星々は道程を見ない【14歳、絶唱する】
夜の海辺は、冬の静寂を忘れたように、入り混じる男女の声、狂騒に舌打ちを鳴らす。
暑い夏に、身を沈めて。
線香花火に灯る輝きが絶えるのも待たずして、己が果てたいと思った。
あぁまた、駄目だった。
空を見上げても、星はひとつも出ていない。
今日のおれに似合いの空だ。
女なんて星の数をいるじゃないか。慰める友人の顔が浮かぶ。
馬鹿だと思う。
女ならば誰でも良いのか。
馬鹿だと思う。
何故自らの手で掴めないものに女にたとえるのか。
ここには友人の、ある種の男たちの優越がある。おれたちが手に入れたものは神聖だ、と。見つけ、手に入れた自負。
要らない。
言い訳だ。
欲しい。
でも振られる。
星との距離はどこまでも離れている。女が星ならば、おれは永遠に掴めないのだろう。
おれが星ならば、おれのような薄汚れた魂に近づくはずもない。
砂を一粒拾い上げる。砂だったら良かったのに。
あぁ今年も卒業できなかったな、
童貞。
ふざけんなー!