【特殊紙を楽しむ】パチカ×ホットスタンプで印象的な作品に
今回は、人気の特殊紙「パチカ」×ホットスタンプ(加熱型押し)の装丁をご紹介します。実際に使用例を交えて解説していきます。ぜひ、制作の参考にしてみてください!
パチカとは?特殊紙「パチカ」を使う装丁アイデア
「パチカ」は、細かい繊維の起毛が手に柔らかく、触れるだけで気持ちがほのかに和む特殊紙です。
この紙の特徴は、140度くらいの熱を加えながらプレス(ホットスタンプ/加熱型押し)すると、加工した部分が半透明になる点です。透ける理由は、熱を加えると変質する特別な成分が紙に混じっているためです。
紙の表面に凹凸があり印刷面が平らにならないため、「シルバー」「ゴールド」といったメタリックインキで印刷してもメタリック感は出ません。
印刷色は、紙の風合いや作品のテーマを楽しむという観点からえらぶことをおすすめします。また、紙に含まれる成分の影響で広いベタの印刷やカラー印刷(オフセット)には向いていないため、印刷する絵柄は少なくするのがポイントです。
印刷を少なくすることで紙地の色・風合いや加熱型押し部分の透け感がさらに引き立ち、作品の演出効果が抜群です!
(1)表紙に「パチカ」を使って巻頭ページをチラ見せ?!
表紙に「パチカ」を使うと、巻頭のカラー口絵や扉にある絵柄を透けさせる演出ができます。
透けるといっても曇りガラスを通した程度の半透明になるので、カラー口絵のイラストのお顔や扉の文字まで見えるわけではありません。
この先に何かが描かれていることがほんのりと見える程度に透けるのがポイントです。同人イベント会場で作品に出会った方は「早く表紙をめくりたい」と胸が高鳴るかもしれません。
いつもとは違う一作にしたいときにいかがでしょうか♪
「第1回 本フェチ大賞 特別賞」受賞作品は、表紙にパチカを使用しています。
タイトルロゴの部分を加熱型押しすることで、下のカラー口絵がうっすらと透けて見えています。作品の書影からもわかるのですが、加工面積が広いと紙全体や加工部分が波打ってシワが寄りやすくなります。この特性も作品ならではの味としてお楽しみください。
もう一つの特性上の注意点としては、パチカを表紙に使った場合は強くめくると紙表面の毛羽立ちの影響で、コート系の紙を使った口絵の糊付けが剥がれやすくなるという点があります。
そのため、カラー口絵の絵柄で重要な部分は中央や小口側に配置し、ノド側(背の近く)まで強くめくって見たくなるような絵柄を避けることをおすすめします。
(2)カバーに「パチカ」を使って印象的な作品に
「パチカ」をカバーに使うと、加熱型押し部分から表紙の色や印刷を透けさせることができます。
きほん紙のなかでも「ビオトープGA-FSミッドナイトブルー 170kg」「里紙うすあい」など色の濃い紙を表紙に使ったり、カラー表紙で濃いめの背景を印刷すると、カバーの白い紙色との対比を楽しめます。特殊紙の帯とセットで、再録集やアンソロジーなどに使ってみるのはいかがでしょうか。
カバーは特に小説同人誌で多く使われているので、小説同人誌の再録集・総集編ご発行の機会に使ってみると特装感が出て盛り上がるかもしれません。
カバーにパチカを使用した事例は「第5回 本フェチ大賞 特別賞」受賞作品をご参照ください。
赤と白のテーマカラーを基調にされた作品で、加熱型押し部分から表紙の赤い色が淡く透けて見えます。白無垢の柔らかなイメージを彷彿とさせるカバーをめくると、カバーの上からはうっすらとしか見えていなかった表紙の華やかな赤が目に飛び込んできます。
カバーの印刷色は、弊社基本色「ゴールド赤口」です。印刷の絵柄は袖(折り返し)と表4側にさりげなく入っていて、タイトルの加熱型押しの存在感が引き立っています。
カバーにかかっている帯はタントのえんじ色にスミで印刷したものです。カバーの白との落ち着いたコントラストが、作品に引き締まった印象をプラスしています。
「第6回 本フェチ大賞 アイディア賞」受賞作品も、カバーにパチカを使用しています。
アンソロジーのカバーにタイトルをシンプルにスミで印刷し、表1の隅にさりげなく2本のタイヤ跡を加熱型押ししています。カバーをめくると表1左上の繊細に描かれた背景と人物の姿が目に映り、タイヤの跡から透けて見えていたのはこのイラストなのだと改めて印象に残ります。
タイヤ跡の模様は袖(折り返し)に繋がっておらず、袖との境目の位置合わせがシビアですが、熟練スタッフが手作業で微調整して合わせました。さわやかなあさぎ色の帯は、タントにスミで印刷したものです。
アンソロジー本編のイラストがにぎやかに配置されていて、シンプルなカバーと対照的になっています。
(3)パチカカバー×マットPP×加熱型押しもできます
パチカのカバーはずっと使い込んでいると表面の毛羽だった繊維が少しづつむしれてきます。むしれを軽減するために、マットPPを掛けてから加熱型押しをすることもできます。
加工した部分は、背景の色によって同じ絵柄でも見え方が変わるのが面白いですよ!下の画像は、背景を変えた場合の比較です。
◆パチカを装丁でお使いになるには…
緑陽社WEBサイト内の、カスタムコースからお問い合わせください。
ご相談のタイミングは、ご発行予定日の2〜3か月前がおすすめです。
緑陽MyPageにログインされた状態でお問い合わせいただくと、そのままご予約・ご発注手続きにも進めます。
▽カスタムコース 見積依頼フォーム | 緑陽社
「ベースとなるセット」は、こちらを選択してください。
・小説同人誌…「小説本セット」
・マンガ同人誌で表紙にパチカをお使いになる場合…「色刷表紙セット」
・マンガ同人誌でカバーにパチカをお使いになる場合…表紙がカラーであれば「カラーセット」、色刷表紙であれば「色刷表紙セット」
「利用したいオプションや相談したい内容」に「パチカカバー×ホットスタンプ希望」「パチカ表紙×加熱型押し希望」などとお書き添えください。
いかがでしょうか。パチカは個性的な紙ですがその特徴を活用すると、他にはない特別な同人誌が作れますよ!
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