76歳。今日も良日~老いを楽しむ生き方のヒント(その1)
中尾ミエさんの著書「76歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる70代の心得帖」を読んだ感想です。
まず一言にいえば「さすが、ミエさん!」って感じです。ポジティブ思考で、タイトル通り、老いて残り少ない時間の楽しみ方が書いてある。参考になることがたくさんあるので、年齢に関わらずぜひ手に取っていただきたい一冊です。70代に入ってからというより、それまでから心得ておきたいことがいっぱい詰まっています。
大人になってから新しいことを始める怖さ
私は子供の頃から、何をやっても長続きせず、すべて中途半端で生きてきました。今もまったく同じ、この性格は何も変わってません。多くの人は、「やり通すことの大事さ」を子供の頃に、親や学校から教えられてきたと思います。子供の頃はそれでいいかもしれません。しかしその教えが仇となって、大人になってから新しく始めることを、ちゅうちょしているのではないかと思うのです。言い換えれば「新たに始めることを怖がっている」と思うのです。そんなことを、この本を読んで思いました。
高齢者になったら、イヤことはやめた方が良い
途中で投げ出すことを「ケツを割る」と言います。高校を卒業して就職した先をすぐに「仕事を辞めたい」と、親に相談したら「すぐにケツ割るんか?」と激怒されました。「石の上にも3年」という言葉通り、「何ごとも3年は続けてみなければ、何もわからん」とも言われたので、イヤイヤながらも頑張ったことがあります。
でも人生の終盤において、同じ考え方ではダメなんだと、この本には書かれています。イヤなら辞めればいいんです。本の中では、「妻を卒業する」とう言葉も書かれていました。チャランポランでもいいんだ、真面目に生きることはない、いい加減な生き方でもいいんだよ、そんな言葉がたくさんありました。
やり通さなくても、途中で投げ出しても、何も問題ないことを早く知るべきなのです。私は最初の会社はそれでも9年続けました。転職はケツを割るのではなく、新しい出発だと自分の中で解釈したので踏ん切りがつきました。
世の中は知らないことで溢れている
この本の中では、「世の中には知らないことで溢れているのだから、どんどん新しい世界を見た方が良い」と、ミエさんは勧めています。でもそれができないんですよね。若い時からなんでもやっていれば、年取ってからも踏み出しやすいはずです。しかし、一つの企業を勤め上げた人が、定年退職後、新しい一歩を踏み出すには、想像以上の勇気が必要なのだと思います。
何ごとも、ゼロからイチはものすごく大変です。若い時でも大変なのだから、年取ってから新しいことにチャレンジする勇気って、どうやったら出ると思います?
もう年だから、と諦めてはダメ
ミエさんは有名人だからいろんなお誘いがあります。またご自分から声をかければ付いてくる人もたくさんあることでしょう。一般人はなかなか難しいです。新しいサークルに顔を出したとしても、打ち解けることができず、なんとなく億劫になって行かなくなります。そういうことを踏まえると、少しでも若いうちから、「社交的になる」「チャレンジ精神を忘れない」「恥をかくことを恐れない」という三原則が必須だと感じました。
でもこれって、難しいよね。ということは、ミエさんの言われるような人生を歩める人は少ないと思うのです。「もう年だから、と諦めてはダメ」とよく言われます。そもそもその気持ちを持ち続けることのできる人って、どれだけいるのでしょう?
自分の子供を育てた経験のある人は、「親としての自覚」が芽生えるはずです。また「子供を守る」という防衛心も生まれるでしょう。そんなことから、俗に結婚することを「守りに入る」とも言われます。守りに入ると、攻めることしなくなる傾向にあると私は思うのです。親が恥をかくところを子供に見せたくないというプライドも生まれます。子供と一緒に新しいことを始められる親であればいいのですが、そうでない限り、親となった大人は、チャレンジ精神を失ってしまいます。
子供が成人したあとも、そのまま同じだったとしたら、70歳を過ぎた時に、ミエさんの言われるような、「どんどん新しい世界にチャレンジしましょう」的な行動は無理だと思うのです。
そう考えれば、私は独身というのが強みになっています。さらに、職種違いで転職するので、30歳で一年生、45歳でも一年生、最近では59歳で一年生の仕事を始めています。ずっと私は一年生を生きているのです。ベテランの域に達することはなく、いつまでも初心者なので、「分からないことを人に聞くこと」は、億劫ではありません。だから、大人になっても恥かくことを恥ずかしいと思うことがあまりありません。その点、あなたはいかがですか? 年取ると、知らないことをおいそれと人に聞けなくなっていませんか? そんなことでは新しい世界に飛び込むことはできませんよ。
つづきは、その2へ