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「事業価値」につなげる人事の取り組みをするために意識するといいのでは?と考えること

「事業価値につながった実績を教えてください」

「これまで自分が事業価値を高めた、もしくは、事業成長につながった実績を1つ教えてください」

現在(2021年1月現在)、ラクスルでは人事ポジションを幅広く募集していて、コーポレートの人事責任者として、その選考プロセスで面接をさせていただく際に、私がよく聞いているのがこの質問です。

多くの方が「うーん、事業価値ですか…。」と悩んで答えられます。また、複数の方から「城倉さんの経験を教えてもらえますか?」と逆に質問をいただくこともあって、私が事業価値につながる人事の成果をどう捉えているのか、どういう取り組みがうまくいってきたと思っているか、について、書き留めておきたいと考えて、このNoteを書くことにしました。
(尚、このNoteでは「企業価値」と「事業価値」を明確に分けて記載していません。事業を担当していれば、その「事業」の価値となるでしょうし、コーポレートを担当していれば、その「企業」の価値となると考えています)

それでは、いきなりですが、事業価値につなげるために大事だと思うことについて、書きます。

人事の成果における「時間軸」の意識

人事パーソンが様々な取り組みをする際に、最も意識すべきことは成果の「時間軸」だと私は思っています。

その打ち手によって、「いつ」どのような成果が生まれ、それがどう事業価値につながるのか

を考えておく必要があるということです。
「人事施策は効果が見えづらい」とよく言われますが、それは、多くの施策が長い時間軸の成果につながるものだからでしょう。ダイレクトに売上や利益にインパクトが出る施策が少なく、成果が出る時間軸が長くなるため、様々な変数の影響を受け、効果がみえづらくなるということだと思います。
例えば、カルチャーやバリューを言語化する、人事制度を改定する、人材育成体系を設計する、新卒を採用する、といった代表的な人事業務の多くは、すぐに事業インパクトのある成果が出ずに、長い時間軸をかけて、成果があらわれるものです。
こうした施策は、どう事業価値に影響が出るのかを意識しないと、せっかく取り組んでも、ただ取り組んだだけで、事業価値につながらない結果になってしまったり、成果が見えにくく、直接的に売上や利益につながらないからと、短期の成果が見えやすい取り組みだけを続けた結果、事業価値を毀損してしまうケースもあると思います。
例えば、短期の課題解決につながるポジションの充足のための即戦力採用を続けた結果、気が付けば、次の経営リーダーとなる人材候補が充実できてなっていなかったり。目の前の事業課題だけを意識した組織変更を続けた結果、組織内の関係性が悪化し、事業パフォーマンスが下がったり、離職率が悪化する、などということも十分発生しうることです。
だからといって、短期の取り組みを蔑ろにすれば、事業運営に影響が出て、直接的に事業価値を毀損しまうことにもにつながります。
中長期も短期のどちらも大事なものであり、どの時間軸の成果であるのかを明確に意識することで、その先の事業価値も意識できるようになり、事業価値につなげることができるのではないか、と私は考えています。

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(ちなみに、この全体をコーディネートするということは、全て一貫した考えでコントロールする、という極めて難易度が高いことだと認識しています)

「時間軸」を意識した人事体制へのチャレンジ

「本当に、時間軸を意識して事業価値が高めるなんてことできるの?」
という突っ込みがありそうなので、次に、具体的に私がうまく事業価値につなげられたのではないかと考えている成果として、ラクスルの人事体制の事例をご紹介したいと思います(体制そのものは中長期の時間軸の取り組みだと思います)。
ラクスルの人事は2019年から、コーポレートとHRBPに分かれた体制をとっています。コーポレートは「中長期の時間軸を重視」し、全社にまたがる企業価値の向上をはかり、一方で、HRBPは「比較的短い時間軸の各事業の成長」につながるための取り組みをしています。
一般的にも、コーポレートとHRBPに分ける、このような役割の分業はよくあると思いますが、それぞれの時間軸を意識した役割分担をしており、それが事業価値につながっていると考えています。
コーポレートは、中長期の時間軸を意識し、全社のリーダーシップ人材の育成や、全社として守るガイドラインやポリシーを設定しています。
例えば、組織のあるべき姿や大事にしたいフィロソフィーに基づき、人事領域の制度やガイドラインを設定し、それ基づくフレームを整備し、各事業のHRBPと連携し、実践していきます。
一方で、HRBPは、比較的短い時間軸での事業成長を実現するために、直面する事業の生産性の向上や、人材投資を実現していくことがミッションです。
そのために、例えば、HRBPが人件費はもちろんのこと、それ以外の販管費も含めたモニタリングにオーナーシップを持って取り組むすることで事業執行の精度が高まるなど、成果が目に見えてあられています。
このように、中長期を考えるコーポレートと、短中期を考えるHRBPの体制としたことで、あらゆる時間軸の課題設定に対応できる人事体制を整えることができ、事業価値向上につながったと考えています。

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時間軸を意識する=その先の事業価値を意識すること

以上、私が考える「事業価値」につなげるために「時間軸」を意識すべきという考えと、具体的な取り組み事例をご紹介しました。
冒頭で、面接の際に、事業価値につながった実績をお伺いする、と書きました。実績を聞くと、「○○という課題があって、制度を改定しました」「〇〇という取り組みをしたことで〇〇のコストダウンが実現しました」という話をしていただきます。その際に、「では、それはどう事業価値の向上につながったと考えていますか?」と追加して伺うことが多くあります。
この「事業価値」は、ダイレクトに売上や利益につながる必要はないと思います。その施策が成果を上げたときに、事業成長、企業価値にどうつながるかを意識できているかどうか、が、大事なのではないかと考えています。
今回は、成功した取り組み事例をお伝えしましたが、もちろん、これまでうまくいかなかったことも多くあります。むしろ、その方が多くあり、迷惑をかけてきました。その時に、なぜ結果につながらなかったのか、を反省した学びとして、この考え方に行きつきました。

その先の事業価値を意識した取り組みができるか

とにかくこれが大事なことだと考えています。そのために、時間軸を意識することが、そのサポートになると考えています。イメージとしては下記のようなものです。

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ちなみに、この「取り組み」「成果」「事業価値」フレームを逆にたどると、次のような「OKR」策定の上での検討フレームにもなると思っています。(Objective=「事業価値」から、Key Result=「成果」を策定し、Action=成果に影響がある「行動」を考える、というフレーム)

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「目標管理」にフォーカスした取り組みも、短期での事業価値向上につながった取り組みとして挙げてもよい成果があったと思いますが、それはまた次の機会にNoteで書きたいと思います。

以上、今回は、人事担当の採用プロセスにおける面接で感じたことから、つらつらとNoteを書いてみました。
今回の私の考える取り組みが必ずしも正解であるとは思いません。しかし、今後、人事の成果ってなんだろう?と悩む人事パーソンや人事の領域でキャリアを積んでいこうと考えているビジネスパーソンの皆さんが考える一助になれば、幸いです。

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