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ダンスプロジェクトG-ray 茂木孝介インタビュー:かすかな光をテーマに、新たな創作への挑戦

ダンスプロジェクトG-rayのメンバーである茂木孝介が、G-rayの作品としてダンス作品を創作し発表した。

今回は、その作者である茂木に、作品のコンセプトや創作の過程、今後の展望についてインタビューした。


作品のコンセプト:真っ暗闇の中の、かすかな光


鈴木: まず、今回の作品のコンセプトについて教えてください。

茂木: 今回はG-rayとして作品を作るということで、G-rayらしさを意識しつつ、自分自身の経験や感覚を重ね合わせていきました。テーマは「光」。ただ、太陽のような強い光ではなく、暗闇に差す一筋の光や、真っ暗闇の中でふと見つけた、星明かりのような「かすかな光」を表現したいと思いました。

鈴木: かすかな光、ですか。

茂木: はい。例えば、夜空に輝く星の光、暗い海に浮かぶ灯台の光、誰かの温かい手のひら。そういう、小さくても確かにそこにある光を、ダンスを通して表現したいと考えました。

鈴木: そのようなコンセプトに至った背景には、どのような経験があったのでしょうか?

茂木: G-rayのメンバー3人で鹿島灘に星を見に行ったことが、大きなきっかけになりました。本当に真っ暗で、隣にいる人の顔も見えないほどだったんですが、不思議と孤独や不安は感じなかったんです。むしろ、誰かがそばにいる温かさや安心感を感じて。

鹿島灘海浜公園に深夜星を見に行った。

茂木: あとは、愛犬のゴローが白内障で視力を失ってしまったことも、今回の作品に影響を与えています。ほとんど目が見えないと思うのですが、抱きしめると安心しきったように眠るんです。暗闇の中で、誰かの温かさに包まれる安心感。それは、暗闇に差す一筋の光のようだなと。見えないからこそ感じられる温かさや光があるのではないかと感じました。

鈴木: 茂木さんの個人的な経験が、作品に深く反映されているんですね。

茂木: そうですね。あとは、北海道旅行で夜の海を見た時に、遠くに見える灯台の光に希望や安心感を覚えたこと、微かな光から色々な感情が生まれたことが今回の作品のインスピレーションになっています。

鈴木:作品のタイトルに「Dawn」、つまり「夜明け」とありますが、どのような思いが込められているのでしょうか?

茂木:太平洋側の海で星を見た時、暗闇の向こうから太陽が昇ってくる光景を想像しました。その光景と、暗闇の中で感じる温かさが似ているなと感じたんです。

鈴木:温かさですか。

茂木:はい。暗闇は孤独で怖いけれど、誰かが寄り添ってくれる温かさ、そして暗闇から光が差し込んでくる温かさ。この2つの温かさを表現したいと思い、「夜明け」というタイトルにしました。

G-rayとして振付してみて:ダンサーとの信頼関係が生んだ、作品の進化


鈴木: 今回、G-rayとして初めて作品を創作してみて、いかがでしたか?

茂木: 今まではメンバーとして出演する側だったので、作者として作品を作るのは新鮮でした。ですが正直、最初は不安でいっぱいでした。大学以来、久しぶりの作品作りだったので、感覚を忘れてしまっていた部分もありましたし、G-rayという名前のプレッシャーもありました。

鈴木: 久しぶりの作品作りで、何か戸惑うことはありましたか?

茂木: 創作のやり方が昔と変わったことです。昔はタブレットで色々やってたんですが、今回はノートとシャーペンを使って、自分の感覚を整理していきました。

鈴木: アナログな方法に回帰したんですね。

茂木: はい。あとは、ダンサーとのコミュニケーションですね。今回は、私が一方的に振り付けを決めるのではなく、ダンサーと一緒に作品を作り上げていくことを意識しました。

鈴木: ダンサーとの共同作業で、何か印象に残っていることはありますか?

茂木: 今回は、私が一方的に指示をするのではなく、お互いに意見を出し合いながら作品を作っていきました。その中で、ダンサーの2人が作品を深く理解して、それぞれの解釈で表現してくれたことが、本当にありがたかったです。そのおかげか、作品が途中で自我を持ち始めたように感じたんです。ダンサーの二人が、私の想像を超えた素晴らしい動きや表現を見せてくれて、作品がどんどん進化していきました。

鈴木: それは素晴らしいですね。

茂木: 今まで、自分が作った作品は、作者に依存している部分が大きかったように思います。でも今回は、ダンサーとの信頼関係があったからこそ、作品が自立して成長していくような感覚がありました。

鈴木: 茂木さんがダンサーを信頼しているからこそ、ダンサーも積極的に作品に関わることができたのかもしれませんね。

茂木: そうかもしれません。今回は、ダンサーに本当に助けられました。感謝しています。

鈴木:作品を作る上で、特に意識したことはありますか?

茂木:G-rayらしさを意識しました。G-rayは、明るすぎず、暗すぎず、絶妙なバランスで光を表現しているイメージがあります。今回も、そのバランスを大切にしました。

鈴木:なるほど。

茂木:あとは、見てくれる人が温かい気持ちになれるように、というのも意識しました。

今後チャレンジしてみたいこと:新たな表現技法の探求

鈴木: 今後、ダンスを通してチャレンジしてみたいことはありますか?

茂木: そうですね。作品作りはもちろん続けていきたいですが、これまでのやり方を変えていく必要性を感じています。これからは、もっと色々な作り方、新しい表現技法を追求していきたいです。

鈴木: 新しい表現技法、ですか。

茂木:はい。例えば、踊りそうで踊らない、みたいな。鑑賞する人に委ねるダンスがあってもいい。鑑賞する人によって、踊ってないように感じる人もいれば、そうでない人もいる。そういう鑑賞する人に委ねるダンスがあっても面白いなと。

鈴木: なるほど。

茂木:あとは、舞踊譜を作って、それをもとにダンスを作るとか。色々な表現技法を追求したいですね。

鈴木: それは面白そうですね。

茂木: ダンスの表現技法は、絵画の印象派のように、もっと多様性があっていいと思うんです。色々な表現技法を試しながら、自分らしいダンスの可能性を広げていきたいです。

茂木: あとは、今回、作品を発表してみて、もっと観客の方の感想を聞きたいなと思いました。

鈴木: 確かに。

茂木: 作品を通して、観客の方とコミュニケーションを取ることで、作品が完成するような気がするんです。

鈴木: 観客の方とのコミュニケーションですか。

茂木: はい。ワークショップやアフタートークなど、観客の方と交流できるような企画にも挑戦していきたいです。

鈴木: いいですね。

茂木: あとは、G-rayメンバーそれぞれが、照明や音響、衣装など、自分の得意分野を活かして、作品作りに参加できるような体制を作っていきたいです。

鈴木: G-rayは、ダンス作品だけでなく、様々な表現に挑戦していくということですね。

茂木: はい。G-rayは、常に新しいことに挑戦し、進化し続けるチームでありたいと思っています。

鈴木:今後の作品も楽しみにしています!

茂木:ありがとうございます!


編集後記

茂木の言葉からは、ダンスに対する真摯な思いと、常に新しいことに挑戦しようとする探求心が感じられた。今後のG-ray、そして茂木の活動に、ぜひご注目していただきたい。

なお、今回の作品の写真や映像は後日記事に投稿しようと思うのでお楽しみに。


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