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内部変換における修飾 一歩進んだ和声学 Part 40

今回は内部変換における修飾というものを紹介します。これは内部変換において拍点外変換(裏拍における内部変換)において特定の声部における旋律的な動きのことを言います。これがどのようなことなのか、詳しく見ていきましょう。


1 拍点と拍点外における内部変換

それぞれの拍子における「各拍のあたま」のことを拍点はくてんといいます。ポピュラー音楽では「表拍おもてはく」とも呼びます。

これに対し、拍点以外の部分を拍点外はくてんがいといいます。これは「表」に対して「裏拍うらはく」と呼ばれているものです。

拍子によって何の音符を1拍にするかは異なっており、例えば2/2拍子、3/2拍子などでは2分音符が1拍となり、2/4拍子、4/4拍子などでは4分音符が1拍となります。

6/8拍子や9/8拍子などでは付点4分音符を1拍とするとらえ方と、8分音符を1拍とするとらえ方があります。

6/4拍子や9/4拍子などでは付点2分音符を1拍とするとらえ方と、4分音符を1拍とするとらえ方があります。

『和声 理論と実習 第3巻』において、「和音交替は拍点外で行われるのは稀であり、現段階では避けるのがよい」と書かれていますが、実際の曲では拍点外における和音交替が行われているケースも多いです。

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番より第2楽章冒頭 2/4拍子で3小節目の2拍目の裏拍で和音交替が行われている。偶成和音や内部変換における付加音の消滅については後述します。

一方で拍点外における内部変換は問題なく行われており、これは
・一般的な内部変換
・構成音の修飾

の二つに分類されます。ここでは構成音の修飾をピックアップして解説していきます。

2 修飾

構成音の修飾というものは
1つの和音の内部で、ある声部の構成音(a)が単独で他の構成音(b)へと移ることをいいます。

この時のaのことを原音げんおんといい、b修飾音といいます。

原音は拍点に置かれ、修飾音は拍点外に置かれます

原音と1オクターヴの関係にある同種構成音は修飾音として扱うことがあります。
原音と同じ音が拍点外にあったとしても原音とみなします。

3 修飾に関する許容事項

拍点外における修飾音を含む配置では
・構成音の欠如、重複
・声部の離隔

が許されます。

ただし
・限定進行音の重複禁止
・第9音は根音の9度以上上に置く

の二つの事項に関しては修飾音であっても守らなければいけません。

進行においては
・第7音(原音)→根音(修飾音)の短7度下行
・修飾音から後続音への長・短7度下行

が許されます。

・原音が限定進行音の場合にも修飾することができますが、修飾音を除去したときに所定の限定進行がなされてなければいけません

・V諸和音の内部変換における修飾においては、修飾によって限定進行音が欠如したとしても、修飾音を除去したときに正しい置き換えが成立しているなら許されます

・間接連続8度・5度に関しては修飾においても適用されます

↓こちらも参考にしてください。
内部変換の間接連続8度、5度、1度 一歩進んだ和声学 Part 38|Ryo Sasaki (note.com)

・第7音の2度下行と根音の3度下行による並達8度は修飾を除去した場合に生じたものであっても、これは認められません。

4 バスの修飾

バスにおける修飾は低音位変換とはみなしません
バスが修飾されている場合は、修飾音を除去して和音分析を行うのがよいでしょう。

5 終わりに

次回は限定進行音の例外的な取り扱いを紹介していきます。
内部変換に関する事項は次回で最終回となります。

よければ他の記事もご覧ください。

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