見出し画像

「良い声(魅力的な声)」とは【#言語化れんしゅう】

人間は音楽だ。その人の持った音色がある。対話はその音色同士のセッション。自分の音に詳しくあることも大事、相手の音を捉えることも大事。音色を重ね、絡ませることでハーモニーを生む。人間は音楽だ。コミュニケーションはアンサンブル。

嶋津(X)

二年前、「好きな声と記憶する身体」というテーマでわたしの「声を探求する旅(声の採集)」ははじまりました。みなさんの好きな声を教えていただき、一緒に聴く日々を繰り返していました。「声を味わう」は、「人間を味わう」。身体に記憶させて、音色のアーカイブをつくりたいな、と。

今回、#言語化れんしゅう でもあらためて「良い声(魅力的な声)」についてみなさんにお伺いしてみました。

癒されて心身が回復したり、声の波に身を預けていたい落ち着きだったり、時に気が高まるように力があったり。声によって心と体をポジティブに調えてもらえる声。大樹のように静謐で、深く響く。時に森林を揺らす風のように軽やかで、余韻の長い。そんな声が好き。

その声でもって、どう奏でるかはその人の人柄や表現だったりするのでしょう。

嶋津(X)

これは、わたしの考える「良い声(魅力的な声)」の印象。他の人はどういうことに「良い声(魅力的な声)」と捉えているのか、Xで問いかけてみました。二年前のコメントも含めてお楽しみください。

あなたにとって「良い声(魅力的な声)」とはどんな声ですか?

みなさんのお答え

【1】

女性男性問わず、低い、ゆったりした声の方好きです。発する方も聴く方もお腹の辺りに響く感じの低い声。うっとりとろんとする感じ。

私も向田邦子さんの話し方、言葉選び、トーンら大好きです。中学から憧れの女性なので、嶋津さんから向田さんのお名前が出て、とても嬉しいです。結構早口なんですけど、エレガント。大好きです。

ゆったりと落ち着いた、低いトーンの声。体に心地良く響く音色。あと、わたし、向田邦子さんの話し方好きなんです。

【2】

朗々と響く低音で漢詩を朗読するお声が大好きです。 声優さんだと、若本規夫さんの声に近いでしょうか。 そういえば若本さんの声を、尾てい骨直下型と表現している人がいましたね。

尾てい骨にズドンと響く。音は鼓膜だけでなく、全身を響かせる。その響きの心地良さ。

【3】

「言葉を大切に書いた時、声を使って話してみるといい」と教えられました。私が惚れてしまったのは井上真樹夫さん。言葉の意味に合わせた大切な周波数、のような声のトーン、発音というか (ルパン三世の五右衛門、キャプテンハーロック)。

大切なことばは、声に出して使うといい。いいね。

【4】

その声を聞くと一瞬にして懐かしい時代に戻ることができる「記憶の声色」を持った人が好きです。 第1声のトーンや馴染みの口癖、そしてわたしを呼ぶ呼び方があの頃に連れ戻してくれます。

リリー・フランキーさんの「スナックラジオ」は 知性と洒落とユーモアと深みと脱力がいいバランス。最初は丁寧な落ち着いた敬語なのに時間が経って少しカジュアルになり、少しトーンが上がると打ち解けたようで嬉しくなります。

記憶を呼び覚ます声色。香りと同じく、音も記憶と強く結びついているのかもしれません。

【5】

人体は多くを水で作られているので、波動として「声」を身体を受け止める感覚と云うものが、言葉の意味以前にあるのだと思います。昔読んだ本で、『水は答えを知っている』と云うものがあって。声が持つ音の波動が人の身体を構成する水にも作用することもあるのかなと考えたことがあります。

音の波が全身の水分に与える影響。良い音を聴くと、体も心も心地良くなりそうです。

【6】

内側から弾けさせる。映画『インセプション』をふと想い出しました。 身体的なことも、思考的なことも、外側から「力」を加えることよりも、相手の内側に力となる「種」のようなものを植え付けることで作用させること。

