GENKYO 横尾忠則
GENKYO 横尾忠則展に行ってきたので感想を書く。
初日ということもあり比較的空いていた。やはり企画展は早く行くに限りますね。
今回の展示は、1Fと3F(そして少しだけ2F)に亘るようだった。「ようだった」と言うのも、実は1Fの半分ほどしか観れていない。
今回の展示はかなりの数の作品が並んでいる。そもそも1つ1つの作品が十分見応えがあるのと、自分がかなりじっくり観がちなスタイルというのと、展示作品の豊富さで、とても全部見切れなかった…1F半分くらいのところで3時間弱経過しており、体力以上に頭もパンパンだったのでギブアップであった。
このペースだとあと3回行くことになるのかな。やれやれ。すごい作家だ。
章立てで言うと、「神話の森へ」「多元宇宙論」「リメイク/リモデル」まで(「リメイク/リモデル」は後半力尽きていたが…)を観てきた。印象的だった作品を記す。
◾️神話の森へ
大型の絵画が並ぶエリア。でっけえことは最強だ、とはっちゃんが言うのはわかる気がする。ここだけで1つの企画展として成立するような、そんなパワーのある絵ばかりが並んでいた。
・画家の自画像
入ってすぐ目の前にあるオレンジ色背景の絵。(おそらく自分の)顔、顔のスタンプ、山の稜線、狙う人、生花、よくわからないもの… 「自画像」でこんなことしていいんだ、まあそりゃいいか。と思った。自画像を描こうとなってこういう構成にする想像力すごいなあ。この人は何してるのかとか、なんでここに生花なのか、色々聞きたいけど、なんで?というのはナンセンスな質問なのかもしれない。
・KUSANAGI NO TSURUGI
ナポレオンを彷彿させる一枚。
空がきれい。それ自体でもきれいだし、左下部分の鋭い暖色(炎?)とのコントラスト、左下から飛び散る火花が綺麗だった。和装した男性が剣を掲げて左下を見ているが、その眼差しの鋭いこと。隊員がいるのかな。縦に配置されてる鏡にはどんな意味があるのかな。とにかくド迫力の絵で、ずっと見てられると思った。
・血の涙
性別不詳の人間の目から赤い涙が流れている。目の焦点は合わず、鼻は何かに引っ張られているようで、口もひしゃげており不気味だった。何より、あの肌の色。薄紫といわゆるハダ色の合わさったような色で、不気味な光沢がてらてらとひかり、骨に張り付いている様がリアルで、これが一番おどろおどろしかった…その上に舞う骨たち。
絵の感想というか、その絵から滲み出ている迫力のようなものに当てられている経験の時間。すごいよね、そんな絵が自分で作れるなんて。これ全部この人が作ったのか。。
・相愛
女性の艶やかさというものがここまで絵画にできるのかと思った。恍惚の表情、踊りが抑えられなくてともすれば少し不恰好とも思えるような体、背後の男性に、愛おしそうにというより、欲望のままに回されている腕、、
表現するということに関して、自分は言葉というツールが一番扱いやすいけど、それを以て絵の感想を書くって、そもそも成立するの?と思わされる、しかし言葉を使わなければ人と通じ合うことは難しいように感じられる・・・
・戦後(?)
この木や、この一斗缶は、もしかして本物の戦後のものだったりするのかな。黒い木枠が浮いているのも、絵だけじゃないんだよというような効果があるのかもしれない。
褪せた銀色の板に磔にされた手たちがグロテスクだと思った。死というのは時が止まることなのだと思わされた。
・戦後2(?)
引き裂かれた少年の笑顔がまず目に入り、後ろには赤やオレンジに彩られる街の俯瞰。大火傷をして皮膚が捲れてしまった肉体を思った。毒々しい街、スポイルされてしまった経験
◾️多元宇宙論
カンバスの上に、他のカンバスで描かれた絵がコラージュされていたり、別のものがコラージュされていたり、複合的に世界を捉えられるような作品たち。ひとつひとつの原形を想像したり、それらが持つ意味がどう絡まって、どんな印象を与えるのか、どれもじっくり見なければいけないような作品たちだったように思う。足を踏み入れた最初こそ、このエリアはよーわからんかもなーと思っていたが、みるみる面白さが膨らんで楽しかった。
・緑とオレンジの日々
というタイトルなのだが、暗い青、暗い赤、くすんだ黒、の3つで構成されていた。どの絵にも、後ろを向いた人影。帽子を被った、初老の男性、父である彼が、自分という子供の元を去ろうとしているのか?艶やかな彩りだった日々が失われようとしているのか?
・xxxの受胎とxxx(?)
滝の絵が背景にあり、裡が宇宙になっている神殿の中で、眠る女を触媒に?顕れた両性具有の少年が、男性の天使に何かを求めている。おそらくは彼の脳に青く輝くなにかを。それを手にすると、混沌の中になにか生まれ出ることができるのだろうか。男性の天使は、それをしていいのか計りかねているようで、女性の天使に相談しているように見えたが、女性の天使もコトがあまりよく分かっていなそうな印象を受け、そのチグハグさが少し可笑しかった。
神殿の柱には外向きに、狐の顔の剥製、その上に方位と小さなベル。われわれが気軽に参加しないよう見張っているのかな。男性の天使の脳に輝くあの青い能力はなんなんだろう。
一旦ここまでにしようかな。簡単にとってたメモが今手元にないんだよね。
次行く時も楽しみだ。