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真夏の小学校2連戦は実りが多すぎた!
1学期も終盤に差し掛かった7月初旬、縁あって2校の小学校にお邪魔しました。
東京オリンピック・パラリンピックが正式に決まった9年ほど前(2013年)頃から、小学4・5年生の学習指導要領には「障害理解」「福祉学習」「ダイバーシティ」「ユニバーサルデザイン」といった、いわゆる”他人事(になりがちな世界)”を学ぶ単元があることは把握していたのですが、今回はまさにその学年。
中学年から高学年へ。昨今引き下げられた成人への折り返し地点も過ぎ、他者とのちがいに敏感に、だからこそ自分のことだけでいっぱいいっぱいになりがちなこの時期に、明らかに見た目のちがう自分〈ボク〉たちと直接出会うことで、自分〈子どもたち自身〉で自分のことを好きになり、自分の価値に気付く。
そんな穏やかな空気感が流れる授業になればいいなと、いつも思っています。
切り口はいつもスポーツで!
まずは足立区の小学校から。
有難いことに最近各地の学校で少しずつ、定期的に授業をさせていただけるようになって、分かってきたことがあるんです。
それは、「スポーツ(の話題)は導入に最適」だということ。
明らかに動きにくそうで、ゴツい電動車椅子に乗った男が開口一番「ボクもスポーツできると思う?」と、笑顔で問う。
子どもたちにとってはそれだけで十分新鮮、カルチャーショックです。
この段階ではまだ多くが「できない」に手を挙げますが、少なからずいるんです。「できる」と得意げに答えてくれる子が。
そうなれば僕はもう、やることはありません(笑)その子を口火に”できるスポーツ”を考えながら、子どもたちの声を拾っていき、会場の空気をほぐしていきます。
言うまでもないかもしれませんが、対象が幼ければ幼いほど共通の話題を見つけた時の子どもたちというのは嬉々とします。
反対にいくら成長し、大きくなった子どもであっても、もちろん大人であっても、会話の糸口を見つけるとホッとした表情を見せるのです。
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前向きな変化は創り方1つ!
「安心感があるからこそ、(こちらから)問えること、(向こうから)聞けることがある」
それは老若男女問わず絶対に間違いではなくて、安心感をもって起こしたアクションを受け止めてもらえて初めて、信頼感が芽生えるのかな、とも思います。
少し前置きが長くなりましたが、だからこそ授業の成否は9割が事前準備と当日の雰囲気づくりで決まる。いつからか、僕はそう信じるようになりました。
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事情を理解し、事前準備にご協力いただいている各学校関係者の皆様には心から感謝しています。
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最後には、かなりの高確率で「かわいそう・大変そう」を「楽しそう」が凌駕するのです。
このように、学校の皆さんと二人三脚で創り上げている授業で僕がお伝えするのは、「ちがいと同じ」「障害特性(できること・できないこと)」「リアルな生活(ヘルパーを利用した1人暮らし)」と「障害についての捉え方」そして最後に、「誰にでも使える会話のきっかけフレーズ(魔法の言葉)」などです。
やはり、ひっきりなしに質問をもらえる時は嬉しいですね。
アレンジを加えてリクエストに応えてこそ、プロ。
続いて、先日出向いた文京区の小学校とは、綿密な打ち合わせの末に明確なリクエストをいただいて臨むことができました。
依頼をいただいた段階からすでに私への信頼度が高く、一緒に授業を創ることを楽しみにして下さっていることに、感動すら覚えるほど。
当日は4年ぶりの再会を噛みしめることになったわけですが、そんな先生からいただいたリクエストは次のようなものでした。
「特別支援級の子どもたちとの間にある”ちがい”を、大らかに包み込めるようになってほしい」
要するに【ちがいも同じも真ん中に】
これを実現するにはどうすればいいか?
そう問われていると解釈した僕は、最初と最後に行う恒例の質問に加えて急遽”2問目”を追加した。
「人とちがうことをどう思う?」
「こわいなぁ、ちょっとイヤだなぁ」と思うのか、それとも「ステキだなぁ、ちょっといいなぁ」と思うのか。
おおむね後者に挙がったその手に、目配せし少しホッとした表情を見せる先生と僕。でもこれが子どもたちの本音かどうかは分かりません。
それくらい、自分もふいに投げかけた問いだから(笑)
それでも、こうして届いた80人分の感想は、僕を未来への活動に駆り立てるには十分でした。
ちなみに、今回当校5年生のために加えたアレンジは”僕にとってのレガシーとは?”の発表でした。すでにそれぞれがオリパラレガシーについて調べてまとめ、今は国語でもユニバーサルデザインを学んでいるという彼らに、(多様性溢れる写真を見せながら)「こんな環境が当たり前になってほしい」と伝えました。
もちろん核心部分は子どもたちに考えたもらったのですが、彼らの口から直接【いろんな人が混ざり合ってる!】と聞けた時は嬉しかったなぁ。
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それに、僕にとっては1人ひとりの真っ直ぐな感想すべてが、レガシーになったことは言うまでもありません。
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後日、自宅に届いた80人分の心の声は90分かけて全部読みました^^
楽しい夏休みを過ごしてひと回り成長した子どもたちと、2学期以降また会えることを楽しみにしています。
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