かえりみち
友人とのかえりみちはいつも遠回りばっかり。家に帰るはずがなぜか居酒屋で、ビールを片手に乾杯していることも良くある。
お酒を飲みすぎて、二日酔いの時になったことも何度もあるし、記憶を失っていつの間にか家のベッドにいたことだってあった。
飲みすぎた友人を介抱し、タクシーに無理矢理友人を乗せて、アホだなって友人と笑いあった夜もあった。
僕はなぜか1人で帰るときも遠回りをして家に帰っていたんだ。
普段通り家にまっすぐ帰るのは、時間に余裕がない時や予定がある時だけ。
時間に余裕がある時は、なるべく遠回りをして、帰路を楽しむことにしている。
「遠回りをして家に帰る」ほんとうの理由は、家に帰っても1人という現実を受け入れたくないだけかもしれない。
いや、「いつものかえりみちじゃなくて、違うかえりみちを探したい」という僕の好奇心なんだろうか。
はたまた僕の中の冒険心がくすぐられ、方角だけを決めて、前に進むというゲームを楽しんでいるのかもしれない。
ほんとは家の中に、僕1人ということに耐えられないだけなんだろうけど、あえてあやふやにしておくことにしておくよ。
かえりみちの途中、君が住む街を電車でいつも通過する。どんな方法で帰っても、必ず君が住む街を通過するんだよね。かえりみちの途中で君に会えるかもしれないという淡い期待を抱えながら帰路に着く。
君と僕は多分両思いで、あとは告白さえしてしまえば、付き合うことができるところまではきているという確信があるんだよ。
でもなぜだろういまだに君と遭遇したことはない。遭遇することはもう何万回も頭の中でシュミレーション済みだから、いつ遭遇しても準備万端なんだから早く出てきてよ。
かえりみちの途中で偶然君と遭遇することを、僕はいつも切望している。そして、かえりみちが一緒になったら、僕は自分の思いの丈を君に伝えるつもりだ。
「今日こそは君に会えるかも」という期待を抱いて、今日も1人遠回りをして帰路に着く。
ついにきた。展開はもう僕の予想通りの展開に。たまたまかえりみちが一緒になった。
2人はかえりみちの途中で、偶然出会い、必然のように恋に落ち、愛を確かめ合った。
そして数年がたち、2人は一緒の家に帰るように。
回り道をしていたかえりみちはもうおしまい。
なるべく早く2人の家に帰れるよう最短距離で家に帰る。
1人で帰るよりも2人で帰った方が幸せな気分に浸れる。
2人で帰ると時間もあっという間。
1人で遠回りをしながら音楽を聴いて、口ずさんでいた帰ったかえりみちがやけに懐かしい。
ほんの些細な幸せを噛み締めながら、今日も帰路に着く。ほんの些細な幸せがいつまでも続けばいいと柄でもなく神様にお願いしてるんだけど、これは内緒の話。
いつも1人で帰っていた帰り道は、いつの間にか2人のかえりみちに。
あなたは今何を想ふ?幸せな日々がこのまま続けばいいと願っているかい?
少しでも願っていてくれたら僕は嬉しい。
シワとシワを合わせて幸せというらしいね。
だから今日は君と手を合わせて、幸せになって眠ることにするよ。
じゃあおやすみ。またあしたね。
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