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IoTで自宅の環境データを可視化する
この記事は UMITRON Advent Calendar 2023 21日目の記事です。
こんにちは。
最近は燻製作りにハマっている、ソフトウェアエンジニアの野村です。
さて、ウミトロンではリモートワークを導入しており、自分も基本的には自宅で勤務しております。
自宅の作業環境はとても重要なものの、冬場は窓を閉め切ることが多いため、気づかない間に室内の空気が悪くなりがちだなと感じています。
そこで今回は自宅の環境をモニタリングするツールを作ろうと考えました。
はじめに
ウミトロンで取り組んでいる魚の生育や健康にとって、水温や溶存酸素などの環境条件はとても重要です。
これは同じ生物である人間にとっても同様なはずです。
例えば人間の集中力には下記の項目が関係しているらしいです。
温度
複数の研究によると、22~24°Cで生産性が最も高まった。(個人差、作業内容、季節にもよる)
湿度
湿度が40~60%程度のときに、気が散りにくくなり生産性が高まった。
CO2濃度
思考判断力はCO2濃度が1,000ppmを超えると低下し始め、2,500ppmを超えると著しく低下した。
これらの項目は重要なものの、作業していたり、環境条件が徐々に変わる場合にはなかなか気づけないという課題があります。
そこで今回は部屋の環境条件の変化に気づけるようなツールを作成しようと考えました。
作成したデバイス
部屋の環境データ(温度・湿度・CO2濃度)を計測し可視化するデバイスを作成しました。
温度・湿度・CO2濃度を計測するセンサーがついており、5秒おきに計測結果がディスプレイに表示されます。
過去の研究などを参考に快適な温度・湿度・CO2濃度の範囲を設定し、それを超える場合はArduino上のLEDが点灯する仕組みになっています。
実装方法
構成
Arduino UNOにセンサーとLCDを接続しています。
5秒おきにセンサーの値を読み取り、LEDの状態とLCDの表示を更新しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1701936562248-xSiJ5cRJHj.png?width=1200)
温湿度センサ
温度と湿度を同時に計測できるセンサー(DHT20)を使いました。
I2C通信でArduinoとデータをやり取りします。
実装方法はこちらの記事に詳しくまとまっています。
CO2センサ
比較的安価なセンサー(MG812)を使いました。
MG812は数時間から数日程度電源を入れた状態にしてセンサーを安定させる処理(エージング)が必要になります。
また外気のCO2濃度を400ppmとしてキャリブレーションを行いました。
実装方法はこちらの記事に詳しくまとまっています。
データの可視化
せっかく環境データが取れるようになったので、実際に室内の環境がどのように推移しているか見てみます。
個人的には、意識がない睡眠中の部屋の環境が気になっていたため、夜中の計測結果をグラフに示してみました。
グラフのX軸が時間、Y軸が各項目を整数値に丸めたものを示しています。
![](https://assets.st-note.com/img/1701909595356-WQ21Whfr3O.png?width=1200)
温度
エアコンが調整してくれており、1°C程度の範囲に収まっていました。
湿度
朝方になるにかけて下がってきていることが読み取れます。
朝方になって気温が下がるとエアコンが活発に動くため、それに伴って湿度が下がったのではないかと考察できます。
CO2濃度
12時くらいに就寝したタイミングから下がっていることが読み取れます。人間の代謝が落ちたことでCO2濃度が下がったのでは、と考察できます。
改善点
さらなる改善に向けて考えていたことをいくつか残しておきます。
通知
作業しているとなかなかLEDの変化に気付けないと思います。
Bluetooth等の通信を使ってPCやスマホに通知を飛ばせるとより気付きやすくなりそうです。
自動制御
さらに先に進めると、通知をトリガーに人間が対応するのではなく、計測結果に基づいて自動で環境を制御するシステムも考えられそうです。
例えばエアコンは現在の室温を見て風量や温度を調節しています。
今回の場合、湿度下がってきたら加湿器つけるとか、CO2上がってきたら換気扇のスイッチを入れるとかの制御が考えられそうです。
感想
温度は感覚として気づけるものの、CO2濃度や湿度は今回のようなデバイスのおかげで気づけるケースも多いと感じました。
またデータとして可視化することで身近な生活環境への理解が深まる部分に面白さを感じました。
今後はさらなる快適な自宅環境を追求して行きたいと思います。
最後に
ウミトロンでは一緒に働く仲間を募集しています。
水産養殖×テクノロジーという非常にユニークな事業領域で、共に持続可能な水産養殖を地球に実装していきましょう!