昔、喉風邪で酷いガラガラかすれ声になった時、会う女性、会う女性に「その声、最高なんだけどうしたの?」と言われたのも束の間、風邪が治ると、何で戻しちゃったのと言われたことが、ちょっとしたトラウマです。

声によって、相手の内面の力を引き出せるような声。いいね。ハスキーボイスが人気な理由も考えてみたいですね。

【7】

福山雅治さん。 渋い声からの間。そしてエロネタに流れても心地よく乾いた空間は誰も作れない。「間」が良いですね。

渋い声と間。それが空間をつくってゆく。もはや音楽。

【8】

京都の人の「おはようございます」が好きです。あの独特のイントネーションというか…...柔らかくて低めの声とかだったらそれだけで溶けます。「よう」であがって「ご」で下がるあの落差にぐはっでごさいます。速度は穏やかなほうが断然いいです。シチュエーションにもよりますが、矢継ぎ早に話されるよりも、穏やかに話してくれるのがいいです。

方言に魅力。「生ものの語り」という感じがありますよね。話し方はテンポも大事。

【9】

チョコレートが溶けたような声の人にキュンとします。聴いているだけで心がほぐれるし、気を抜いたらハグしたくなる。アーティストだと、イギリスのサム・スミスさんとかにキュンとしてます。

チョコレートが溶けたような甘くとろりとした声。「気を抜けばハグしたくなる」とは、とてつもない求心力。

【10】

時に凛とした、時にゆるっと甘えた、時にジンと痺れる、時にエモく刺さるような、そして歌う声は心に響き魂を揺さぶるような。 藤井風くんです。 自分のルーツである岡山の言葉を大事にし、常に「自分の言葉」で人に伝えようとする姿勢が素敵だなぁと思います。「癒された」、「前向きになれた」、「生きていく希望が持てた」など、リラックス&ポジティブになれる、つまり身体と心がgoodfeelingになるというのがあります。

さまざまな表情を持つ声。聴く者に、生きる活力を与える声。もはや神の境地。

【11】

博多大吉さんのトーンは非常に好みです。 ツッコミの人特有のものかもしれませんが、話を聞く間合いと返す言葉の選び方が巧いなぁ、と。昼下がりのほんわかしたラジオ番組の雰囲気を壊さずにしっかり言いたいことを伝える技量も込みで聴き入ってしまうことがよくあります。

唄声でいうならチバユウスケ。ヤスリで削った荒さが刺さる感じの声です。声に安心したり安らいだり、その逆も然り。 一声惚れも経験あり(笑) 。自分に関わる人の声で嫌いな声ってないんだよなぁ…。 無意識の意識なのかもしれない。

自分に関わる人で、嫌いな声の人がいない。声が合わないと、お付き合いも合わないのかもしれません。声は匂いと同じ、プリミティブな感覚に訴えかけるもの。

【12】

嶋津さんの声好きですね。テンポも程よく聞き取りやすい喋り方してる気がするし、滑舌も良く、汚そうな言葉はちょっとかわいく言い換えたりする所とか。実は不快そうな話題も不快のままにしない感じ。言葉選びとかも影響してるんかなと。

吉岡秀隆さんの声はいいなぁと思いました。マイナスイオンみたいな声にどこか弱さみたいなものが入り混じって、でもそれを自分が認めてるみたいな。でも強い。母性本能くすぐり系。

褒めてもらえた。ありがたい。マイナスイオンみたいな声。また新たなワードが登場しました。

【13】

空間をぐっと掴むような力強さ。そして、やさしいけれど不安を引き寄せる。人を狂わせるような魅力的な声ですね。

人を狂わせるような声。聴くと心が搔き乱されるような。中毒になりそう。

【14】

芯がある声がすごく好きです。健康体なのが分かる深みのある声です。つくってなくて、ただ声を出してるだけでそういう声が出る人がいます。

健康体が伝わる声。聴くと「健やかだな」と思えるような。なるほど。

【15】

コトリンゴさん、寺尾紗穂さん、湯川汐音さんの歌声が大好きです。透明感があり、耳に優しい響きがとても好きです。 声って不思議で、新生児もみんな声が違ってて、すでに耳に優しいとか刺さるとかあります。声は単なる音ではないと思う経験でした。

