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ハンガリー舞曲第5番 楽曲分析
今回はブラームス(1833~1897)の代表作、ハンガリー舞曲第5番を分析しようと思います。これはブラームスオリジナルの作品ではなく、あくまで伝統音楽の編曲の立ち位置の曲ですが、ブラームスの作品の中でも特に人気の高い曲となっています。いったいどのような構造をしているのか、さっそく見ていきましょう。
1 拍子、調、構造
もともとはピアノ連弾ように作曲された作品集で全21曲あります。特にこの第5番はとびぬけて有名になったものの一つです。
この曲はブラームス本人によって管弦楽編曲はされておらず、様々な番があります。もともとの調は嬰へ短調ですが、オーケストラ編曲にあたって半音上のト短調に移調されたものがあります。これはオーケストラの楽器の特性上ト短調の方が良く響くからです。
拍子は2/4拍子、調は嬰へ短調
A-B-C-A-Bの構造です。
大まかに言えば三部形式と解釈して良いでしょう。
2 解説
① A 0:00~
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テンポはAllegro(アレグロ。速く)、また"passionato(パッシオナート。情熱的に)"の指示があります。
メロディはとてもシンプルなものですが、左手の音域が広いので注意が必要です。和声に関しても主(トニック)和音、下属(サブドミナント)和音、属(ドミナント)和音のみを使った簡単な構成です。
Aでは主題が2回演奏されますが、単純な繰り返しではなく少しずつ変化がつけられています。
② B 0:31~
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Bはロ短調の属和音で始まり、ロ短調、イ長調を経由して嬰へ短調に戻ってきます。Bの9小節目でpoco rit.(少しだけだんだん遅く)して13小節目で元のテンポに戻ります。Bも2回演奏されます。またmarc.(マルカート。はっきりと)の指示がありますので、歯切れよく演奏されるべきでしょう。
③ C 1:04~
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Cは同主調の嬰へ長調に転調し、Vivace(ヴィヴァーチェ。活発に)の指示がついています。"poco rit."と"in tempo"が繰り返される、テンポが常に変化していく部分です。"legg.(レガート。優美に)"や"dolce(ドルチェ。柔らかく)"の指示があるので、比較的落ち着いて弾くのが良いでしょう。
④ A&B 1:41~
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Cが終わった後もう一度AとBが繰り返されますが、各々は短縮された形で再現されます。特に和声の変化もなく、最後の2小節でII(G#m7(♭5))ーV(C#)ーI(F#m)の和音を鳴らし曲を締めくくります。
以上となります。いかがでしたか?
最初に紹介しましたが、オーケストラ編曲もあるのでぜひそちらと一緒に聞いてみてください。オーケストラ編曲は様々な方が手をかけていますのでお気に入りの版を見つけるのもいいかもしれませんね。
ご覧いただきありがとうございました。
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