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いつも思い出すのは君の匂い

深夜にこっそり煙草に火を付ける。吸えもしない大嫌いな煙草。匂いも苦手だったけど、君が吸っていたマルボロだけは、なぜか嫌いになれなかった。

煙草の後のキスの味がたまらなく苦手なの。それでも君はキスをせがむから私はそれを拒めなかった。

火がついた煙草から思い出すのは君の匂い。そして、君との思い出。君を思い出そうと君の吸ってた煙草を吸ってみたけど、虚しい気持ちになるし、むせてしまうのがオチでした。

「やっぱり吸わない方がよかったね」

今も君が側にいたのならきっとそう言うのだろうね。煙草が苦手な私の前では絶対に吸わなかった君。いつもどこかに行って煙草を吸ってくれてたよね。そういうところがたまらなく好きだったの。

君がいなくなったから君の匂いだけでもと思って吸わなければ良かったよ。

記念日にくれたお揃いの指輪。指のサイズが合わなくて二人で宝石屋さんに行ってサイズを調節したことを覚えてる?

指輪もネックレスも時計も全部あなたがくれたよね。あなたに貰ったものが未だに捨てられなくてまだ使っているの。物に罪はないしって言うし、なんだかあなたを身に纏ってる気がしてならなくて捨てるに捨てられないの。

iPhoneの予測変換にいちいち君の名前が出てくるから、iPhoneまでもがいちいち思い出を蘇らせてくるからもうまいっちゃう。鬱陶しいなと思いながらも、楽しかった写真なんかをたまに見返したりして。要は忘れられないの。

楽しいはずの思い出も今は悲しい過去。君のLINEのアイコンも変わってしまった。

ねえその写真誰が撮ってくれたの?

聞きたいことが山ほどあるんだけど、もう君はいないから。何も君の最新を聞くことが出来ず、私の知らない君がどんどん増えていく。

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