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奇想曲第24番イ短調 楽曲分析
今回はパガニーニ(1782~1840)の『奇想曲第24番イ短調』の楽曲分析を行います。パガニーニはイタリアのヴァイオリニスト、作曲家で超人的な技巧を持っていたヴァイオリンのヴィルトゥオーゾとして知られています。今回紹介する曲は後にリスト(1811~1886)、ブラームス(1833~1897)、ラフマニノフ(1873~1943)などがこの主題を用いたピアノ作品を書いています。またリストの『ラ・カンパネラ』の原曲を作った作曲家でもあります(ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調第3楽章)。いったいどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。
1 拍子、調、構造
2/4拍子、調はイ短調
主題と11の変奏からなる変奏曲形式です。
ヴァイオリンのヴィルトゥオーゾだった彼らしく高い演奏技術を求められる曲です。
2 解説
① 主題 0:00~
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"Quasi Presto(大体急速に)"の指示がありますが、急速に演奏しているプレイヤーはあまりいないと思います。大体アレグロぐらいのテンポで演奏しているプレイヤーが多いと思います。この主題を基に11の変奏が繰り広げられます。
② 第1変奏 0:21~
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第1変奏ではアルペジオが繰り広げられます。アルペジオはコードトーンをなぞっているだけなので音楽的には難しい場面はありません。5小節目は"restez"と書いていますがこれは「そのまま」という意味です。
③ 第2変奏 0:38~
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第2変奏は短2度の動機と順次進行による上行と下行の音型のコンビネーションです。ここでも装飾音を用いて奏者に負担をかけています。
④ 第3変奏 0:57~
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第3変奏はオクターヴで奏でられます。ローマ数字でIIIとIVが書かれているので、ここではG線(4線)とD線(3線)を使って演奏します。
⑤ 第4変奏 1:26~
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第4変奏は半音階を主体としています。ここではA線(2線)とE線(1線)の使用指示があります。
⑥ 第5変奏 1:42~
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第5変奏はG線で低音を鳴らしながら、合いの手のようにオクターヴの動機が絡みます。ポジション移動が大変な場面です。
⑦ 第6変奏 1:59~
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第6変奏は3度の重音奏法です。後半は複音程(10度)で演奏されます。
⑧ 第7変奏 2:21~
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第7変奏は16分音符の3連符によるものです。ラスト4小節間はポジションの移動が大変です。
⑨ 第8変奏 2:39~
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第8変奏は重音奏法です。ヴァイオリンの構成上、弓を用いる場合は3つ以上の弦を同時に鳴らすことができません。なので低い音から高い音へアルペジオするようなイメージで演奏する必要があります。2小節目の"segue"は「同様に演奏して」という意味です。1小節目にアップボウ、ダウンボウの指示がありますのでその指示通りのまま演奏してくださいということです。
⑩ 第9変奏 2:54~
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第9変奏は第1変奏と似たような感じですが、ここでは左手のピツィカートが使われています。ピツィカートは基本的には右手で行います。ピツィカートと"arco(弓で演奏する)"が交錯する非常に技巧的な部分です。
⑪ 第10変奏 3:12~
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第10変奏では一番旋律的要素を含むもので、高音で演奏されます。"2nd volta"は「2回目の繰り返し以降」という意味です。ここでは「2回目の繰り返しはP(ピアノ。弱く)で演奏してください」ということでしょう。
⑫ 第11変奏 3:44~
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第11変奏はこれまでの変奏を総括するようなものです。重音奏法、アルペジオが用いられています。
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このあとはコーダになり、アルペジオを中心として作られています。このコーダの和声は主題の和声とは異なるものです。最後は同主調であるイ長調に転調し、4小節に渡って広いアルペジオを奏でた後、力強くイ長調の主和音を奏でて曲を締めくくります。
3 総括
以上となります。いかがでしたか?
ヴァイオリンの技巧をふんだんに使った曲でしたね。
この奇想曲は元々『24の奇想曲』として作られたので、他にも23曲存在します。どれも難易度が高いものですが、ヴァイオリンを演奏する人にとっては登竜門のような作品群となっています。
では、ご覧いただきありがとうございました。
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