誰も寝てはならぬ午前二時、ありがとうとウメッシュ
このところ、息子が午前二時に飛び起きて、
「イヤアアアアアアアアアアアアア!!!!」
と叫んでリビングを駆け回る現象が続いている。叫ぶだけでなく、泣いている。
身体も大きくなってきて、声量もそれなりに出るようになったため、結構驚くようなサウンドが響き渡る。
一番最初の日は夫婦二人で「おお?どうした?どうした?」と心配していた。
妻は不安そうだったが、わたしはまあまあそれを面白がって「怖い夢でもみたのかな?」くらいに思っていた。
最初は。ニコニコして見てました。最初はね。
しかし2日、3日と全く同じテンションで息子が飛び起きてくると、なかなかこれがきつい。
連鎖的に娘も起きる。まさに、ええいああ、兄からもらいなき。ほろりほろり、なんてものではない。2人揃ってギャンギャンに泣く。
ちょっと息子をあやしてみるけれど、一向に泣き止む気配がない。先日の風邪以来わたし自身も睡眠の質がめちゃくちゃ悪かったので、妻に謝りつつわたしは寝た。
今朝は寝付かせるためにドライブまでしたそうだ。
子どもの突然の変化は日々やってくる。はじめの頃はすぐに本屋に行って本を調べたり、ググったりしていた。いろいろ試した。
けれどもその変化の原因が何なのかを突き止めること、そして対策をうつことは本当に難しい。だって上手くいくことって、少ないから。
そのうちに「これって上手くやるとか、やらないとかの次元じゃないのかもな。」という思いもでてくる。妻にもそう言われた。
「どうしようもならないこともあるよ。」
「一回どうにかしようとするのをやめて、別のことしたほうがいいよ。」
子どもが生まれる前に読んだ育児の記事で、こんなようなことを読んだ覚えがある。
「新米パパはことあるごとに『解決策』を見つけて提示しようとするけれど、その時ママはすでに次のステージに移っていることがあるから(今言ったような「単純な解決策を見つけようとする」だけでなく「静かに見守るしかない」の手札もすでに学んだ上で対処している、みたいな)、そういうググって3秒で出てくる『解決策』を押し付けてはいけませんよ。(ウザがられるかもしれませんよ)」
その時は「ほほう…、なるほど…フフフ、そんなものにはなるもんかい!」と調子に乗っていたが、まさにそうなっている自分を反省した。マジ学ばねえな自分…うう…。
とにかく今は妻の睡眠不足を解消したい。どうしたらいいかはわからない。妻によればこの問題が始まる前から日中は常に、
息子&娘「誰も寝てはならぬ。」
妻「誰も寝てはくれぬ。」
の戦いになってしまっていると聞いていたのに。
日中だけだったトゥーランドットな合戦が、今では深夜までその合戦が続いている模様。
ううむ…お盆休みでなんとかしなければ。
荒川静香さんにフィギュアスケート滑ってもらったら泣き止んだりしますか?しませんか?
や、困ったね。三歩進んで二歩下がるどころじゃないよ。一歩進んで二歩下がってる気がする。子育てって面白くて子どもがかわいいって側面はあるけれど、ほんとこんな感じです。
そうしてる間にも奴らはどんどん成長していきやがる…何という無理ゲーだ。ゲームの開発者、出てきなさい。
ま、とにかく!
現時点で有効打が何なのかはわからないけれど、明日からのお盆休み、息子よおれはいつも以上に貴様と戯れてやるぞ!父は今、鼻息を荒くしている。むしろ「おい坊主、おれの遊びについて来られるか…?」くらいの勢いである。
とにかく!
この「誰も寝てはならぬ」合戦、MVPは妻だ。それは言うまでもない。
日々の多くの時間を、ソファで娘に授乳しつつ、息子をやわらかに監視して過ごすあなたはマジですごい。こいつら全然寝てくれないのだ。思った時間になんて寝てくれないし、そもそも文字通り全く寝ないときもある。まだ喋れないくせに行動で「誰も寝てはならぬ」と連呼しやがる。
なんて奴らだ。
ちょっと背中を反らせてうなりながら、ソファの背もたれに寄りかかっている妻。これは主婦版のイナバウアーとでもいうべきアレで、もうほらアレだ、金メダル級だと思う。おれが脇でトゥーランドットを歌ってやる(息子がまた起きそうだ)。
ん?「イナバウアーは上体の反りはおまけで加点されませんよ。」だと?
うるせぇよそんなん知ったこっちゃねえよ。加点がなくたってそれ自体がビューティフルなのは変わらねーんだよ。あのトリノのイナバウアーの時誰が脚の型なんて見てたっていうんだ、あの反りのビューティフルを見て歓声をあげていたんだろ。
得点で勝敗は決まるけど得点でビューティフルは響き渡らねえんだよ。
ほら、メダルはないけど、ノンアルコールのウメッシュ買ってきたぜ。
盆休み前、おれの最後の仕事はコレであなたを祝うことです。
なんて充実した仕事なんだおれももちろん飲みます。
まあ、だから何だ息子よ、娘よ。
今晩だけは起きてくれるなよ。乾杯。