今日の1曲 マラン・マレー リュリ氏を偲んで
今日の1曲は、マラン・マレー(1656〜1728)の『リュリ氏を偲んで』という曲です。
マラン・マレーはフランスの作曲家で優れたヴィオラ・ダ・ガンバ奏者でもありした。現在は数作のオペラと器楽作品が遺っていますが、器楽作品においては、自身がヴィオラ・ダ・ガンバ奏者だったこともあり、この楽器を独奏楽器として扱う曲も多く遺っています。
今回の曲はフランス語で❝Tombeau pour Monsieur de Lully❞というのですが、トンボーは音楽において、故人を追悼するため曲という意味合いがあります。もともとはフランス語で「墓」という意味です。
後にフランスの作曲家ラヴェルも、このトンボーを使って6曲からなる組曲を作曲しました。そう、あの『クープランの墓(Le Tombeau de Couperin)』のことです。『クープランの墓』は第1次世界大戦で散ったラヴェルの友人たちを追悼するために書かれた曲集です。
さて、話を戻しましょう。
このリュリという人物は、イタリアで生まれ、フランスで活躍したジャン=バティスト・リュリのことをさします。
マラン・マレーは若き日にリュリと出会い、彼から作曲を教わったと伝えられています。したがってこの曲はかつての師であった、リュリの死を偲ぶために作曲された作品だとうかがえます。音楽的な性質からか、重く暗い雰囲気がただよう曲となっていますが、ヴィオラ・ダ・ガンバ特有の乾いた音色も相まって、よりいっそう深みが増している音楽だと思います。
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