#note書評 第2回 東浩紀(2019)『ゆるく考える』河出書房新社.
有償マガジン 情報と政治、社会を読み解く教養読書ガイド|西田亮介(Ryosuke Nishida)|note(ノート) では制限なしで公開しています(ただし2019年2月に開始したばかりでまだエントリ少なめです・・・)。
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過日、東浩紀さんの新著をご恵贈いただき読了。本書は日経や文芸誌の連載、日記等を並べ直したものといえる。東さんといえば先日、朝日新聞の「平成の30冊」の4位に『観光客の哲学』が選ばれていたことも記憶に新しい。
2000年代以後、もっとも敏感かつ端的に時代と社会を論じ続けてきた論者といっていいはずだ。その言説は総じて端的かつ平易でありながら、哲学や表象文化論のバックグラウンドを持ったもので余人をもって代えがたい存在だ。その片鱗は頻繁に更新されるTwitterからも垣間見ることができる。
東さんの仕事は哲学、コンテンツ批評、時事評論、小説執筆、出版社(というよりも、コンテンツカンパニー)経営(!)多岐にわたる。デリダの研究で博士号をもち、これまでごく順当に大学教授も経験しながらも、本書にも少し書かれているように大学は性にあわなかったとのことで、もっぱら民間で言論を展開し、思想地図、ゼロアカ、コンテクチュアズの創業からゲンロン経営等々、新しい批評の基盤構築に取り組んでいる。
本書はもちろん単体でも楽しむことができる。感受性と思考の軌跡をたどるだけで十分だ。特筆すべき難しい記述、表現はなにもない。しかし同時に、本書は東さんのこれまでの仕事のメイキングやビハインド・ザ・シーンのようにも読むことができる。
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