こぼれ落ちて

嘘に嘘を重ねて、本音を言うことすらできなかった関係性。いつしか2人の関係は都合の良い関係性に成り下がっていた。

素直になれたら。気持ちを伝えることができていたら。もっと甘え上手になれたら。

たらればばかりが頭に浮かび、いつも行動できない私は好きな人の1番に　なる権利すら持ち合わせていなかった。

いつしかないものねだりが上手くなり、現実には目を向けず、自分と向き合うことを躊躇って、何もかもを誰かのせいにしていた。

誰かのせいにしたところで、状況が一変することがないって知っているのに、自分のせいにすることを極端に恐れた臆病者の私。

自分にあるものには目を向けず、外堀ばかりを埋めることで、心の安定を図っていた。

君の温もりに触れて、どうしようもないことを知って、君の匂いに触れて、安心した気持ちになって、君の言葉を聞いて、叶いもしない恋に溺れて、君のことを見て、ピュアな恋心を思い出して、君の胃袋を掴んで、君を私のものにしたくて。

私の全部で君を愛していたかった。愛する権利すら持ち合わせていない私にできることは、君の幸せを願うことだけ。でも自分のものにならない人の幸せを願えるほど余裕のある大人じゃなかった。

もっと余裕を見せれば良かったのかな。押して駄目なら引いてみるを実践すれば良かったかな。君が今すぐ私のものにならないかな。

虚しくなったら恋は終わり。悲しさだけが残る恋。後悔ばかりが募る恋。

自分を知れば知るほど君との関係に進展がないと思い知るんだよ。

心を満たされたくて隙間を埋めるために、適当に遊んだりして、それでまた虚しくなって。私の心を満たすのは君じゃなきゃ駄目だった。わかっていたけど虚しさを埋めるための方法がそれ以外分からなかった。

今すぐ君が私のものになれば良いのに。振り向かせたい私と振り向かないあなた。恋の攻略法なんてこの世には存在しないということを教えてくれた恋。

五感で余すことなく君を感じていたかった。たとえ嘘でもベッドで君が耳元でささやく「愛してる」を信じていたかった。

私の思いだけじゃなく、2人の思いが交わって欲しかった。

都合の良い関係じゃなくて、2人にとって特別な関係になりたかった。

願望ばかりでいつも大切なことを伝えられなかった私。幸せを掴むチャンスはいつになったら来るのかな？ああもう分からないことばかりが胸が痛いよ。

いつかこの恋が終わりますように。でもどうせ諦めの悪い私はまだ君のことを好きでいるんだろうな。君が私のことを好きじゃなくたって、諦めきれないんだろうな。

いつでも終わらせられる関係性に続きなんてなくて、そんな恋なら最初から始まらなければ良いと願ったところで、また君を好きになってしまうのがオチだからもうお手上げ。

行き場を失った思いはどこに持っていけば報われますか？

次は自分を大切にしてくれる人と出会えますように。

いっそのこと2人の関係をなかったことにできますように。

好きな人と特別な関係をいつか作れますように。

祈るだけで何も変えようとしない私はただの愚か者だった。