雨。君への感情の消失。悲しみのエンドロール。
もしも失恋してしまったら君は泣いてしまうのかな。
好き同士で惹かれたもの同士の別れ。悲しみの涙のような雨。
土砂降りではなく、小雨だったから思い切り泣くに泣けない。
君を好きだった時は君のいいところばかりに目が行き、君を思えなくった今では、嫌いなところばかりに目が行ってしまう。一緒にいる理由を探していたはずの2人が、今では別れる理由を探してしまうのはなぜなんだろうか?
デート中にした痴話喧嘩。2人の衝突は小さなきっかけ。でもそれは些細なきっかけでしかなくて、2人の溝はもっと前から深く深くへ潜り込んでしまっていたことに気づいたのは、別れる瞬間であった。
目に見えない心の解け。
点と線が、君と僕が、2人の思いが、決して交わらなくなった。
雨に打たれる午前3時。別れが少しずつやってくるのが目に見えてわかる。
別れを切り出す君。それを受け入れる僕。
「もう少し拒んでくれるのかと思った」と君は言う。
「未来の見えない関係にもう続きはないよ」と僕は返した。
別れを切り出した君はなぜか泣いていた。別れを切り出した君が泣く理由を僕は知る由もなかった。
あの時の君の涙の理由。僕が君との別れで泣けなかった理由。いつかわかるのかな。わかったところでもう遅いのはわかっているから、わかろうとなんてしない。
好きになったあの頃、幸せにあふれていたあの頃、永遠に終わることのない愛を願ったあの頃、僕らはきっと2人で1つだった。
君への思い。僕への思い。もう2度と交わることがないと考えると少し寂しくなる。でも君が終わりを選んだのなら、僕はそれを尊重しようと思う。
部屋に並んだ2人の写真。お揃いのマグカップに、色違いのパジャマ。こっそり宝物入れに入れて、君との思い出を水に流せるまで眠りにつかせる。
いつか捨てることができるまでは、思い出を流してしまわぬように。
悲しみを雨で全て流せてしまえるのなら、全部綺麗さっぱり流してしまいたい。君との思い出も居酒屋での痴話喧嘩も全てなかったことにする。
この恋が消失してしまうのなら、君と僕の関係は終わってしまう。
雨。君への感情の消失。悲しみのエンドロール。愛から憎悪へ。2人から1人へ。君との思い出なんて悲しみの雨に全て流れてしまえ。
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