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自由律俳句 #273

【どこかで醤油ラーメンを食べている匂い】


歩いていると、
どこからか醤油ラーメンの匂いがした。

味噌でも、塩でも、豚骨でもなく、
間違いなく醤油ラーメンの匂いだ。

辺りを見回す。
おそらくきっと、
どこかのお宅から匂いだけが外に出てきているのかもしれない。
美味しい匂いが漂っている。

もしくは、
妖怪〈醤油ラーメンすすり〉みたいなのがいて、
醤油ラーメンの匂いを醸し出しているのかもしれない。

妖怪〈醤油ラーメンすすり〉は、
私が勝手に生み出した妖怪で、
小腹が空いている時に現れる妖怪だ。

見た目はラーメンを食べているおじいさん。
「あなたは何味のラーメンが好きですか?」と質問してくる。

この時「醤油ラーメン」と答えると、
「醤油ラーメンは美味しいからね」と、
満足そうな笑顔を見せて、スッと消える。

しかし「醤油ラーメン以外」のことを答えると、
怒り出して「醤油ラーメンしか認めん!」と言われ、
今後はどんなラーメンを食べても、
醤油ラーメンの味にしか感じなくなってしまう。

突然、醤油ラーメンの匂いがしたら、
そばに〈醤油ラーメンすすり〉がいるかもしれない。

怒られない合言葉は「醤油ラーメン」

覚えておかなくて…大丈夫です。
(とりあえず醤油ラーメン食べたーい!)


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小島涼太郎
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