ときめき大晦日
2024年、最後の日。
朝陽を浴びながらさんぽして、「一年の振り返り」をしながらVoicyの収録を。今年の元日に掲げた抱負を振り返る。“ゆるす”がテーマの一年だった。「聴す」と書いて“ゆるす”。そう、“ゆるす”ができてないければ、人の話は聴けない。“ゆるす”とは、相手のことだけではなく、自分のことまで含めて。一年を通して、“ゆるす”を心がけたことでわたしの器は少しだけ大きくなったように思う。ゆるせるようになって、より広く、より深く、より細やかに、より大まかに、人の話を聴くことができるようになった。相手の魂の声に耳を澄ませ、受け止めることができるようになった。
“人間”の豊かな音色、そのカラフルな色彩を味わうように、人の話を聴くこと。わたしは日に日に成長する。
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いつも通り、玄関、廊下、トイレを磨く。雑巾をしぼって床磨き。肉体も鍛えられて、瞑想の時間も味わえる、豊かな時間。家の周りを箒で掃くと、清々しい風が流れた。
妻の身体をマッサージする。この一年に、共に過ごす豊かな日々に感謝して、労うように。妻の身体をマッサージしはじめたのも今年のこと。身体の凝りをほぐすことで、心の凝りもほぐしてゆく。すると表情もゆるみ、ことばも声もやわらかく、あたたかくなってゆく。健やかに、美しくなってゆく。対話を深めるためには、身体について学ぶことも重要だと気付かされた。身体の発する声に耳を澄ませ。
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昼は、スンドゥブを食べた。義父の入院する病院の近くある韓国料理屋。ここがとにかくおいしい。キムチとナムルの前菜は、丁寧に盛りつけられていて、複雑で繊細な風味。韓国料理にそれほど詳しくなかったので、ナムルはモヤシとワラビにごま油と調味料を和えたものだとばかり思い込んでいた。いやさ、ナムルとは野菜、山菜、野草、何だってアリなのだ。ナスでも、パプリカでも、オクラでも、シイタケでも、味付けすればナムルになる。ナムル、豊か。あと、牛すじの茶碗蒸しもコクがあって甘やかな味わい。
鉄鍋で炊いた白米、「モアル」と呼ばれる牛の大腿骨が刺さったスンドゥブ。豆板醬と味噌をベースにアサリとモアルで出汁をとっている。やわらかい豆腐が濃厚でたまらない。韓国料理は、唐辛子由来のワントーンの辛さが印象的で、四川料理の複雑かつ甘やかな辛みとは全く別物であり、少しばかり侮っていたのだが、ここの店でスンドゥブを食べて韓国料理に対する印象がガラリと変わった。義父が入院してくれたおかげで、すてきな店と出会えた(妻とは何度か訪れている)。
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義父へ年末の挨拶。
今年会うのがこれで最後。と言いながらも、明日には「あけましておめでとう」と挨拶に行くのだが。義父の部屋でコーヒーをハンドドリップする。これもお馴染みの光景となった。いつもより早く顔を見せたわたしたち娘夫婦に若干うろたえる義父。14時45分に到着すると車椅子に腰をかけた義父は「15時から風呂に入るんや。その後16時からリハビリで。お前たち、何時に帰る?」とわたしたちに訊ねた。「じゃあ16時に帰るよ。年末の最後の買い出しがあるから」と妻が答えると「それは早いなぁ」と淋しそうな義父。もう一度書くが、明日にはまた挨拶に行くのだ。「風呂は30分で終わるから」と言って部屋を出て行った義父。妻は部屋を片付けして、わたしは義父がちょうど帰って来る頃にコーヒーを渡せるように、豆を挽いて、カップを温め、準備を整える。良きところで義父は部屋に戻ってくると、コーヒーの芳醇な香りが部屋の外へと流れ出した。
甘いものが好きな義父に合わせて、泡立てたミルクで味を調える。あたたかいカフェラテを飲みながら義父は「おい、オレの歩いているところ見るか?」と言う。2024年最後の一日は、もう少しわたしたちと一緒に過ごしたいようだ。妻とわたしは、16時からリハビリに同行した。
義父は、こんなにも歩けるようになった。もうそれだけで今年一年は「良い年だった」と言える。本当によかった。
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エキスポシティへ買出し。
食材と電化製品は昨日買ったので、今日は妻のセンス。鍋、鉄板、観葉植物、その他もろもろ。わたしは茶葉専門のスタバで、「ジョイフルメドレー」という名の何とも楽し気なハーブティーを飲みながら、『運の研究』についての記事を書く。
帰りに洗車。それも手洗いのできる洗車機。今までは全自動のマシンに車を突入させていたけれど、「運の研究」をはじめて以来、自分の手で磨くのが好きになった。“半自動の洗車機”とでも言おうか、ガソリンを注ぐハンドルのようなものから二分間水が流れ、次の二分間は洗剤が噴き出し、五分間の休憩が入る。この五分の間に、雑巾とスポンジでごしごし洗う。ずっと時間に追われっぱなしで、全身が鍛えられる。洗車トレーニングだ。その後、また二分間の水、二分間のワックス、一分半の水で終了。車体はピカピカ、気分もすっきり。
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風呂に入り、身を清め、年越しそばをつくる。
妻の友人が遊びに来て、今からカニ鍋だ。
今年も大変お世話になりました。
新しい年も、どうぞよろしくお願いいたします。