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トルコ行進曲 楽曲分析

今回はモーツァルト(1756~1791)の『トルコ行進曲』の楽曲分析を行っていきます。彼の作品の中でも特に有名なものとして知られていますが、この曲はどのような構成をしているのでしょうか。

1 元々はピアノソナタの第3楽章

この曲は元々、ピアノソナタイ長調K331の第3楽章として作曲されたものでした。このソナタも古典派時代のソナタとしては特殊なもので、
第1楽章 変奏曲
第2楽章 メヌエット
第3楽章 トルコ行進曲

という構成で、ソナタに必要なソナタ形式の楽章を欠いているのが特徴です。第1楽章が緩徐楽章で変奏曲というのも当時は異例だったでしょう。

さて本題のトルコ行進曲に話を戻しますが、
この曲は2/4拍子で調はイ短調Allegretto(アレグレット。やや早く)の指定があります。
曲は大きく分けるとAーBーAーコーダという構成で、細分化すると
AーBーCーBーAーBーコーダという構成を取っています。ここでは後者を利用して解説しようと思います。

2 楽曲構造

まずはイ短調の主題(A)が現れます。0:00~

A

続いてイ長調に転調しBに進みます。0:51~

B

メロディはオクターヴで奏でられ、左手は同音連打に装飾音を加えて単調さを避けています。
AとBの部分はクラシックを知らない方でも聞いたことがある方が多いのではないのでしょうか?

Bが終わるとイ長調の平行調、嬰へ短調の楽想(C)が現れます。1:08~

C前半

短いイ長調のフレーズを挟み、C冒頭のメロディーが戻りそのまま嬰へ短調でCを締めくくります。1:24~

C後半

この部分は右手がほとんど16分音符なので曲全体で演奏はミスしやすいポイントです。

Cが終わりそのあとにBのメロディが戻ってきます。
再びAが奏でられると、変奏された形でBが回帰します。

B

左手はそのままですが、右手は16分音符に細分化されています。手の小さい方には少々弾きにくい場面でしょう。このBのあと、最後のコーダ(終結部)に向かいます。

コーダ

左手はBのリズムを保ちながら、新たに現れたコーダのメロディを右手が奏でます。装飾音が多用されているので、弾く際は音を潰さないように弾かなければなりません。イ長調のまま曲を締めくくります。

和声に関しても難しい場面はさほどなく、自身で和声を分析するのも難なくこなすことができるでしょう。和声に関してはまたの機会に和声分析を行いたいと思います。

この曲もさほど難しい構成をしておらず、同じ楽想を何度か繰り返すものになっています。またテンポはアレグレットとなっていますが、アレグレットより速い演奏もあります。どちらかというと、アレグロぐらいの速さで演奏している方が多いような気がします。様々な演奏者の演奏を聞いてみてください。

ご覧いただきありがとうございました。



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Ryo Sasaki
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