見出し画像

「カモメの鳴きごえ」で夫婦に亀裂が走る

扇風機「かもめファン」

わが家の扇風機は「かもめファン」という日本メーカーさんのものを使っています。寝室に置いて使い、風量の切り替えやタイマーの設定など大満足なので、この季節には欠かせませんね。

ただし、今は慣れましたが最初とまどったことがひとつありました。

それは電源のオンオフ時に、扇風機が音声として「かもめ」の鳴き声を「クィーオ、クィーオ」と鳴らすことです。まあ、製品名が「かもめファン」なのでオンとオフのお知らせとして、かもめの鳴き声が一瞬、音声として流れるというしくみなわけですよ。

かもめの鳴き声

それがよく聞いてみると、かもめの鳴き声って「クィーオ、クィーオ」にも聞こえるし、「フェン、フェン」「フィーフォ、フィーフォ」「カァ、カァ」にも聞こえ、いったいどの擬音で表したらよいのかわからないほど不思議な鳴き声です。

そこで「かもめ 擬音」でネット検索したら、なんと、みんな疑問に思っていたようです。知恵袋にも上がっていましたが、結局は特定の鳴きごえは定まらず、やはり「クァ、クァ」とか、いろんな擬音が出ているようでした。

そんなふうに鳴き声に疑問を思っていたので、妻が不在のときは「かもめファン」の電源をオンオフにするときに、音声とともに「クィーオ、クィーオ」と鳴いてマネていました。

どの擬音がいちばんマッチするのかを試していたのです。

さすがに妻がいるときはどうかしていると思われるので、やらなかったのですが、やっぱり「クィーオ、クィーオ」でもないし、「フィーフォ、フィーフォ」でもない。どれもマッチすることばの響きを私という生物のノドからは鳴らすことができないのです。

妻の前で披露

するとある日、まちがえて妻がいるときに、ファンの電源をオンにして私は鳴いてしまいました。「クィーオ、クィーオ」という感じです。

まあ妻もこの扇風機が電源時に鳴くことは知っているので、とくだん驚くことはなかったのですが

ただ、わたしの鳴きマネについて「ぜんぜん鳴き声違うんだけど」とボソッと言ったのです。

無表情に。味気なく。

私はその瞬間、沸点が極限に高まり、怒り100パーセントです。なぜなら、そこにいたるまで「かもめファン」の音声とともに何十回とかもめの鳴く練習を繰り返していて、最近では自分でも「おや、なかなか近づいてきているな」という感触があったからです。

それが「ぜんぜん違う」と言われてしまえば、もういやだ。「離婚届」が頭をかすめます。

わが家では一度、ハーゲンダッツを食べた食べないで、妻が離婚届をその場でプリントアウトして記名するという修羅場までいっているので、その状況まで一気に思い浮かべたのです。※知っていましたか、離婚届はプリントアウトでOKです

大人なのでグッとこらえる

しかしここはグッとこらえて「ならばうまくなってやるぞ」とばかり、かもめファンとともに毎回鳴いてやると強く決心したのです

それからというものの「カア、カア」「ピーポー、ピーポー」といつもファンを回すときにともに鳴いてみせるのですが、部屋にはわたしの意味不明な鳴きごえが響くだけです。もちろん妻のほうをチラッ、チラッと見ながらですよ。

でも、いまだに妻からはお褒めのことばがもらえません。悔しい。

もはや、わたしのここ1ヶ月のふるまいは、ごくごく一般的なご家庭の夫像とはだいぶ間違っているようです。重々承知ですが、ああ、どうしても、ここまできたら引き下がれないのです。

「クィーオ、クィーオ」

必ずや、鳴いてみせます、かもめの声。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?