心霊写真について
昔、よく心霊写真の番組が放送されていた。オカルトの類を一切信じない父親が、何故か心霊写真だけは好きで、ウチでもけっこう視聴していた。
視聴者から寄せられた心霊写真を、霊能力者という謎の権威を持つ人が解説を施す。たまに除霊のロケなんかも放映されていた。下ヨシ子とか今はどこで何をやっているんだろう…。
そんな心霊写真の番組は、めっきり見なくなった。まさか霊の数が減っている訳ではないだろう。(むしろ年々増えているだろう)下ヨシ子あたりが、人知れず戦っている可能性も検討してみたが、わざわざ心霊写真を減らして、自分の仕事を減らすこともないだろう。
様々思案した結果、カメラ技術の発展により、霊は写真に映らなくなったという結論に辿り着いた。
心霊写真の多くは、カメラの光の具合とか精度の悪さに起因して生み出されていたのだろう。(中にはホンモノもあるかもしれないが)最近のカメラ技術は本当にすごい。スマホの付属カメラでさえ、かつてのデジカメを超える画素数で、細部まで綺麗に撮れる。
カメラ画質の向上に反比例するように、霊たちは不純物の如く写真から排除されるようになった。結局、心霊写真が集まらないので、番組も作りようがない。というのが、心霊番組が減った要因だろう。一時代を彩ってきた心霊たちではあるが、あまりにも生きづらい(?)世の中になったものだ。
江戸時代、松平定信のあまりにも清すぎる治世に「白河の清きに魚の住みかねて元の濁りの田沼恋しき」という歌が流行ったそうだ。今の心霊たちもこんな心境だろう。(中には松平公の時代がまた来た!なんて思っている古参の心霊もいるかもしれない)
「iPhoneの清きに霊の住みかねて元の濁りの写るんです恋しき」といったところだろうか。
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