うつけものたちが営業の世界を変える【10億円の資金調達への想い】
はじめに
本日、グローバルブレイン様とエンジェルブリッジ様をリード投資家とし、総額10億円の資金調達をさせていただいたことをアナウンスさせていただきました。ご投資いただきました皆様や、ここまで進めていただいた社内外の方々にこの場を借りて御礼申し上げます。
amptalk株式会社として、私が目指したい世界をこちらでお伝え出来ればと思ってこのnoteを書かさせていただきました。
あらためて
私がどういう人なのか。現在、二つのプロダクトによって、商談解析であったり、Salesforceへの情報入力の効率化をしているアンプトークという会社の代表を務めております。最初の資金調達の際に自己紹介的に起業の経緯を書かさせていただきました。未だに当社を受けていただける方々に読んだとおっしゃっていただけることが多く、色々私の想いが書かれていますのでもしよろしければ目を通していただけると嬉しいです。
しかし、このnoteを出してからちょうど3年が経過しております(濃すぎて体感では12年くらい経過している感覚です)が、この3年色々な経験をさせていただいたり、色々な人とお会いする機会があったり、AIが隆盛してきたり、色々自分の考えや見方も変わってまりいました。そして、一つ分かったことがあります。
多分、良くも悪くも色々な起業家の方々の中でも、最も「営業」が好きである、ということです。他の方よりも視座が低いのかもしれませんが、私はいまだに営業が非常に好きで、営業の世界をよくしたいという感覚をとても強く持っております。
以前、とある大企業の営業責任者の方でセールスイネーブルメントに挑戦している方と話をしている際に、セールスイネーブルメントに挑戦する我々は「うつけもの」だと大いに盛り上がる機会がありました。
とっても難しいミッションだと思いますし、その方も私も、人生の中で望んで営業を選んだということはないと思います。最初に⚪︎⚪︎⚪︎マーケティングマネージャーとか⚪︎⚪︎⚪︎エンジニアとかカッコイイ名前の選択肢を渡されていたら多分選ばなかった仕事なのかもしれないけれど、なんだかやってみたらつらいけど面白かった。皆に選ばれない、この仕事を経験した僕たちだからこそ変えていきたい。そう思っています。
これは、私たちが営業の世界を変えていくための挑戦であり物語です。
日本マーケット
耳にタコかもしれませんが、労働人口が減っている中でソフトウェアで改善していこうという全体としての動きがあります。正しい動きであり、世の中は確実によくなっていっていると感じています。
一方で、日本という国をみてみても、所謂バックオフィスのSaaSの会社が大きく伸びており、フロント領域で大きく伸びた会社はまだあまり多くないのではないでしょうか。
米国などでは多くのユニコーンも出てきている中で、フロント領域に大きくポテンシャルがあるにも関わらず手が出しにくい理由を以下でご説明します。
困難①:ワークフローの置換ではない
シンプルにセールスはバックオフィスと異なり、ワークフローの効率化が難しい職種です。だからこそ難しい。
バックオフィス
請求書を手で受け取って転送して処理をしていたけど、特定のメールアドレスで受信すれば自動で処理されるようになる。であったり、勤怠と給与計算を繋いで自動化するなど、ワークフローをソフトウェアで置換するプロダクトが多いので、比較的人の手が入らずとも回っていくプロダクトが多いと感じています。
私はこれを卵で表現することが多いのですが、卵の黄身と白身を、黄身(プロダクト単独で出せるバリュー)部分、白身(カスタマーサクセスやコミュニティ、ブランド)などで付加されるバリュー部分。この総量がプロダクトが発揮できる合計のバリューとなります。
ワークフローを置換するプロダクト群は黄身が大きくなりがち、つまり「must have」なプロダクトになりやすいです。それが故のワークフローの置き換えによる、カスタマージャーニーを広めにおさえるプロダクトの連携性などの激戦区になるので競合環境の激化しやすいということがあったりすると思います。
セールス
一方セールスやマーケなどフロントは「nice to have」で黄身が小さくなりがちです。Salesforceを思い出してください。似たようなプロダクトを無名な会社が作って大企業に「はい」と渡しても誰も使わない謎のデータベースです。
しっかりやれば、確実にバリューは出せるのですが、ワークフローとは切り離されたものとなっているケースが多いので「しっかり」やらないといけないです。例えるなら、ジムや英会話と同じようなもので、やれば意味あるけど普段やっていない、ということであることが多かったりします。
Salesforceに入力させられる営業の1日を見てみましょう。
このような営業の何気ない1日に対して、
個人にとってあまりメリットのないSalesforceへの活動の入力などをやらされるのが営業に対して与えられるソフトウェアです。会社単位では意味がある行為であったとしても、売れるセールスにとっては何もしないほうが時間が出来て売れるというわけがわからないプロダクトになる傾向にあります。
これが難しい理由の一つ目です。
困難②:変数が多く定量化しにくい
営業を科学すると言われ続けて、何年も経ちますが、実際に営業が科学されているのかというと「Yes」とは言い難い状況だと思います。20年前と大きく変わっていないのではないでしょうか?
