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詩を言葉に収斂する人間を「詩人」とよぶ
広沢タダシさんと朝まで詩について語り合った。
ぼくは哲学と宗教に関する本と包んでもらった「ケルシー」というグリーンプラムを抱えて、広沢さんの家を訪れた。夜中に飲むあたたかいカモミールティーは心と身体を癒してくれる。時計が午前0時を迎えた頃、祝福の言葉を贈った。今、進めているプロジェクトについて。そして、これから形にしていきたいことについて。
二人とも酒を飲まずに、「言葉」を削ぎ落すことについて真剣に話した。はじめに言葉があり、そして、最後は言葉だけが残る。全てのことを言葉に落とし込んでみたい。実現される前の「夢」について語ることは、大きな意味がある。それを言葉に残しておくことにも意味がある。
世の中は、「詩」であふれていて。たとえば、料理、音楽、絵画、お茶、器、ファッション、言葉。それは何に現れるかの違いであり、本質的には「詩」が形を変えたものだと思っている。「Art de Vivre」というのはフランス語で、「暮らしの芸術」や「生活の技法」などと訳される。つまり、自然体でアートと共存する環境、ライフスタイルが「詩」で満たされていく感覚、生き方の知恵や豊かさにつながる「何か」のことで。
その佇まいや気配は、脈打つ鼓動とシンクロナイズされていき、波長が整っていく。美意識は目に見えない領域で、伝播する。
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言葉を削ぎ落していくと、「自分が何をすべきか」が見えてくる。人間は、扱う言葉で構成されているから、当然のことなのだけど。こういう時間があることがうれしいし、ありがたい。広沢さんに流れる音の波と、ぼくの中に流れる音の波を少しずつ合わせていく。言葉を交換することは、身体性を伴うやりとりだ。
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いのちのにぎわいを言葉で綴りたい。
それをぼくは「詩」とよぼう。
そして、詩を言葉に収斂する人間を「詩人」とよぶ。
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せっかくだから、ベッドに入る前に書き残しておきたい。今日のできごとを、いつの日か振り返るだろうから。
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