金木犀に導かれて

目を覚ますと、ふと秋の香りがする。

やけに寒い朝が来た。夏の暑さを少しも感じさせないような寒さ。

布団から体を出すのに少し時間がかかる朝になってしまった。

でもまだ夏が少し残っているようなそんな気もするから、まだ秋色に染まるには少し時間がかかりそうね。

秋色に染まると街が色鮮やかなものになる。

夜に香る金木犀。少しずつ茶色へと色を染める草木。

金木犀の香りはどうして切ない気持ちになってしまうのだろうか。

風が運んでくる金木犀の香りは秋の始まりのお告げのようだね。始まりと終わり。それは必ずセットでやってくるからたまに切なくなる。

終わらせたくなければ始めなければ良い。でも始めなければ終わらないし、悲しい感情も嬉しい感情も味わえやしない。

どうせいつかは全部終わるから、どうかその時までは起きた出来事をこれでもかと言わんばかりに噛み締めていたい。

秋には紅茶がよく似合う。紅葉を鑑賞しながら飲む紅茶は格別に美味い。

いつもはブラックコーヒーを飲むんだけど、秋に紅茶はよく合うから、秋になるとなぜか紅茶が飲みたくなる。

お洒落なグラスに、アールグレイやジャスミンティーを淹れて、秋をこれでもかと味わいたい。

紅茶で秋を味わえてしまうそんな単純な体だから、秋を味わい尽くして、秋の良さを感じていたい。

そして、今日も生きてるんだよなってことをこれでもかと実感したいんだよな。季節を謳歌することで生を余すことなく堪能していたいなって。

夏のきつい日差しより少しだけ優しくなる秋の日差し。多分日光の当たり具合は変わらないんだろうけど、優しさがに滲む秋の日差し。

優しくなった日差し。気持ちを落ち着かせるのにちょうど良い日差し。

秋の木漏れ日は気持ちを落ち着かせる。少しの寒さに少しの暖かさを。心地よい風の音。秋の始まりはなぜか学生時代のことを思い出す。

学生時代は秋に興味なんてなかった。秋なんてすぐに過ぎ去ってしまえばいい。そう強く思っていた。

でも20歳を超えてからは、秋が来るのが楽しみになっている自分がいて、秋を心待ちに日々を過ごしていた。秋の良さを少し感じられるようになったのかな。

そう考えると僕も少しは大人になったものだ。

季節の移り変わりはなんだか少し寂しくて、夏の暑さが少しだけ恋しくなってしまう。

紅葉のシーズンがまもなくやってくる。今年はどこの紅葉を見に行こうか。

ライトアップされた紅葉はとても綺麗だ。人間が作った光に、自然に育った紅葉のコラボレーション。

いつも僕は紅葉に心奪われてしまう。美しさと儚さを兼ね備えた葉っぱ。ただの葉っぱなのに、心奪われるのはなぜだ?

なぜか人々の心を魅了する不思議な力を持つ紅葉。その姿に魅せられてまるで子どもみたいにはしゃぎながらカメラを構える。

思い出をまた一つ、また一つと増やしていく令和初の秋がもうまもなく始まりそうね。


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