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不干渉な街、東京
憂いを帯びた目がたくさん通り過ぎる交差点は、無理やり進まざるを得ないからかえって楽なのかもしれない。
夏は音もなく過ぎ去り、秋風が流れることによって、すっかり涼しくなった。夏の終わりをこの街東京で迎えるのは人生で2回目だ。20代後半まではh寺ほとんど東京に行く機会はなかったのだけれど、最近は2ヶ月に1度のペースで東京に訪れている。
主要な駅はどれも大きなビルに囲まれていて、うまく空が見えない。すこしの息苦しさとたくさんの人が行き交うことによる匿名性が心地いいような気がする。
地元である大阪は人情に熱い街だと言われているけれど、裏を返せば他人の行動が気になると言っても差し支えない。自身を心配してくれているから、相手と同じがいいなど人によってそれぞれの理由があるのだろう。
商店街に行けば、常連になったカフェの店主が話しかけてくれる。知らない人が声をかけてくる場合もあるけれど、それはきっと人情の街ならではの心地よさとすこしの気まずさなんだろう。
他人への干渉はしすぎない方がいい。それは自分の人生ではなく、他人の人生を生きている場合があるからだ。でも、他人とのつながりは作っておきなさい。自分の身に起きた体験を誰かに話すことができるし、人はけっして1人では生きられないためだ。
どんな関係性も近づきすぎると、大切なものが見えにくくなる。ピントがぼやけた視界では、正しい判断ができなくなるためだ。時にうまくいったり、間違えたりしながら人は人によって磨かれる。適度な距離感で、なるべく干渉しすぎないように、相手を見守る程度に相手と接するといい。これがベストだと理解はしているけれど、身内だとか、仲間だとかそういった理由が関係性をなし崩しにしてしまう。
その点、東京は楽だ。地方から来た人がほとんどで、純粋な地元人はほとんど減ってしまったと聞いた。地方のいいところやだめなところを織り交ぜた街が東京である。それぞれがそれぞれの夢を追っているため、他人に干渉している暇などない。いい意味で匿名性をくれる街で、そこに寂しさを感じる場合もあるけれど、心地いい距離感がなぜかしっくりくる。
ある人にとっては生きやすい街で、またある人によっては居心地の悪い街の東京には足を運べば運ぶほどに、その魅力に取り憑かれる何かがある。その正体は知りたいけれど、知りたくない。世の中には知らなくていいことがごまんとあって、きっと東京はそれに値するのだろう。
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