声は単なる音ではない。透明感のある声ってありますよね。透き通るような、でも質感はある。そもそも見えない「音」を、そのように表現しても共感できることが不思議です。

【16】

数年前に電車の中でたまたま聞こえてきた話し声に人生で一番不思議なほど癒された。 話しかけて知り合いになってほしいくらいだった。

誰だかわからない人の声に衝撃を受けて、感動するほど癒され、いまだに記憶に残り続けている。声の力、実に興味深いです。

【17】

私とは真逆な人が好きです。 低めの声、ゆったりとしたリズム。 加えて、言葉(単語)に対する解像度が近いこと。

対話する時は、お互いの音色のセッションですから、自分とは異なる音色と調和するのも立体感があっておもしろいのかもしれない。

【18】

子どもの頃、特定の女の人の声を気持ちいいと感じることがあってジワーっと脳内から快楽物質的なものが出る感覚があった。いつもとても不思議に思ってたけど大人になったら消えた。どんな声どんな人というのに特徴はなくて今でもすごく不思議に思ってる。

声によって快楽を味わう。

【19】

歌声で聴くと惹かれる金属的な声の魅力。 今まで甘い声よりハスキーボイスの方に惹かれてきたことを伊藤沙莉ちゃんで思い出した。特に女性の少しひっかかるような声は、いつまでも聞いていたい。古いレコードのよう、並木の葉擦れのようで、優しく心地よい。

愛されていることを感じられる声は、いい声。家族でも、恋人でも友達でも。話し方だと、円熟味でしょうか。一昔前ですとNHKの加賀美アナウンサーがいい声の例えに出されてました。インタビューやニュースを読み込んで伝えてきた話し方、言葉の意味も含まれて、声になっているように感じます。情欲ではなくてもセクシーと感じるのはわかります。理屈なく惹かれる。

ハスキーボイス、金属的な音色。音の種類が多いのだろう。あと、愛されていることを感じられる声。わかる気がする。愛されている人の声。安心感のある響きがありますね。

【20】

私は男ですが、櫻井孝宏さんの声ですね。 男ながら「色気のある声だなぁ」と聞き惚れます。櫻井孝宏さんのキャラで一番好きなのは『さらい屋五葉』というアニメの弥一役です。 ささやき声やため息にすら色気が滲んでいるようです。 イケボ声優好きの女性たちの間では「耳が孕む」という表現があるようですが、男ながらわかる気もします。

「耳が孕む」というのは言い得て妙。心も体もうっとりさせる声というものがある。それは、ため息にすら。

【21】

会話している相手やポッドキャストで話している人が嬉しくなったりテンションが上がってトーンが上がった声を聴くと嬉しくなれるので好きです。人ってテンション上がると声高くなりませんか?

楽しそうに話している声を聴くと、うれしくなる。

【22】

好きな声を聞くと癒し、落ち着きに繋がります。脳を撫でられてるような感じというか、耳から一度脊髄に行ってから脳に届く感じです。

脳を撫でらるような。やはり声には、快楽を味わわせる力があるようです。

【23】

笑った瞬間に、その人を好きになった事があります。まるで獅子の咆哮のような笑い声でした。腹に響く強く優しい笑い声でした。声は身体から発生しますがその根拠は心であると思っています。

笑い声も、おしゃべりとは違う声ですね。空気が多めに出るのでしょう。強く、やさしく、響く。

【24】

声そのものに魅力も感じますが、息づかいというのかブレスにも惹かれます。 特に、歌い出しや声を出す直前の息を吸う音が好きです。

声を出す直前の息を吸う音。もはやフェティシズム。ただ、そこから既に声ははじまっている。

【25】

ウィスパーに似ていますが、複数人で集まっている場にいるカップル、夫婦が今まで他のメンバーと話していた時とは異なるオフなトーンで話はじめ二人の空間が出来上がった時に、何だか秘密の空間を垣間見た気分になりワクワクしてしまいます。