一つの理由には変数の多さがあると考えられます。売れる人と売れない人のギャップを説明するには、人間関係、担当地域、扱う商材、使っている資料、顧客との相性、性別、年齢、清潔感、マナー、メールの返信速度、メールの内容、話すトピックの順番、表情、雰囲気、迫力、トーン、アクションのタイミング、アクション頻度、話の内容、抑揚、話す速度………..などなど無限に変数としては挙げられます。
これのどこが原因でどのレバーがキーとなって何をどう動かせば良いのか、ほとんど答えが出ておらず、分析して前に進むことが出来ないので通常の仮説が作りにくいためです。
これが難しい理由の二つ目です。
でも、だからやる
難しいしやめよう、というのでは私たちが存在している意義がないですし、私たちが死ぬ時に何も変わってなかったね、だと生まれてきた意味がありません。この領域はどの会社も課題と感じていて、大きなポテンシャルがある。
ヒーロー
いつだってどの領域にもヒーローはいます。エンジニアでも、マーケターでもなんでも一人で何人分も成果を出すようなみんなの憧れの存在です。
営業にもヒーローはたくさんいますが、私にもヒーローがいます。
半年間見込み顧客の通勤を待ち続け、挨拶を無視され続けながらも通い続けた当時の営業の先輩です。
その方は、何も答えがない中で毎朝一日も欠かさず挨拶をすれば、いつか道が開けると己を信じて挨拶をし続け、見事に半年後の朝、いきなり近寄ってきたお客さんに「君の会社の製品に全て変えたぞ」と言わせて数千万円のビッグディールを制しました。
「気合いと根性」と言えばそれまでなのですが、意外にも営業(あるいは全ての職種)においてとても大事な要素だと思っていましたし、今でもそう思っています。
今までそういうヒーロー達は得てして「再現性がない」と、ある意味切り捨てられてきました。そうしたヒーローは言語化できないモチベーション、カリスマ性や能力を持っていたりするので同じクオリティの方々を量産することは残念ながら出来ないと思っています。ただ、ヒーローに近い存在であれば、多くの人たちがなっていけると思っています。
セールスイネーブルメントをやる
ではそのヒーローに近い存在をどう作っていくのか?それが、セールスイネーブルメントなんだと思っています。セールスイネーブルメントに関しては、色々な人が色々な解釈を持ち色々なことを言っていますが、結果として私が辿り着いた結論は、「組織の受注率を上げるためにやること全部」です。シンプルです。
我々は使えるデータを全部見ながらヒーローに近い存在を量産していくというのがイネーブルメントのミッションだと思っております。海外にはデータがたくさん出てきていますが、日本はまだ全然ないです。なければ作っていけばいいだけだと思っています。ヒーローたちのノウハウが海外であればデータとして蓄積されてきていたりします。我々はそうしたデータやあるいは日本独自の切り口を日本で作り広めていきます。
一方で、データを使ったコンサルなどでは行動変容を作りにくいのがこの領域の最大の特徴だと思っています。営業コンサルが組織に手を入れても変革が定着しないのはプロダクトが欠けているケースが多いと考えております。プロダクトは全ての求心力となりうる存在です。白身100%では何も変わらない。黄身がなければ白身も活きません。
この複雑な課題にあらゆるプロダクトでセールスイネーブルメントに取り組んでいくのが我々のミッションなのです。
AIの登場
