近親調以外の転調 一歩進んだ和声学 Part 30
今まで転調については、近親調による転調に限定して行ってきました。そこで近親調以外の転調をする場合はどのような準備が必要なのかを見ていきます。
1 固有和音調
すでに紹介したものですが、ある調において、各音度の固有和音をそれぞれIとする調を、その調の各音度調といいました。それぞれの各音度調は、固有和音調という名称でも呼ばれます。
固有和音調は
長調においては
I調、II調、III調、IV調、V調、VI調が存在し、
短調においては
I調、III調、IV調、V調、VI調、VII調が存在します。
そして、I調以外の調を近親調といいました。この近親調は副次調とも呼ばれます。
2 準固有和音調
ある長調の同主短調の固有和音調を準固有和音調といいます。
例えばハ長調(Cメジャー)の場合、同主短調であるハ短調(Cマイナー)の固有和音をそれぞれIとして持つ調が準固有和音調です。
準固有和音調はそれぞれ
準I調、準III調、準IV調、準V調、準VI調、準VII調といい、
〇I調、〇III調、〇IV調、〇V調、〇VI調、〇VII調と表記します。
準固有和音調のうち、〇I調以外を準副次調といいます。
3 副次短調の同主長調
ある調の副次短調の同主長調を、その調の副次同主長調といいます。
つまり副次調のうち短調となるものなので
長調では
II調、III調、VI調をさし
短調では
IV調、V調をさします。
それぞれ
長調のII調、III調、VI調の同主長調を
プラスII調、プラスIII調、プラスVI調といい
+II調、+III調、+VI調と表記します。
短調のIV調、V調の同主長調を
プラスIV調、プラスV調といい
+IV調、+V調と表記します。
短調の同主長調はプラスI調といい、+I調と表記します。
+I調、+IV調、+V調をまとめて固有和音同主長調といいます。
4 主調と内部調
一つの楽曲において、楽曲全体を支配する調を主調といい、その主調の中に現れる主調と異なる諸調を内部調といいます。
主調がハ長調(Cメジャー)の時に、途中でニ短調(Dマイナー)やト長調(Gメジャー)などが出現した場合、それらが内部調となります。
内部調(a)に属する和音(B)を、内部調aの所属和音といい、内部調aを、和音Bの所属調といいます。
これらを表すときに使われるのが、内属記号と呼ばれているもので()の左の外側に小さく内部調の音度aを書き、()の内側にその和音Bを表記します。
例えば
II(IV)、III(VI)、VI(V)のように表します。
同じ内部調aに所属する和音が継続する場合は、一つにまとめて表すことができます。
例えば
II(II)→II(V)→II(I)という進行の場合は
II(II→V→I)のように一つにまとめることができます。
主調の所属和音の表示は今まで通り、和音記号(I、IIなど)のみで表します。
I(I→II7→V)のような表記はしません。
5 終わりに
次回はこの続きから行います。
よければ他の記事もご覧ください。
また作曲もしています。
合せてご覧いただけたら幸いです。
またスキ、コメント等非常に励みになりますので、よかったと思った方ぜひお願いいたします。