kinetic chain-CKCトレーニングの有効性-
“kinetic chain”の変遷
こちらがOKCとCKCの変遷である。1)
“Kinetic Chain”という言葉の起源は、機械工学の分野にある。
この機械工学における定義を身体運動に適用させたのが、Steindler Aである。
注目ポイント👇
OKCとCKC
末梢セグメントへの荷重の有無、又は可動性の有無によって、OKCとCKCに分類される。2)
OKCのメリット・デメリット
CKCのメリット・デメリット
CKCトレーニングとインナーマッスル
一般的に、CKCトレーニングはインナーマッスルとアウターマッスルを同時に鍛えるのに効果的と考えられている。2)
それはなぜだろうか。
答えは、CKCのメリットである「関節剪断力の小ささ」である。
このように、関節剪断力が小さくなり関節求心位を保ちやすくすることで、インナーマッスルが効果的に働きやすい環境ができる。
関節求心位を保持したままの運動に際しては、関節周囲筋群の同時収縮なくして関節の安定性は獲得し得ない。
このことから、CKCトレーニングはインナーマッスルを促通させながらアウターマッスルも収縮させるのに有効であると推測される。
CKCトレーニングとACL損傷者の早期リハビリテーション
ACLの前提知識
前十字靱帯は、脛骨の前顆間区から大腿骨外側窩の内側面に付着する。3)
脛骨の前方への滑り出しを防ぎ、膝関節の内旋・過伸展も制御する。
ACL損傷者は、脛骨の前方への滑り出しを抑制しながらリハビリテーションを行うことが重要である。
Lutzらは、健常者に対して、OKC(座位での膝等尺性伸展及び屈曲ex)とCKC(ステップ台への荷重ex)の運動を比較し、膝関節にかかる剪断力と膝関節屈曲角度との関係に関する有利性を検討した。4)
この報告は、ACL損傷者のリハビリテーションを行ううえで、有益な報告である。
結論、
結果として、
OKCでは、膝関節屈曲30°位で脛骨の前方への剪断力を産み、屈曲角度が増加するほど後方への剪断力を産む。
CKCでは、膝関節の屈曲角度によらず、若干の脛骨の後方への剪断力を産む。
このことから、脛骨の前方への剪断力を産むことがないCKCトレーニングがACL損傷者の早期リハビリテーションに有効であることが示唆された。
他にもCKCトレーニングの報告として、同時収縮があることで剪断力が小さくなることや、固有感覚受容器が活性化する報告がある。