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校正という仕事

先日、校正に携わった書籍「水晶体に映る記憶」が無事、発売された。

せっかくなので、初めて取り組んだ校正という仕事について、書き残しておこうと思う。

まず、校正とはなんなのか。というところから全く分からないままにスタートした。校閲とは違うん?推敲とも違うん?未だによく分かってはいない。

とにかく、誤字脱字をなくすこと、きちんと伝わるものに変換すること。
これだけをすればいいのだな。という認識で取り組んだ。

メインで利用していたのがadobeのInDesign
とはいっても、私はファイル共有してもらったものにコメントを残していくだけ。

初回の校正は、ほとんどが誤字脱字、重複の訂正だった。また、一部noteから引用してきている文章も存在しているため、”note”というワードが、書籍から入った人にはわからない形で使われている場面があったりもしていた。

あくまでも書籍でしっかりと完結すること。
前後感や、前提がなければ分からないことは、ちゃんと説明するか、省くか、何かしらの対処をすること。
理解できない言い回しは、近しい言い回しに変換していくこと。

この後、さらにどうすれば伝わりやすいか。というところに言及していく。
普通の校正の仕事がどのように行われているのか分からないが、今回私は、かなりの回数をかけて、著者と文章を往復させながら修正を重ねていった。

コメントだけの校正ではなく、「ここの訂正はこういう意味だから~。」というような具合に、時にzoomも使いながら対面で校正し続けた。

また、個人的に意識しながら修正を重ねたのは、文字を声に出して読むことと、情景を想像しながら読むこと。
声に出して読むことで、息継ぎの必要な箇所や、長すぎる箇所が浮き彫りになってくる。また、欲しい場所に句点を打つことができる。少しでも詰まってしまう場所や、息切れする場所がないように。
今回存在していたか、もはや記憶にはないが、スピード感がある場所は逆に矢継ぎ早に語り掛けるように。

情景を想像しながら読むのは、イメージとして、線画が出てきて、着彩されて、フレームが移動するのを再生するということ。
時には、色が前面に出てきて、そこに境界線が引かれることで、魅せる場面もあるだろうし、フレームの移動も、左右だけではなく、前後や、ズームイン、ズームアウトなど。

読みながら、場面がころころと変わって行ったり、解像度が上がっていく様子を描いたり。作者ではないから、文章を生み出すことはできないが、文章をよりイキイキさせることは可能。そんなことを思った。

擬音語や、擬態語もかなりこだわった。作者の癖がかなり強い部分でもあるから。本人が表現したい様子と、目の前に表現された文字のギャップをとにかく小さく整えた。

ひたすら、それぞれの表現を、丁寧に、丁寧に。
本を読みながら、情景がありありと浮かんでくるものであれば、校正として成功したのだろう。

あなたにも、作者の水晶体に映った景色と同じものが見えていると願って。

追記
案外面白いものだなと感じたところから、自分の語彙力のなさも痛感。所謂良書と言うものに触れてみようか、良いと言われる文章がどういうものか今ならわかる気がする。オススメの本があれば情報ください。

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