お前の「好き」は軽いんだよ
「お前の好きは軽いんだよ」
つい最近、友人から言われた言葉が、ずっと心に残っている。
この言葉を言われたきっかけは、ほんの些細なことだった。僕の好きなものを買ってきてくれたから、嬉しくてつい「好き」と相手に言ってしまったのだ。言葉は本心で、そこに嘘偽りはない。僕の好きが軽いと思われたのなら、それは僕の責任でしかない。そして、どうやら僕はすぐに好きという言葉を口に出してしまうみたいだ。思ったことをすぐに口に出す癖には手を焼くこともあるが、救われていることの方が多い。そして、自分の好きが軽いなんて思ったことがないから、友人の言葉になにも言い返せず、ただ呆然と立ち尽くし、部屋の時計の針をじっと眺めていた。
すぐに人のことを、好きになる癖がある。そして、好きという言葉を抑えられずにいる。ちなみにこの癖をわずらわしく思ったことは1度もない。むしろ、自分の良いところだと思っている。悪いところを見つけるよりは、良いところを見つけたい。悪いところを見つけるよりも良いところを見つけた方が、お互いに幸せになれると信じている。人間関係は、減点法よりも加点法を採用し、なるべく人を嫌いにならないよう努力もしている。どうしても馬が合わない人は、嫌いになるのではなく、距離を保つ。そうすることで、心の安寧を守り、お互いに幸せな時間を築いていく。
人を嫌いになるのは好きじゃない。嫌いという感情を自分の中に持ちたくないし、嫌いな人が自分の脳内にいてほしくない。でも、嫌いな人もきっと誰かにとっての大切な人だ。誰1人として大切に思われない人なんていない。もしも自分の好きな人が、誰かに嫌われてるなんて悲しいでしょ?だから、僕は人を嫌いになりたくないし、嫌いにならない。自分が干渉することで、こちらが不幸になるのであれば、こちらから距離を保つ。防衛本能をしっかりと働かせ、自分の幸せを自分で守る。誰も自分の幸せを形成してくれないから、自分の幸せは自分で形成した方が絶対いい。
友人や恋人に関わらず、好きな人にはちゃんと好きな気持ちを伝える。好きにはラブとライクのような比重の大きさがあるけど、好きという気持ちは嘘偽りではなく本物だ。そして、好きな人には敵意がないと理解してもらいたいし、自分の気持ちはちゃんと伝えなきゃ伝わらない。好きという気持ちが振る舞いだけで伝われば楽だよね。でも、伝えるために言葉はある。だったらちゃんと言葉にしなくちゃ言葉に失礼だ。いつ目の前の人に会えなくなるかなんてわからない。学生時代に亡くなった大好きだった母親に、もっと好きと言えばよかったと本気で後悔している。だから、好きは出し惜しみなく伝えるし、2度と同じ轍は踏まない。
ねえ、君に伝えた好きという言葉は嘘じゃないよ。
あなたは目の前の人に、ちゃんと好きと伝えることができていますか