ひそひそ話がつくる空気感。

【26】

私は、小さい声が好きです。同じ人でも、声を張っているときと、小さな声では、全然違うから。だから、「小さい声で話して?」といつも頼むけれど、難点は、相手の話している内容があんまり聞き取れないことです。詩歌だけでなく散文でも、音読したときにだけ発動する呪いとか魔法とか、そういうものを私は信じています。

小さい声は、耳を澄ませなければ聴けないから、そこで互いの関係に強い結びつきが生まれるのかもしれません。それを含めて、声。

【27】

映画『THIS IS IT』の中で「小さい声で話して」とマイケルが囁くような声で伝えたシーンがわすれられません。声のボリュームは相手に呼応しやすいし、感情がのってしまうとつい大きく被せたり。一定音域で話す方には憧れます。

声のボリューム、そこに感情をいかに乗せるか。

【28】

相手の言葉を受け止めるのに十分な間、周りを気遣える音量。デリカシーのある人の声はみんな美しいです。植物みたいなもので、環境によって受け取られ方が違うと思います。

音色の奏でられ方。音量と間。繊細な部分ですよね。

【29】

心の中心の一番繊細で柔らかい部分にズキュンとくる声。 スモーキーでベルベットのようで深く慈愛に満ちた声。 これは単なる偏愛ですね。

声には、その人の深いところまでアプローチする力がありますよね。スモーキーで、ベルベットのような質感、慈愛に満ちた。たまらないです。

【30】

声質や声色に関してはそれぞれその方の個性と感じていますからこだわりはないのですが、間の良いあいづち、急がない口調、落ち着いた返答、的確な疑問形、優しい感嘆符など総合的に相性良く感じる方の声は魅力的だと思います。

あいづち、口調、落ち着き、感嘆…なるほど。コミュニケーションの含まれる声の表情とその相性。

【31】

低くて落ち着きがあって、歌うと艶やかな声。

落ち着いていて、歌うと艶やかに。おしゃべりの時と、歌をうたう時はまた少しニュアンスが変わるんですね。

【32】

耳ざわりがよくて、なめらかで、解らない言語でも心地良く、聞き入ったり、眠り誘われたり、不思議です。

解らない言語でも心地良い、というのすごくよくわかります。

【33】

凛とした声と想いがのった声です。

洗練されていて、そこに想いが乗った声。深く届きそう。

【34】

感情と、理性も傍らに置いて、自分の中に在るものを緩やかに外へ向けて発しているような落ち着きのある声。どっしりとした軸や重み、優しさや体温を感じるような声。それでいて、かわいい色をしている声が魅力的です。

芯があって、やさしさや体温を感じるような。もはや魂とか生命みたいなものだ。

【35】

興奮や動揺を強く感じない、静かな声に魅力を感じます。

静謐で、感情の揺らぎを感じさせない落ち着いた声。

【36】

ゆっくりとした発音と、低めの声にかすかなブレスです。

落ち着いていて、セクシーですね。

【37】

やさしくて芯のある声。心地よいリズムを感じる声。

リズムの繰り返しがグルーヴを生みますから、この「心地良いリズム」は重要なポイントだと思います。

【38】

相槌が優しい聴き手の対話は、聴いてても安心していられます。 相槌は話している人に対してだけではなくて、それを聴いている人達への思いやりも含まれていると思います。

語りだけでなく、あいづちもまた声。そこには思いやりも含まれている。

【39】

耳に美味しい声。

耳に美味しい。いいですね。グルメな耳。

全てではないですが、このようなコメントが届きました。

ことばには、人それぞれにイメージがあり、定義がある。それらを読ませていただいていると、わたしの中でも「良い声(魅力的な声)」のイメージがすくすく育っていきました。

#言語化れんしゅう

これからも皆さんのお知恵をお借りしながら試していきたいと思います。Xのスペースでは、みなさんからいただいたことばを感想を述べながら紹介させていただいております。ぜひ、お気軽にご参加ください。




いいなと思ったら応援しよう!

嶋津 / Dialogue designer
「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。