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Danny Boy

いつか、こころが少しくたびれた時に、この曲を送ってくれた人がいた。

そこにはシルクのような肌触りのことばたちが添えられていて、胸の中の暗い洞窟にぱっとあかりが灯った。文末に「返信不要です」と書かれていて、ひどく気が滅入っていたので、そのことばに甘えて何も返さなかった。そのやさしい窓を打つ春先のやさしい雨のような音色と、ひかりを咲かせ、闇になじみ、溶けていくことばたちに救われた。こころから感謝している。

「あなたのことを想っている人のことば」と「あなたのことを利用しようとしている人のことば」を見極めなくちゃいけない。

妻はぼくへ向かってそう言った。

彼女がぼくへ投げかけることばは、いつだって正しい。

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524字

「繭が風を手に入れ、シルクとなった」 対話のこと、文章のこと、考えるということ。

「ダイアログジャーニー」と題して、全国を巡り、さまざまなクリエイターをインタビューしています。その活動費に使用させていただきます。対話の魅力を発信するコンテンツとして還元いたします。ご支援、ありがとうございます。