「善い」は「快」「悪」は「苦しい」観念の育成
調和体験を積み、在来の善苦・悪快の相関を打破し、善と快の相関を強化する
「調和教育」的な接し方の要点
ありがちな、「善苦悪快」観念をもたらす接し方
1.親の都合に反する部分についてのみ禁止や強制でコントロールする
2.禁止や強制の理由(自制・励行の価値)を筋だてて説明しない
3.自発的・容易な善の実行、悪の回避にはほとんど評価を示さない
子供の逸脱的行動をかろうじて阻止する「その場しのぎ指向」
愛育に注ぐエネルギーの不足と怠慢のあるところ
文化・風土を超えて、共通的に発生しやすい
「善快悪苦」観念を養う接し方
1.確立された価値観に照らして奨励・警告し、体験的に学ばせる
2.禁止や強制の理由(自制・励行)の価値を筋だてて説明する
3.善悪のはっきりした行動には、自発的か否かを問わず評価を示す
特に、本人が好んでやっている行動の中で、社会的に有用なこと、善であるものを見出して評価し、自他を共に豊かにする調和的行動であることを指摘・認識させることが大切
「善い行いが楽しかった」「悪い行いが辛かった」の体験・印象を強化する
「調和観念を持った人格」の特性
1.良いことの実行に喜びを感じる
良い勧めを素直に試みる
良い人間が幸せになると信じる
2.嬉しい出来事、安楽な状態や幸福を素直に受け入れることができる
互いにプラスの善行をこだわりなく評価できる
能率的で楽なやり方、楽しいやり方を工夫し、成果を挙げる
3.悪いと認識したことは、するのが怖い
悪事への加担は苦痛を覚え、回避する
幸福になるために悪事は妨げと考える
4.苦痛、失敗、不幸に対して、自分に悪い点・足りない点があったと反省する
労苦の大きな作業のやり方に、不合理や改善の余地がないか考える
5.他人の成功や喜ぶ姿に価値を感じ、自らの喜びとする
全体のため、他者のために自分の能力や余力を活かそうとする
6.他人の不幸や苦しみや悪事に心の痛みを覚える
7.自分の能力不足や難局に際しては、我が不利益よりまず他者への迷惑を心配する
利己心
世に害をなす類の利己心
善苦悪快観念・対立観念と軌を一にする
その意味で、本能でも生得的でもない
後天的に植え付けられた習性
後天性
利己心と紛争
利己心の特質
引き受け者のない損失・被害・苦痛を世の中に生み出してやまない点
社会においては、利己の人は、細菌・異常細胞のようなもの
「負担の流通」が膨らみ、最大の行為が戦争
利己的な人々の多くが「平和主義者」の顔をもっているが
戦争に伴う災禍・不安が自分に及ぶのが嫌だから
結局、戦争に反対しつつ戦争の原因となっている
利己心の克服
「調和体験」の蓄積に精を出す
善苦悪快観念を去る
有効な形のひとつが「世のための志」を持つこと
自分が納得しつつ、長期に一貫して励める「調和行動」
心底から絶大な価値を感ずる「志」達成のエネルギーが、利己心の誘いから自分を守り、支えてくれる
出典:「和の実学」著者:大和信春 出版:博進堂 はる研究院