
すると、池松さんから「Brilliant Blue」と表記された完成されたバナーが届きました。
「もう出来上がってる!」
ということで、僕のプレゼンテーションは失敗に終わり、めでたく「Brilliant Blue」という名前に決まりました。僕からすれば「読み手たちの鼎談」を持ち上げるための捨て案だったのですが、池松さんのつくってくださったバナーを見ると「あ、素敵かも」と思うようになっていきました。イメージをヴィジュアル化していただいた池松さんに乾杯です。
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「良い文章」は、人の数だけ存在する
第一回の依頼主はきゆかさん。番組の内容がまだ具体的な形で提示できていない中、果敢に参加してくださったきゆかさんには心から感謝とリスペクトを送ります。60分という時間はあまりに短いものでしたが、ここでの経験が今後のきゆかさんの文章に少しでもポジティブな影響を当てることができればと思っています。本当にありがとうございました。
僕たちの解釈や提案も一つのケースに過ぎません。「そういう見方もあるよね」というだけの話です。当然の話ですが、三人の言葉のどの部分を選択して今後に生かしていくのかは依頼主の自由です。番組を視聴してくれている人も「いや、わたしだったらこう思う」などの意見もたくさん出てくることでしょう。そのそれぞれが正解で、重要なのは「良い文章とは何か?」という問いに向き合い、考えること。そのきっかけとなる番組になればいいなと思います。
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こちらから番組を見ていただけます。
そして、第二回の応募もはじまっております。
どうぞよろしくお願いします。