漢字の成り立ちが面白い!(但し曖昧な点も多い)
篆書をやっていると漢字の成り立ちに興味がわいて来ます。
入門書の一例
何か本を読んでみたいと思い、こちらを購入しました。
『漢字の成り立ち図解』落合淳思著(人文書院)
漢字の成り立ちの本は子供の頃にも見た記憶があります。
確か、最古の文字にイラストを添えて、「この形は◯◯を表しています」などと説明されていた気がします。
この本ではそういった説明に加えて、最古の文字である甲骨文字の形が、→金文→戦国古文→篆書→隷書→楷書(※)それぞれでどのように変化したのかを示していて、書をやる人間にはそこが面白い!
(※この本では、「戦国古文」:春秋戦国、「篆書」:秦の時代の文字を指します)
例えば『泰山刻石』にも出てきた「臨」の文字は、次のように解説されています。
どうでしょう、面白くありませんか?
金文の「器を見下ろす人」の姿はなんとも可愛らしいし、各パーツの配置の変遷も面白い。
この本は収録文字数が少ないので字引のような使い方は出来ませんが、図表が大変わかりやすく、文章も簡潔で、とても読みやすいと思いました。
「決定版」は存在しない
ところで、漢字の成り立ちって、実は曖昧なところも多いってご存知でしたか?
「漢字学」の分野には著名な学者が複数いて、学説はそれぞれ異なるそうです。(参考:Wikipedia)
“漢字の成り立ち<決定版>”が存在しないので、今現在出版されている本はどの学説をもとにしたかによって違いが出ると思われます。
漢字の成り立ちについて調べる時は、その辺を踏まえておいた方がよさそうです。(知らなかったー)
ちなみに、今回『漢字の成り立ち図解』を選んだのは(読みやすさはもちろんですが)、落合氏が過去に「漢字の成り立ち ─『説文解字』から最先端の研究まで 」(筑摩書房)という本を著していることから中立性を期待したのと、2022年9月発行の新しい本だったからです。
以上、ご参考に。