準固有和音 一歩進んだ和声学 Part 18
今回は準固有和音についてを学びます。この準固有和音はある調において、他の調の和音を一時的に借りてくる借用和音というもののひとつです。今回では準固有和音とは何なのかに重点を置いて紹介していきます。早速見ていきましょう。
1 定位音度と変位音度
各調における「音階各音度の固有の音高位置」を、それぞれの音度の定位といい、定位にある音度を定位音度といいます。
例えばハ長調(Cメジャー)の定位音度は以下のようになり、
ハ短調(Cマイナー)の定位音度は以下のようになります。
そして定位音度を半音変化させることを変位といい
上方への変位を上方変位といい
下方への変位を下方変位といいます。
上方変位は音度数字の左側に↑を
下方変位は音度数字の左側に↓をつけて表します。
変位した音度を変位音度といい
上方変位した音度を上方変位音度といい
下方変位した音度を下方変位音度といいます。
今回の準固有和音というのは長調において一部の音が下方変位された和音群を指します。
今後登場しますが、セカンダリードミナントと呼ばれているものは各調のIV音が上方変位されたIIの和音のことを指します。
2 固有和音と借用和音
各調の定位音度のみで構成された和音をその調の固有和音といいます。
いわゆるこれがダイアトニックコードと呼ばれているものです。
ただし短調において、V諸和音では構成音にVIIの上方変位(↑VII)を持ちますが、これは固有和音とみなします。
ある調において、他の調の固有和音が一時的に借用されることがあり、これらをその調における借用和音といいます。
今回の準固有和音ではある調(長調)の同主調からその固有和音を一時的に借りてくる、ということになります。
セカンダリードミナントであればある調の属調(ハ長調ならト長調)からその固有和音(Vの和音)を借りてくる、ということになります。
3 準固有和音
先ほども述べましたが、長調においてその同主調の固有和音を借用することがあります。これらを準固有和音と呼び、音度記号の左側に〇を付けて表します。
現段階において使用する準固有和音群は以下の通りです。
〇IIの和音、〇IVの和音、〇VIの和音はポピュラー音楽ではサブドミナントマイナーと呼ばれます。
準固有和音を使うことによって長調においても減7の和音(ディミニッシュ・コードが)使用できます。
これら準固有和音群は下方変位音度である↓VIをもちます。
〇VIの和音においては↓VIに加え↓IIIをもちます。
4 終わりに
準固有和音の全体像は掴めたでしょうか?
次回は準固有和音を使った進行、連結についてを学びます。
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