さらに、この1~2年でAIが加速度的に民主化して参りました。LayerXの福島さんもおっしゃっておられるように、AIでセールスは大きく効率化していくことができます。上記のように営業の1日をほとんど変化させずにSalesforceの入力が出来ていく世界であったり、時間がなくて出来ていなかったオンボーディングやイネーブルメントをエージェントが担うことで工数を削減出来たりします。
ワークフローが完全に置き換えられるか否かによって変わりますが、ReplaceとAugmentのどちらかによって総合的な効率化が見られるのがこれからのセールス、イネーブルメント領域で観測されるべき楽しみな部分です。
営業力を上げるということ
全ての会社にとって会社の顔となる営業はとても大事です。
あらゆる場所で営業は「なりたくない職業」であり、満足度も低いと言われていますが、本質的なバリューはとてつもなく高く、営業なくして商品は顧客まで届けられないものです。
大事なのにも関わらず、ほとんど全ての会社で自社に良い営業がいないと考えていると言うデータも出ております。
データから完全には読み取れないですが、「まあいい人もちょろっといるけど、ほとんどは微妙だな。。。」というのが実態なのだと思います。成長企業がいい営業を集められるのは自然なのですが、ずっと良いプロダクトを作り続けているような企業の営業が弱くて負けてしまう、そんな状況があればこの国のGDPの成長を考えても、打開していかなければなりません。
coach
そのような問題の解決のために、長らく商談解析プロダクトやSFAの入力補助プロダクトを提供させていただいておりましたが、今回の資金調達に合わせてAIロープレツールの一つである新製品amptalk coachのベータ版をリリースさせていただきました。
既存の商談解析で起きていたこととして、何もトレーニングをせずにベンチマークや指標、話すべきナレッジが設定されていない中で商談を解析しようとして何をみたら良いのか分からないという壁にぶつかられているユーザー様がたくさんいらっしゃっいました。
一方で、米国を中心に最初のスタンダードを決定するためのロープレやトレーニングは盛んに行われています。トレーニングはイネーブルメントの大事な柱と言っても過言ではありません。しかし、日本ではほぼ実行されることはなく、OJTに頼っていることが多い印象です。
どこのオリンピック選手が、どこのピアノ選手が練習しないで本番を繰り返すでしょうか?サムライだったら即死してます。現場に出てからもナレッジをしっかりインストールし、レベルを上げ続けることで本当のイネーブルメントが叶います。
是非、二つのプロダクトでみなさまのその想いを叶えさせてください。
ご興味ある方は以下
これから
色々お伝えしましたが、セールス領域はポテンシャルの塊であると同時に、改めてとても難しい領域だと考えております。
それでも、我々は挑戦したい。なぜなら営業が好きだから。
そう問われると、立場から何か社会課題とか高尚なことを言いたくなる気持ちがある一方、本心では数字を追いながら競合と切磋琢磨しながら、お客さんとただただ話して、夜中まで仲間と残業したり飲みに行って話して、製品を使ってくれたお客さんが「めちゃくちゃ良かったよ!」って言ってくれた、あの時間や瞬間が好きだっただけなのかもしれません。
私たちは、うつけものとして素晴らしいプロダクトを作り、素晴らしい営業から本気で変えようと思っている皆様に届けていく会社です。
そんな想いに共感いただける方、積極採用中ですので、是非お待ちしております。