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君がいた過去が消えない
朝が来て、目が覚める。寝ぼけながらだるい体を無理矢理起こし、這い出るようにベッドから身を出す。
カーテンを開け、朝日を浴びて、外の空気を吸うために深呼吸をする。一日のルーティンを介して、今日という日がスタートした。
ふと携帯を見ると二人の記念日を知らせてくれて、「そんな過去もあったよな」って感傷に浸る間もなく、通知をスワイプして、もう2度と通知が来ないように設定を変更する。
二人の記念日に私が君に何かしてあげたことあるかな?過去のことだからもう忘れよう。それがきっと二人のためだから。次の恋人にきちんとしてあげればいいだけの話だからさ。次はちゃんと期待に応えられる私になるよ。
半年前に恋人がいた頃のことを思い出す。別れる前日までは仲良しなやりとりをしていたのに、なぜか突然その日常がなくなってしまった。「別れは突然に」が自分に降りかかるなんて思ってもみなかったよ。
どうして離れたのか理由を考えても、その答えは出てこず、当時はただ塞ぎ込むことしかできなかったの。今はもう君との別れを乗り越えることができたから、離れた理由なんてどうでもいい。
後悔はいくらでもできる。嘆くだけで関係性が元に戻るのなら、いくらでも嘆いてみせるけど、そう簡単にいかないもんだから、いい思い出へと昇華させることで、自分を救っていた私がいたことを思い出す。
元に戻ることのない関係性。最初から終わってしまうとどこかでわかっていたの。でも私から別れを切り出せなかったから、二人の関係は君に委ねていたの。
二人だけの秘密を作った私たちはきっと友達には戻れない。
友達に戻れないことを知りながら、二人は恋人になることを決めたんでしょ?
そして、その関係性が破綻してしまっただけのこと。嘆くことなんて何一つしてないのよ。
傷つくのなら出会わなければ良かった?
いや、出会ったから傷ついたんだよ。好きという感情も、楽しいという感情も、嫌いという感情も全部君がいたから、感じることができた。だから二人の選択に間違いはないんだよ、きっと。
君の笑顔に騙されて、好きになってしまった私。いつまでもその笑顔に騙されていたかっただけど、もう君はどこかに行ってしまった。
君がいたことをまたしても思い出す。
君が作った朝ごはんを食べてから、会社へ出勤するのが好きだった。
仕事で落ち込んだ時に、アドバイスをすることもなく、ただ話を聞いてくれた優しい君。君のおかげで新しい仕事での失敗をこれまで乗り越えられたことは間違いないから今でも精一杯感謝してるの。
本当はずっと一緒にいれたら幸せだったんだけど、私と君の幸せの形は違うから、君は別の人を選んだに過ぎない。
嘆いても戻らない。そして、君がいた過去も消せない。
またどこかで会えた時は今以上に素敵な人にはなってないで。
そして、私は君の温もりも、君の声も少しずつ忘れてしまうことでしょう。
ありがとう、さようなら。見知らぬ誰かとお幸せに。
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