見出し画像

バンコクからチェンマイ、そしてパーイへ。〜人生を変えてしまうパーイという町〜


チェンマイの風景 ホテルから。


チェンマイにある人気のパン屋さんへ行ったときだった。このお店は8時が開店時間で、僕は8時50分くらいに行った。すでに店は満席状態だったので、僕はパンとコーヒーを注文し、席が空くのを待つことにした。5分くらい経った頃、3人がけのテーブル席が空いた。
僕の前にいた2人組がその席に座り、二人は僕に、良かったら一緒に座ってくださいと言ってくれた。僕はその席に座った。


僕は二人にWhere you guys from?と聞いた。すると一人は、ポーランドと答え、もう一人はドイツと答えた。二人はすでに5ヶ月間も旅をしていて、東南アジア諸国を転々しているそうだ。僕たちは旅のことについて、パンとコーヒーを片手に色々と語り合った。
二人の話しを聞いていると、どうやらパーイという町での体験が二人にとって、一番印象に残っているらしい。僕はパーイという街を知らなかった。


パーイとは、ここチェンマイからバスで3時間半、いくつもの山々と700個以上ものカーブを抜けていかなければ辿り着けない、ミャンマーとの国境近く、タイ北部の小さな田舎町だ。
二人はパーイで、スピリチュアルな体験をしたことを僕に話してくれた。

その話しを聞いたとき、僕は直感的にそこに何が存在するのかに気づいた。そしてなぜタイがこんなにも世界中の人々から人気なのかが、そのとき分かった。僕は自分の目でパーイを見ておきたいと思った。パーイについて二人に色々と聞いた後、僕はすぐホテルへ戻り、荷物をまとめ、パーイへ向かった。

パーイ行きのバスというのは、12人乗りのハイエースだった。車は満席だった。出発して2時間くらい経った頃、僕の隣に座っていた女性が、降りると言い出した。こんな山奥でどこに行くのか?と聞くと、瞑想センターに行くと彼女は答えた。

瞑想センターとは、その名の通り、山奥にこもりながら瞑想をする場所のことで、この瞑想センターには、世界中から旅人が訪れるそうだ。パン屋で出会った二人も、この瞑想センターで1週間過ごしたと言っていた。
不思議な場所に来てしまったなぁと思いながらも、僕の気持ちは少しずつ昂っていた。タイ軍に(多分軍の人)よる検問を通り、チェンマイを出発してから3時間半後、僕はようやくパーイに到着した。



パーイのどこかから撮った風景。

パーイは本当に小さな街だった。日本で言うと、ちょうど日本一の炭酸泉で有名な大分県にある長湯温泉くらいだ。予約していた宿まで歩いていると、この場所の不思議な空気感が伝わってきた。

サイケデリックアート1


サイケデリックアート2


壁にはいくつもの絵が描かれてあり、その絵は日本ではあまり見かけない種類のものだった。僕はオーストラリアに住んでいるときに友人から教えてもらったのだが、この種の絵が描かれている場所というのは、サイケな場所を意味している。欧米人をはじめ、世界中の人々がここへ訪れるのは、精神的探求が主な理由なのだ。


僕はこの町で、二日間過ごした。その間、何人かの旅人と話しをした。その全員に共通していたことは、パーイが好きになったということだった。パーイには、特に何か特別なものがあるわけではない。でも美しい大自然と穏やかな街とピースな人々、そして精神的探求を手助けしてくれるものは、たしかに存在していた。あまり細かく書くことはできないのだけれど、僕はここで、今まで見たことなかったものを色々と見た。そしてそれはたしかに、人生を変える体験だった言える。日本を少し出るだけでこんなにも新しい世界があるという、当たり前だけれど、日本にいるとなかなか気づくことができないことを、改めて気づくことになった。僕はその日寝るまで、その興奮を抑えることができなかった。


パーイにはおしゃれなカフェがたくさんある。
パーイで宿泊した宿。なんと1泊1500円。


旅で大事なことは、出会いを楽しむこと、そして人種も言葉も違う人間に、積極的に関わっていくことだと、僕は思う。そうすることによって、自分だけでは見つけられなかったものに出会い、自分一人だと行けなかった場所に行くことができる。僕は、旅での出会いが人生を変えることもあると思う。


バンコクに到着したとき、僕はなぜか、パーイという街は本当に存在していたのだろうかと思った。たしかに今朝まで僕はパーイにいた。でもそれが、もう遠い昔の記憶のように感じた。もしかすると、パーイは別の次元に存在している街であり、あのカーブの山道のどこかが、その二つの次元を結ぶ道だったのかもしれない。そんなことを考えている自分がおかしかった。

バンコクの夜景。飛行機の窓から。

明るい夜景が広がるバンコクの街を空から眺めていると、タイがとても恋しくなった。今回のタイでの旅は、正直色々と腹が立つことが多かった。
暑すぎる気温と、ひどい渋滞と、急な豪雨も、もう十分だ。でも空からバンコクの夜景を眺めながら、この場所で過ごした時間を振り返ってみると、嫌だったことも含めて、その一つ一つがとても楽しかったと感じる。これが世界中から観光客が訪れるタイの魅力なのかもしれない。僕はそのバンコクの夜景を背に、イスタンブールへと向かった。




いいなと思ったら応援しよう!